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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

YOASOBI「アイドル」がオリコン合算ランキングで遂に首位...しかしその後7週はその座を明け渡すだろうことについて

YOASOBI「アイドル」がデジタルで圧倒的な強さをみせ、ビルボードジャパンソングチャートでは最新5月24日公開分まで6週連続で首位を獲得したことについては先週木曜にお伝えしました。

一方で、ビルボードジャパンと同じ複合指標から成る5月29日付オリコン合算シングルランキング(集計期間は5月24日公開分のビルボードジャパン各種チャート同様5月15~21日)では、YOASOBI「アイドル」が初めて首位に到達しています。

(オリコンでは引用を固く禁じているため、ポイント等の詳細は紹介せず首位とのポイント差のみ記載しています。また売上枚数についてはオリコンが発表した記事に掲載されている分のみ、おおよその数を紹介しています。)

YOASOBI「アイドル」は最新のオリコン合算シングルランキングにおいて9万近いポイントを獲得。累計ポイント51万を突破したことが記事から解ります。一方でこれまではフィジカルセールスに強い作品が入れ替わりで首位に立ち、「アイドル」は最高3位止まりの状況が続いていました。

オリコン合算シングルランキングはビルボードジャパンソングチャートとは異なり、一定以上の売上枚数に係数処理を行いません。ゆえにこのチャートポリシーが続く限り、デジタルがどんなに強くともフィジカルセールス10万枚以上を記録した曲があれば後者がオリコン合算シングルランキングで首位に立ちやすくなります。最新ランキングではフィジカルセールス10万枚突破曲がなく、「アイドル」が首位に立てたとも言えます。

 

 

さて、YOASOBI「アイドル」においては、オリコン合算シングルランキングにおいて今後少なくとも7週連続で首位を逃すことが考えられます。

本日発表された最新のオリコンシングルランキング(フィジカルセールス)ではINI「DROP That」が35万枚近いセールスを記録し首位に立ちました。これにより次回のオリコン合算シングルランキングではINIの首位が確定した形です。

(上記表はビルボードジャパンにおけるフィジカルセールスの動向、および今後10万枚以上が見込める作品をまとめたもの。ビルボードジャパンソングチャートでは、INI「DROP That」のフィジカルセールスが1曲目に収録された「FANFARE」に加算されます。)

ビルボードジャパンと売上枚数に差はあれどオリコンも同様の動きを示すものと思われるため、INIを皮切りに7週連続でフィジカルセールス10万枚以上を見込める作品が登場すると考えられます。YOASOBIは「アイドル」をフィジカルでリリースしますがKing & Prince「なにもの」が同日発売となるため、「アイドル」がフィジカルセールス初加算週にオリコン合算シングルランキングを制することは難しいでしょう。

 

YOASOBI「アイドル」がオリコン合算シングルランキングにおいて6週間で50万ポイントを超えたのは凄いことです。しかしながらフィジカルでハーフミリオンを記録した曲があれば、わずか1週で「アイドル」が追いつかれ、抜かれてしまうこともあり得ます。

「アイドル」はおそらく、その勢いを踏まえれば年間100万ポイント獲得は堅いでしょう。しかし同曲が週間単位で首位に成りにくいチャートポリシー、複合指標から成るチャートでフィジカルのみに強い曲が代わる代わる首位に立っては急落傾向にあるというオリコン合算シングルランキングが社会的ヒットの鑑とは言い難いというのが、厳しくも自分の見方です。

 

オリコンにはチャートポリシーの見直しを考えているか、また先日のエントリー(下記参照)で呈した疑問も含めチャート管理者としてのスタンスを伺いたいところです。

そしてビルボードジャパンやオリコンをはじめとする音楽チャートについては、エンタテインメント分析メディア(たとえば『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)や雑誌『日経エンタテインメント!』等)が比較し提示することを願います。

音楽チャートはフィジカルセールスの売上減少/デジタルの到来から2017年度にビルボードジャパンがフィジカルセールス指標に係数処理を施すまで十数年に渡り、信憑性が高くない時期が続いていたというのが私見です。ビルボードジャパンの努力の結果真の社会的ヒット曲が判明可能なチャートに成ったとはいえ、本来はエンタテインメント業界が総出でオリコンを動かすか、新たなチャートを作ることが必要だったはずです。

エンタテインメント分析メディアが音楽チャートの特集を組むことは、業界側が省みることにもつながるでしょう。音楽ファンがチャートを比較しより信頼できる方を考えるというきっかけを作る意味でも、企画の実施を心から願っています。