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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】YOASOBI「アイドル」7連覇、ポイント前週超えの理由および今後の注目点

最新5月31日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:5月22-28日)では、YOASOBI「アイドル」が初登場から7週連続で首位を獲得。ポイントは5週続けて2万ポイントを突破、また前週超えを達成しています。

「アイドル」は今後フィジカルリリースされるためフィジカルセールス指標は現時点で未加算ですが、加算対象となる5指標のうち4つで首位を獲得しています。

YOASOBI「アイドル」が3週ぶりにポイント前週超えを達成したのは、この曲の英語詞版「Idol」が集計期間中にリリースされたことに伴うもの。ビルボードジャパンの記事では特に動画再生指標の増加につながったことを、2週分の数値を公開の上で指摘しています。ストリーミング指標の基となる再生回数はダウンしていますが、聴取者の一部が英語詞版「Idol」の動画視聴に流れた可能性がここから考えられます。

(なおビルボードジャパンでは、言語のみが異なりアレンジが同一の場合はオリジナルバージョンに合算するチャートポリシー(集計方法)を採用しています。)

 

また「アイドル」は最新チャートにおいてカラオケ指標も初制覇。加えてUGC(”歌ってみた”や”踊ってみた”等に代表されるユーザー生成コンテンツ)の人気を示すTop User Generated Songsチャート、およびTikTok Weekly Top 20チャートにて共に5週連続首位となり、カラオケを含む活用状況の強さも見て取れます。TikTokチャートについては徒然研究室さんによる図解がわかりやすいので、そちらのツイートを紹介します。

 

 

YOASOBI「アイドル」は類を見ない大ヒットとなっており、今後はどこまで首位獲得週数を伸ばすかが注目と言えます。

◎“JAPAN Hot 100”最多首位獲得楽曲

Official髭男dism「Subtitle」13回

星野源「恋」11回

Aimer「残響散歌」9回

LiSA「炎」8回

米津玄師「Lemon」7回

Official髭男dism「Pretender」7回

Official髭男dism「I LOVE…」7回

YOASOBI「アイドル」7回

YOASOBI「夜に駆ける」6回

Ado「新時代」6回

ビルボードジャパンがチャートポリシーを今の時代の聴かれ方に即して変更を続けたことで、デジタルが大ヒットすればフィジカルセールスが強い週間単位においても首位を獲得できる状況となりました(そしてそれにより、このチャートが社会的ヒット曲の鑑に成ったと言えます)。そのプロセスも踏まえれば、「アイドル」はしばらくの間首位をキープすることは自然と考えていいでしょう。

ただし最新のポッドキャスト(上記参照)では、UGC再生回数は前週からおよそ30%ダウンしたことが指摘されています(2,994,750回再生)。活用状況がいち早くピークを迎えたかどうか、それが構成指標にも影響するかについて、次週以降の動向から判断する必要があるでしょう。

 

 

「アイドル」については、様々なバージョンが加算対象となる米ビルボードのグローバルチャートでどう動くかも注目です。最新6月3日付ではGlobal 200で5週連続、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では6週連続でトップ10入りを果たしています。

英語詞版「Idol」のリリース日は次回6月10日付グローバルチャート(日本では6月6日火曜に発表予定)の集計期間初日にあたる5月26日金曜。英語詞版が特にダウンロード指標を刺激すること、またグローバルチャートのストリーミング指標は動画再生を含むことから、YOASOBI「アイドル」が英語詞版初加算に伴い最高位を更新する可能性が考えられます。

次回6月10日付グローバルチャートでは「Idol」と同日にリリースされたリル・ダークによるニューアルバム『Almost Healed』の収録曲、さらにはテイラー・スウィフト『Midnights』デラックスエディションにおける追加収録曲が初登場もしくは上昇することが見込まれます。その中で「アイドル」がどれだけ存在感を示すことができるか、注目しましょう。