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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】史上最速でストリーミング1億回再生突破のYOASOBI「アイドル」、その強さを今一度まとめる

5月8~14日を集計期間とする最新5月17日公開分ビルボードジャパンソングチャートはYOASOBI「アイドル」が5週連続で首位を獲得。ポイントは初めてダウンに転じたものの、3週連続で2万ポイント超えを達成しています。

ビルボードジャパンによる記事では、このように紹介されています。

「アイドル」の勢いが止まらない。ストリーミングは対前週1.7%増の25,860,696再生をマークして、5週連続1位を記録した。実数自体は微減しているものの、ダウンロードは2週連続、動画再生は5週連続1位となり、計3冠を獲得。カラオケ指標でも、対前週1.4%増で3位から2位に順位を上げた。また、「歌ってみた」「踊ってみた」といったユーザーによる動画再生数の増加を測る“Top User Generated Songs“チャートでも3週連続で首位となり、再生数も10.5%増の4,055,093再生となっている。

今回は「アイドル」の強さについて、今一度整理します。

 

 

YOASOBI「アイドル」の強さは、CHART insightからも明らかです。

最新5月17日公開分においてはポイントの過半数をストリーミング(青で表示)が占め、また現段階で未リリースのフィジカルセールス(黄色)を除く5指標をまんべんなく獲得。ラジオ(黄緑)の順位はダウンするものの5指標すべてが3週連続で10位以内に入り、ポイント獲得の理想形を描いています。

最新のビルボードジャパンによるポッドキャスト(Spotifyこちら。ブログ執筆段階でYouTubeは未掲載)では動画再生指標の数値が明らかに。その再生回数は8%近くダウンしていますが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)人気を示すTop User Generated Songsチャート、およびTikTok Weekly Top 20双方では3連覇を果たしており、関連動画から本家の動画、またストリーミングに移行する方が今も少なくないことが見えてきます。

(なおこのブログでは以前から、ビルボードジャパンに対し動画再生指標記事の発信を提案しています)。

またカラオケ(CHART insightでは緑で表示)は300位以内登場4週目にしてさらに順位を伸ばし、早くも2位に到達。先述したUGCTikTokの人気共々、ユーザーによる"活用"も「アイドル」の人気を支えていることがあらためて証明されたといえます。

 

そしてストリーミング指標の基となるサブスクやYouTubeオーディオストリーミングの再生回数は、最新チャートにおいて同曲最高を更新。直前の2週が大型連休期間中となりストリーミングが伸びるだろうとみられた中、その2週を上回ったのはいい意味で予想外でした。この結果、YOASOBI「アイドル」は最新5月17日公開分にて史上最速でのストリーミング1億回再生を突破。ここからもこの曲の凄さがよく解ります。

チャートイン5週目となる当週の再生回数は25,860,696回と、自身が保持する週間再生回数歴代2位の記録と自己最高記録を更新し、連続首位記録をさらに伸ばした。また、2023年リリース楽曲としては初の累計再生数1億回超えを達成。チャートイン5週目での1億回突破は、Official髭男dism「Subtitle」、BTS「Butter」の6週を超え、ビルボードジャパン史上最速記録となる。

「アイドル」はミュージックビデオにおいても、本日未明に1億回再生を突破しています。

 

 

YOASOBI「アイドル」における今後の注目は、この曲がいつピークを迎えるかということでしょう。ロングヒットが難しいラジオ指標ではダウンする傾向にありますが、それでも2万ポイント超えはしばらく続くかもしれません。

ストリーミング再生回数のおよそ2割を占めると言われるSpotifyでは5月14日に「アイドル」がデイリー最高再生回数を更新しており、ストリーミングがさらに伸びる可能性も十分考えられます。

 

「アイドル」は6月21日にフィジカルがリリースされ、同曲をオープニングテーマに起用するテレビアニメ『【推しの子】』にちなんだ特典も用意されています。

最新ソングチャートではフィジカルセールス指標でEP『はじめての』が9,649枚を売り上げ12位に入っていますが(これによりフィジカルセールス指標のポイントが加算された収録曲の「セブンティーン」は総合63→33位に上昇)、アニメタイアップ曲でフィジカルリリースされた前作「祝福」の初週売上24,926枚(2022年11月16日公開分)を超える可能性も考えられます。

さらにはフィジカルに収録される「アイドル」の英語版がデジタルリリースされれば、デジタルのポイントは「アイドル」に加算されます(言語のみが異なる場合は合算)。『【推しの子】』の盛り上がり、そしてフィジカルリリースおよび英語版のデジタルリリースが、「アイドル」のロングヒットに貢献することは間違いありません。

 

さらに注目すべきは、再来週公開分までを集計期間とする上半期ソングチャートの動向です。

YOASOBI「アイドル」は現時点で10万ポイントにあと一歩のところまで迫っています。現段階でこのハードルを超えたのはOfficial髭男dism「Subtitle」、米津玄師「KICK BACK」、Vaundy「怪獣の花唄」、10-FEET「第ゼロ感」およびAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」ですが、仮にこれらの曲が再来週まで当週と同水準で推移すれば、「アイドル」は上半期3位に達することが見込まれます。

ビルボードジャパンは前週のポッドキャスト(YouTubeこちら)にて、上半期各種チャートを6月9日金曜午前4時に発表することをアナウンスしています。YOASOBI「アイドル」が初登場から7週という短期間でどこまで上位に到達できるか、注目しましょう。

 

 

最後に、米ビルボードによるグローバルチャートについても紹介。このチャートの概要は下記エントリーにまとめています。

ビルボードによるグローバルチャートではYOASOBI「アイドル」がGlobal 200で3週連続、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.では4週続けてトップ10入りを果たしています。最新5月17日付については下記エントリーで紹介しています。

YOASOBI「アイドル」の強さが可視化された一方で、ストリーミング(グローバルチャートについては動画再生回数を含む)は日本の割合が高いものと考えられます。海外人気をどう拡げるかがロングヒットの鍵になると考えるに、英語版のリリースは大きな後押しとなることでしょう。金曜始まりの海外チャートにおいては、英語版を金曜にリリースすることで解禁日から1週間フル加算させることが理想と考えます。