最新4月24日公開分(集計期間:4月15~21日)のビルボードジャパンソングチャートでは、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が13連覇を達成しています(記事は後述)。
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はポイント前週比が87.2%。ダウンロードは前週比74.6%、ストリーミング指標の基となる再生回数は同89.6%となり、いずれも1割以上減少しています(なおストリーミングにおいては指標化の際、各デジタルプラットフォームの有料会員による1回再生と無料会員によるそれとでウエイトを分けて算出)。ダウン幅の大きさは前週の段階で指摘した通りとなりましたが、総合首位をキープしました。
「Bling-Bang-Bang-Born」はストリーミング、動画再生およびカラオケの3指標で首位をキープ。またストリーミング指標のデータ提供元のひとつであるSpotifyをみると、金曜から土曜にかけての伸び率が高いのも興味深いところです。
ME:I「Click」は24ランクアップし2位に。フィジカルセールス指標の初加算が躍進の主要因といえます。
4月17日のリリースを受け26位から2位へ上昇。初週で263,399枚を売り上げたCDセールス1位と、2位を獲得したラジオを軸に、ダウンロード10位、ストリーミング17位、動画再生28位と全体的にバランスよくポイントを稼いでいる。1位「Bling-Bang-Bang-Born」とのポイント差はわずか1,260ポイント差で、総合12,366ポイントを獲得。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が総合13連覇、ME:Iのデビューシングルは僅差で2位デビュー https://t.co/OR0ckpitu7
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年4月24日
ダウンロード指標は前週100位圏外ながら当週10位に躍進。フィジカルセールスのリリースがダウンロードにも波及した状況からは、どちらか(もしくはどちらも)所有するという購入者の心理が見て取れます。一方で気になるのは動画再生であり、初登場時および翌週に同指標トップ10入りしたものの、当週はその位置に戻っていません。
ME:Iは「Click」のダンスプラクティス動画を4月12日にアップしており、動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されているならば今回1週間フルで加算対象となるのですが、効果は大きくなかったといえます。
あくまで私見と前置きしますが、ダンス関連動画には主に”ダンスパフォーマンス”と”ダンスプラクティス”があり、後者は曲を流しつつも足音や呼吸といった生の音を収録する傾向がみられます。このダンスプラクティス動画についてはコアファンが歌手の頑張りを見守る意味で有効ながら、曲を聴くという点においてはともすればニーズが大きくはなく、ダンスパフォーマンスビデオも用意する必要があるのかもしれません。
ライト層の人気が反映されやすい接触指標群のうち、ストリーミングでは「Click」が25→17位に上昇しています。これはApple Musicにおいて14→9位に上昇したことも影響していますが、Spotifyでの上昇度合いも大きく反映されています。この上昇には、日本のSpotify独自の特性も影響しているといえるでしょう。
日本における4月15日付Spotifyデイリーチャートでは #ME_I「#Click」が51→46位に、一方で #シャイトープ「#ランデヴー」は49→51位に。@SpotifyJPトップ50プレイリストの影響に伴う”50位の壁”特性により、数日中の急上昇/急落が見込まれます。https://t.co/g9tm6M9sDB
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年4月16日
ヒットにおいて重要なのは上位進出もさることながらそれ以上にロングヒットそして年間チャートでのランクインだというのが、チャートを分析してきた者として断言できることです。ME:I「Click」は次週フィジカルセールスがダウンし、ラジオも落ち着く可能性が考えられ、それらをストリーミングでカバーできるかが重要な鍵となります。ストリーミング指標はロングヒットの礎を築くための要ゆえ、その動向に注目です。
日本のダンスボーカルグループ/アイドル、またK-POP男性ダンスボーカルグループ(のうちBTSの英語詞曲やジョングク feat. ラトー「Seven」を除く)は所有指標、特にフィジカルセールスの瞬発力が高い一方で接触指標が強くなく、ロングヒットに至りにくい傾向があります。ME:Iが目指すべきは、LE SSERAFIMやNewJeansといったK-POP女性ダンスボーカルグループが辿るロングヒットの道筋ではないかというのが私見です。