イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【マイベスト】2023年4月の私的トップ10ソングス、選びました

2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2023年4月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。

 

なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート紹介時には個人的な作品への思い入れを乗せないよう、心掛けています。

 

 

10位 YOASOBI「アイドル」

世界のチャートにも轟く「アイドル」はテレビアニメ『【推しの子】』オープニングとして、作品の世界観の踏襲が見事だと評判に。目まぐるしく変わる展開の妙、サビは安定のYOASOBI節ながらサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」の荘厳さを取り入れたり(同時期にはSixTONES「ABARERO」も踏襲)、3連フロウにも挑戦する等トピック満載。終盤の転調やボーカルの表現力も巧く、聴く度に発見が生まれています。

 

9位 TENDRE 「DOCUMENT (2023)」

(上記は公式オーディオ。)

セルフカバー音源を主体としたEP『BEGINNING』収録曲。このエントリーではセルフカバーやリミックスは普段あまり選ばないのですが、オリジナルと聴き比べてみてここまでいい意味で変わる作品はないと気付き、選出した次第。

 

8位 ジーン・ムーア「I Believe

モータウン・ゴスペル発。ゴスペルながらサザンソウルの趣も感じられ、そして何より歌の上手さは特筆すべき。後半登場するコーラスはクワイアと形容するには存在感が薄いゆえゴスペルと呼ぶのは難しいと思いつつ(ただしそれにより、普段からゴスペルを聴かない方にはこの曲がこのジャンルに触れるきっかけに成りそうな気がします)、教会でその歌声に浸りたいという思いに駆られます。

 

7位 サム・ウィルス「Don't Doubt It」

(上記は公式オーディオ。)

サム・ウィルスについては恥ずかしながら初耳だったのですが、トム・ミッシュの作品に参加したことがあると知り自分の中で注目度が高まっています。ドリーミーなミディアムで、ファルセットの美しさやそのファルセットがより活きる曲の展開に惹かれます。

 

6位 Ayumu Imazu「HONEYCOMB」

花村想太さん(Da-iCE)を迎えた「Don't Mind Me」を3月に選出したばかりですが、曲展開の巧さ等は取り上げないわけにいきません。制作には今井了介さんも参加されており、R&Bライクな仕上がりやキャッチーさに強く納得しています。

 

5位 女王蜂「メフィスト

(上記はテレビアニメ『【推しの子】』ノンクレジットエンディング映像。)

テレビアニメ『【推しの子】】エンディング曲。サビで一瞬訪れる力強いファルセットは女王蜂の真骨頂ですが、そのサビでわずかにBPMを落としたように聴こえるところも技ありといったところ。またAメロのリズムが、たとえばGorie with Jasmine & Joann版でもお馴染みの「Mickey」的という点に、懐かしさとキャッチーさを覚えます。

 

4位 由薫「Blueberry Pie」

J-WAVEでよく耳にするのも納得な純度の高いポップソング。「星月夜」のヒットが記憶に新しいですが、このような曲も似合うことは発見でした。軽快なアレンジとは裏腹な歌詞に説得力を与える歌唱は見事。そしてサウンドプロデュースを手掛けたMONKEY MAJIKのセンスの高さに脱帽です。

 

3位 KIRINJI「nestling」

(上記は公式オーディオ。)

新設レーベル”syncokin”からの第一弾シングルであり、これぞKIRINJI流ポップソングといえる作品。冒頭における"たまにジェット機に焼かれそうに"という歌詞の、あり得ないながら深く頷けてしまう形容が曲の没入度を高めているように感じています。

 

2位 Official髭男dism「TATTOO

大ヒットした「Subtitle」以来となるドラマ主題歌。大サビを用意しないということに驚きつつ、サビ後半の”なんてさ/本気で/思っちゃう/心の”という箇所において似たメロディを四度繰り返しながらそのメロディがすべて異なる点等、メロディメイクの素晴らしさに圧倒されます。

 

1位 ジェシー・ウェア「Begin Again」

アルバム『That! Feels Good!』からの先行曲。好事家の間でこのアルバムが絶賛されているのは、様々な時代の(ソウルを基礎とする)ダンスミュージックを現代に再構築し、曲毎の軸がぶれていないゆえ。特に「Begin Again」は、米で大ヒットしたマイリー・サイラス「Flowers」の源泉といえるグロリア・ゲイナー「I Will Survive」、そして「ロッキーのテーマ」を高次元で融合した、アガること必至のアップに仕上がっています。

ちなみにアルバムでは5分を超える長尺版が収められていますが、このバージョンで新たに追加された展開が"ロッキー"度を高めているのでこちらも是非。

 

 

以下、次点として10曲。

・有元キイチ feat. 三浦透子「聞いてたの?」

・Tomggg & ena mori「いちごミルク」

中田裕二「真空」

・RUNG HYANG「weakness」

・れん「変わりゆく季節」

・ディプロ feat. ジョニー・ブルー・スカイズ (スターギル・シンプソン) & ダヴ・キャメロン「Use Me (Brutal Hearts)」

・ファイスト「The Redwing」

・フォー・テット「Three Drums」

・マグダレーナ・ベイ「Top Dog」

・オーティス・ケイン「Kaleidoscope」

ディプロによる「Use Me (Brutal Hearts)」もまたジェシー・ウェア「Begin Again」同様にマイリー・サイラス「Flowers」的アプローチと言えるかもしれません。この曲でダヴ・キャメロンと共にボーカルを務める”ジョニー・ブルー・スカイズ”とはスタージル・シンプソンの変名。ブルース的であり、歌唱力と説得力とを存分に宿した歌手が好みということも選出の理由。このような歌い手が日本でも登場することを願います。

 

 

Spotifyのプレイリストはこちらに。

今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。