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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパン、オリコンおよびCDTVの上半期ソングチャート/ランキングからみえてくること

ビルボードジャパンが6月7日に2024年度上半期チャートを発表してからおよそ1ヶ月後、オリコンは6月25日火曜、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)によるCDTVオリジナルランキングは7月1日月曜に上半期ランキングを発表しました。CDTVオリジナルランキングは現時点でホームページでの掲載はありませんが、ビルボードジャパンおよびオリコンの上半期チャート/ランキングは下記ポスト内リンク先にて確認が可能です。

 

今回は発表されたもののうち、複合指標から成るソングチャート/ランキングの順位を紹介します。昨年度についてはこちらのエントリーをご参照ください。

なお、ビルボードジャパンソングチャートは"ビルボードジャパン"、オリコン合算シングルランキングは"オリコン"、そしてCDTVオリジナルランキングは"CDTV"と省略して記載します。

 

 

複合指標から成るチャートについて、総合100位まで(オリコン合算ランキングは10位まで)をまとめた表はこちら。

上記表の簡易版はこちらとなります。

なおオリコンはデータの無断転載を固く禁じことをホームページにて発信しています。そのため、オリコン側から指摘があった際は上記表等を取り下げる予定です。

 

 

さて、チャートの特徴や違いについては基本的に、昨年度の年間チャート/ランキングを比較した際に掲載したものと変わりません。チャートポリシー(集計方法)の比較表は下記に。

オリコンはフィジカルセールスについて係数処理(一定以上の週間セールスを獲得した作品について、その一定数を超える分に適用する措置)は行っておらず、フィジカルセールスに強い曲が上位に来やすい状況です。その点はCDTVも同様ですが、しかし気になる点があります。

 

まずはNumber_i「GOAT」について。フィジカルセールスに強い作品がビルボードジャパンよりもCDTVでは上位に来る傾向ながら、ビルボードジャパンのフィジカルセールスチャート(指標化される前の期間内における累計セールス)において20位まで入った作品の中で、「GOAT」のみビルボードジャパンよりCDTVの順位が下回っています(なお乃木坂46「Monopoly」等については後述します)。

Number_i「GOAT」は3月にフィジカルリリースされ、ビルボードジャパンでは加算される一方でオリコンは対象外となっていました。フィジカルセールス初加算週において「GOAT」はビルボードジャパンで32→2位に上昇した一方でオリコンでは37→26位となっていましたが、CDTVでは32→2位となっていることからフィジカルセールスについてはビルボードジャパンが用いるサウンドスキャンを採用しているものと考えます。

「GOAT」はデジタルの強さも相まってビルボードジャパンでも上半期11位に入っていますが、一方でフィジカルセールスが大きく反映されるはずのCDTVにおいては「GOAT」がビルボードジャパンの順位を下回るという状況です。ともすればCDTVにおいてフィジカルセールスのデータ提供元が途中からサウンドスキャンからオリコンに切り替わり、調整が入った等の可能性は否定できないと捉えています。

 

もうひとつは、昨年11月末以降のリリース作品が加算されていないのではという問題。昨年度のチャート比較時にはCDTVサウンドスキャンを用いているものと記載しましたが、そのエントリーではCDTVの2023年度年間チャートが52週に満たないのではないかという疑問にも触れています。

ビルボードジャパンの2023年度の年間チャートは52週分で構成され、その2週目にあたる2022年12月14日公開分にて乃木坂46「ここにはないもの」がフィジカルセールス初加算に伴い総合2位に上昇。そして2024年度の開始2週目である今年12月13日公開分にて同じく乃木坂46「Monopoly」がフィジカルセールス初加算に伴い総合首位を獲得。「ここにはないもの」の総合2位到達から52週後となっています。

しかしCDTVオリジナルランキングでは年間にて2曲ともランクインしていません。通常”年間”とは52週もしくは53週が一般的であり、どちらか、もしくはどちらもランクインしておかしくなかったでしょう。CDTVオリジナルランキングのデータ元となるビルボードジャパンのフィジカルセールスをみると、初週売上は「ここにはないもの」が830,384枚、「Monopoly」が691,515枚であり、年間ランクインは可能といえます。

アイドルやダンスボーカルグループの曲はフィジカルセールスの強さに伴い、CDTVではその加算初週のみでも100位以内にランクインが可能な状況です。その中にあって昨年12月6日リリースの乃木坂46「Monopoly」が入っていないのみならず、ともすれば11月最終週から12月にかけてのフィジカルリリース作品が、もっといえば同時期のランクイン全曲が集計対象外となっているのではとも感じています。

CDTVでは5月29日フィジカルリリースのJO1「Love seeker」がランクインしていることから、ビルボードジャパンにおける6月5日公開分までは集計対象になっているものと思われます。しかしながら、フィジカルが高セールスを記録した乃木坂46「Monopoly」の不在は、上半期の集計期間が26週ではないのではという疑問を抱かせるに十分ではないでしょうか。

 

無論これらは推測の範囲を超えません。しかしCDTVは昨年度の年間、そして今回の上半期ランキングでも発表時にチャートポリシー(集計方法)や集計期間を掲載していないと記憶しています。そもそもルールを公表していないならば突然の変更やチャート操作についても可能だと捉えられておかしくなく、そのような余地を残しているCDTVは音楽チャートとして信頼はできないと強く考えます。

(ちなみに『CDTVライブ!ライブ!』では従来の放送開始時間を30分早め、18時半から一部地域でのみ放送を開始するという傾向を続けています。これは一部地域のみでパフォーマンスする歌手への無礼ではと『CDTVライブ!ライブ!』4月29日放送回に抱いた違和感を記し、あらためて音楽番組の改善を願う(5月1日付)で問いましたが、7月1日放送回ではランキングの51~100位もこの時間帯で紹介されています。年間ランキングをホームページに掲載しないことも含め、番組への不信感は強まるばかりです。)

 

 

またオリコンに対しては、先月末のエントリーで発信内容への違和感を記しています。

上記エントリーでは『尤も、様々な音楽チャート/ランキングが存在すること、またそのスタンスが異なるのは自然なこと』だと記しました。しかしこれはチャートポリシーを開示していること、複数のチャート/ランキングに過度な差を設けないことが前提だと考えます。合算ランキングを週間単位では50位まで公開しながら上半期は10位までしか発表しないオリコンの姿勢もまた問題です。

 

 

音楽チャートの姿勢の比較となりましたが、順位比較から何を感じ、そしてどのチャート/ランキングが最も社会的ヒット曲の鑑と捉えるかは、掲載した表を基に読んでくださった皆さんが考えていただけるならば幸いです。ビルボードジャパンにも改善が必要な点はありますが(弊ブログでは提案を行っています)、オリコンおよびCDTVは問題点の未解決も含め、チャート管理者としての姿勢を疑わざるを得ないというのが私見です。

 

最後に。そのオリコンCDTVといったフィジカルセールスのウエイトが大きいランキングにおいてもCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が首位となり、tuki.「晩餐歌」やOmoinotake「幾億光年」もトップ10入りしていることは注目すべきといえます。これら作品は週間単位ではなかなか上位進出が難しいこれらランキングでも長期的には上位に到達しました。ここからは、中長期的な視点の重要性が理解できるはずです。