(※追記(20時17分):米津玄師「LADY」のミュージックビデオが公開されたことに伴い、紹介動画をショート動画からミュージックビデオへ差し替えました。)
2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2023年3月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。Spotifyを利用し、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinといったプレイリストを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。個人的な作品への思い入れについては音楽チャート紹介時に乗せないよう心掛けています。
10位 エルミーン「Choose You」
後半ではゴスペルの空気感も盛り込みつつ、語るような歌い方が特徴のエルミーン。人気DJが選ぶ、英国の注目の新人ミュージシャン17選 - i-Dに掲載されたインタビューではダニー・ハサウェイやディアンジェロを敬愛していると発言しており、ソウルミュージックを根底に独自の世界観を構築していることがこの曲からも見えてきます。
9位 アッシャー「GLU」
(上記はリリックビデオ。)
ほぼ全編ファルセットで通すという挑戦的な作品。いや、以前にも「Climax」(2012)というファルセットナンバーは存在していたものの、今回の新曲は三連リズムを全編に敷き1970年代のソウルミュージックへの憧れを何の躊躇もなく堂々と示しています。
8位 ジェームス・フォーチュン & モニカ「Trusting God」
(上記は公式オーディオ。)
キャリア20年近いゴスペル歌手のジェームス・フォーチュンが、今やベテランと呼べるR&B歌手のモニカを迎えた作品。実力派のモニカが敢えて淡々と歌うことで、逆に歌い手としての安定感を発揮しているのが面白いところ。そしてジェームズの熱い語り(ゴスペルライブではよく見られる光景)との共存が見事です。
7位 J. ウォラ & シフトキー「All The Girls」
J. ウォラのバイオグラフィー(→こちら)にある”クラシックハウスがニュースクールテック(テクノロジー)に出会う” ”ダンスミュージックの境界を押し広げる”という言葉の通り懐かしくも新しく、身体が自然に動くようなダンスサウンドを展開。Girl/Boyというテーマの作品にはブラーやケミカル・ブラザーズといった名曲が存在しますが、シフトキーを迎えたこの曲もその仲間入りを果たしたと言っていいでしょう。
6位 テイマー・ブラクストン「Changed」
(上記は公式オーディオ。)
久々の新曲は、SWVによる90'sクラシック「Rain」(YouTubeはこちら)を大胆に用いた、換骨奪胎といえるR&Bナンバー。無論「Rain」がなければ成り立たない曲ではあるものの、「Rain」とは全く異なる曲に思えるほど曲の構成が見事。
5位 Ayumu Imazu feat. 花村想太「Don't Mind Me」
若手ボーカリスト2人による軽やかなミディアム。ハンドクラップやコーラスの用い方はカーク・フランクリン的ゴスペルを想起させ、何より曲や声色がまとうポジティブな空気感がゴスペル的と思わせるに十分。実力派が歌うことで曲の説得力がさらに高まっているように感じます。
4位 オースティン・ミルズ with サブリナ・クラウディオ「Inhale / Exhale」
オースティン・ミルズについてはこの曲で初めて知ったのですが、サビ前のミステリアスな展開等に惹かれてこの位置に。初のEP『Breathwork』からは今週金曜にエステルを迎えた新曲が予定され、また今月開催のコーチェラ・フェスティバルにも登場が決定している等、今後要注目の歌手です。
3位 SADFRANK「I Warned You」
(上記は公式オーディオ。)
NOT WONKの加藤修平さんによるソロプロジェクト、SADFRANK。3月1日にリリースしたアルバム『gel』からは「Quai」を昨年11月の3位に選んでおり、今回は二度目の選出。くるりの岸田繁さんが手掛けたストリングスが非常に効果的で、不安と清々しさという相反するふたつを見事なまでに共存させています。
2位 ダンカン・ローレンス「Skyboy」
真っ正面から、何一つ気をてらっていないポップソング。おそらくは多くの方がエルトン・ジョン等を想起するはずですが、ドが付くほど直球のこのポップソングが音を純粋に楽しむことの重要性を今一度教えてくれているような気がします。
1位 米津玄師「LADY」
前作「KICK BACK」とは打って変わり、mabanuaさんを迎えたことで美しいピアノの旋律が光るポップソング。白眉はサビのメロディにおける各小節のはじめに配置された音符の違い。一番の歌詞では”(書き)散らして”の”ち”の部分が該当するのですが、それまでとは異なり8分音符となっていることでいい意味での引っ掛かりとなり、心地良さをもたらしてくれるのが巧いと感じます。
また美しき大人の色気…KAT-TUN「Ain't Seen Nothing Yet」から想起した曲プレイリスト(2022年4月4日付)で紹介した欅坂46「エキセントリック」やソーニャ・マリー「And I Gave My Love To You」のようなラウンジミュージック(的J-POP)も想起した次第です。
以下、次点として10曲。
・Aile The Shota feat. Soulflex「FANCITY」
・voquote feat. Wez Atlas「SHOW U」
・H ZETTRIO「Synapse」
・ミツメ「チョコレート」
・YOLK「muse」
・Rin音「勿体ない」
・aespa「Hold On Tight」
・ミュージック・ソウルチャイルド & ヒット・ボーイ「White Rice Déjà Vu」
・フェニックス feat. クレイロ「After Midnight」
・サブリナ・カーペンター「Feather」
BE:FIRSTを輩出したオーディションに参加していたAile The ShotaさんがSoulflexと組んだ作品の洒落た味わいたるや。Soulflexにとって初のプロデュース作とのことですが、Aile The Shotaさんとの相性は抜群です。Aile The Shotaさんがファルセットボイスの表現力をさらに高めていけば、この曲の説得力は今後さらに高まるものと期待します。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。