今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】Ado「唱」11度目の総合首位で返り咲き、BUMP OF CHICKENの新曲が8位デビュー https://t.co/9Y5vaX6Q77
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年12月20日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年12月13日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・乃木坂46「Monopoly」 1位→13位
・舐達麻「FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD」 9位→29位
・福山雅治「想望」 15位→34位
・SKY-HI × Nissy「SUPER IDOL」 16位→100位未満(300位圏内)
・Charm Holic「TOXIC」 18位→30位
・NALALA「&ME」19位→26位
乃木坂46の前作「おひとりさま天国」はフィジカルセールス初加算週となる8月30日公開分で総合2位を記録した翌週、ポイント前週比64.9%を記録しトップ3をキープした一方、「Monopoly」のポイント前週比は39.3%となりトップ10内にとどまることができませんでした。
2曲のフィジカルセールス加算2週目における動向をみると、ストリーミングおよび動画再生という接触指標群の順位に差が生じていることが解ります。ただ今回は他の指標もフィジカルリリース前から「おひとりさま天国」は高く、ともすれば楽曲自体の訴求力の差がトップ10キープか否かの差となって表れたのかもしれません。
ストリーミングに注目すると、PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS関連曲は総合順位を落としながらも接触指標群が安定。このオーディションからME:I(ミーアイ)が誕生したことや新たなリリースもあることから、次回12月27日公開分ではPRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS関連曲全体が上昇する可能性があります。
そして福山雅治「想望」がストリーミング指標を伸ばしていることも興味深い動きです。一般的な傾向として中堅以上の歌手は所有指標が強い一方で接触指標は強くなく、ヒットが持続しない中にあって、福山さんは「想望」にてその慣例を破る可能性があります。
ただし、当週の集計期間は「想望」が主題歌となった映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』の公開4日目以降となっており、接触指標群の上昇は映画の話題に即したものといえるかもしれません。次週もこの勢いが続くかに注目する必要があります。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年12月20日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・3位 (初登場) Sexy Zone「人生遊戯」
・7位 (初登場) アンジュルム「RED LINE」
・8位 BUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」
・12位 (初登場) Official髭男dism「SOULSOUP」
・18位 (前週34位) 羊文学「more than words」
・20位 (初登場) IMP.「I Got It」
羊文学「more than words」については木曜のエントリーにて紹介しています。
「more than words」における動画再生指標の上昇はTHE FIRST TAKE登場の効果が大きいゆえ、次週はこの指標が下がる可能性はあります。それでも、たとえば加算2週目におけるフィジカルセールス指標よりは下がり方が緩やかであり、ロングヒットに至る可能性は十分です。
他方、そのフィジカルセールス初加算に伴いトップ10入りしながらサブスク未解禁のSexy Zone「人生遊戯」やアンジュルム「RED LINE」は、次週総合100位以内をキープできるかは難しいところでしょう。またデジタルリリースながらもストリーミングが300位以内に入らず加点されていないIMP.「I Got It」の動向も気掛かりです。
総合初登場で、且つストリーミング指標が加点されたBUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」およびOfficial髭男dism「SOULSOUP」は共にアニメタイアップ曲となります。
「Sleep Walking Orchestra」は来年1月スタートの『ダンジョン飯』オープニング主題歌(今月一部映画館にて先行上映)、「SOULSOUP」は12月22日公開の映画『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』主題歌となっており、作品の放映/公開前に曲がリリースされているという形です。曲のリリースに伴いタイアップ作品の期待値を高めようという目的が2曲のリリーススケジュールから想起されます。
アニメタイアップ曲はヒットする確率が高く、その中でも”覇権”を握ったアニメほど関連曲が大ヒットしやすいという傾向にあると感じるゆえ、アニメのヒット規模、そしてタイアップ曲の勢いを注視する必要があるでしょう。