イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

年末の長時間音楽特番から出演歌手傾向および地上波テレビ局の動向を読む (2023年・途中経過版)

このブログでは毎年、夏および冬に放送される地上波音楽特番の出演者についてまとめています。2022年冬および2023年夏の音楽特番については下記エントリーにて掲載しました。

11月から年末にかけての分については、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と記載)にて歌手の追加が行われる可能性が十分考えられ、またTBSやフジテレビ、テレビ朝日においてはまだ番組内容や放送日、ラインナップは発表されていません。しかしながら現時点での発表から既に見えてくるものはあります。

 

 

まずは現時点における地上波音楽特番出演歌手一覧を掲載します。

 

紅白についての出場歌手分析については下記をご参照ください。ちなみに一部著名人からK-POP歌手の出演を強く疑問視する声が出ており、またそれを記事化したメディアもありますが、下記を読んでいただければ紅白の出場歌手選定の芯がしっかりしていること、そして若手や初出場歌手の大半に関しては今のヒット曲(を輩出した歌手)をきちんと選んでいることが解ります。

 

 

これまでの音楽特番傾向と最も大きく異なるのは、旧ジャニーズ事務所所属歌手がテレビ東京の特番、そして紅白から外れていることです。テレビ東京側は旧ジャニーズ以外の男性アイドル/ダンスボーカルグループを一斉に起用したと捉えて差し支えないラインナップとなっています。

 

その男性アイドル/ダンスボーカルグループではJO1が、表に掲載された音楽特番すべてに出演するほか、NiziU、乃木坂46および緑黄色社会が同様に全特番へ出演します。またBE:FIRSTは現時点で3番組となっていますが、そのBE:FIRSTにおいては今夏の音楽特番で最多出演を果たしていました。その際、『24時間テレビ46』(日本テレビ)にてなにわ男子とDa-iCE花村想太さんが共演したこと等を踏まえ、以下のように記しています。

Da-iCEに限らず男性ダンスボーカルグループとジャニーズ事務所所属歌手との関係に溝は考えにくく、過度に引き離す必要はないと感じています。

(中略)

ともすれば今夏の地上波音楽特番におけるBE:FIRSTの最多出演は、過度に引き離す必要はないと考えるようになったテレビ局側の意志の変化も背景にあるかもしれません。エンタテインメント業界に風穴を開けてきたSKY-HIさんの姿勢、そしてBE:FIRSTの実績がテレビ局側を動かしたと捉えても差し支えないでしょう。

今夏の長時間音楽特番から出演歌手傾向および地上波テレビ局の動向を読む (2023年夏版)(8月9日付)より

上記記載の後、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)では秋以降にBE:FIRSTを皮切りに、JO1そしてINIが初登場を果たしています。無論、旧ジャニーズ事務所初代社長による性加害問題の露呈が番組を変えるきっかけになったとはいえ、最終的な出演決定の契機は番組側の自省だったものと捉えています。

 

加えて、今夏の『音楽の日』(TBS)におけるダンスコラボ企画が、他の番組にも刺激を与えたといえるでしょう。

ベストヒット歌謡祭2023』(読売テレビ/日本テレビ)では2021年11月にフィジカルデビューを果たしたINI、なにわ男子およびBE:FIRSTがコラボを実施。またSNSではKis-My-Ft2宮田俊哉さんがSKY-HIさんおよびDa-iCE岩岡徹さんとの写真を掲載、また宮田さんや同じくKis-My-Ft2玉森裕太さんが旧ジャニーズ事務所に所属していた元SMAP香取慎吾さんとの写真をアップしています(これらは下記リンク先で確認できます)。

ベストヒット歌謡祭』では旧ジャニーズ事務所を離れてから長らく地上波音楽特番での出演がみられなかった元SMAP香取慎吾さんが登場、オープニングも飾りました。またこの特番では、これまで旧ジャニーズ事務所所属の中でもTravis Japan以外ほぼなかった所属歌手と他事務所所属の男性アイドル/ダンスボーカルグループとの共演、そして旧ジャニーズ事務所から離れた歌手との(舞台裏で、ですが)交流がみられています。

上記エントリーでは『ベストヒット歌謡祭2023』での出演者や企画決定を踏まえて注目点を挙げていましたが、蓋を開けてみれば反響は予想以上だったと感じます。この特番の裏配信にはSKY-HIさんが登場し、INI、なにわ男子およびBE:FIRSTのコラボを配信内で視聴していたのですが(画面にはその様子が映し出されていました)、その画面から伝わる興奮からも、今回がエポックメイキングな出来事だったと実感するに至っています。

そして、プレイヤー同士はには事務所側やメディアによる過度な配慮等が及ばない、健全な交流があることもどんどん可視化されたといえるでしょう。ならば先述した問題の解決共々、芸能事務所、そしてメディアが何をやらなければならないかは自明のはずです。

(上記ポスト、正しくは『SKY-HIさんは生配信の中で、なにわ男子側といつか何かやりたいと話し合っていた、ということを語っていました』です。)

 

 

このブログにて音楽特番の出演者傾向を紹介し続けてきたのは、エンタテインメント業界(メディアを含む)の健全化を願うためです。多くの方が感じていたであろう不条理や不健全さをきちんと可視化(言語化)することで冷静な問題提起と改善提案を行い、より多くの方に業界への監視の意識を持っていただくことを目的としていました。いわゆる”ウォッチドッグ”というものです。

BE:FIRSTの『ミュージックステーション』出演決定は番組側の自省による変化ゆえと考える、その理由を記す(9月18日付)でも上記ポストを紹介しましたが、『日経エンタテインメント!』は2023年10月号にて初めてテレビ番組出演本数ランキングを算出し掲載。エンタテインメント業界の現状を客観的に記し、問題提起を果たすに十分な資料だったと考えます。仮にこのブログがアイデアの源だったならばなによりです。

 

 

業界内の改善は少しずつですが叶いつつあります。しかし旧ジャニーズ事務所から離れた歌手の地上波音楽番組への出演や、彼らと現在旧ジャニーズに所属している歌手との共演はまだまだというのが現状です。何度も述べるように旧ジャニーズ事務所初代社長の性加害問題の解決が何より必須ですが、それと同時に業界の健全化が行われるかについて、メディア出演やデジタル解禁等の側面を引き続きチェックしていきます。

 

今冬の音楽特番出演歌手一覧表は、最終的な結果を来年初めまでに公開する予定です。