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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「Habit」が再び「ミックスナッツ」超え…メディア出演が特に影響を及ぼす指標とは

毎週木曜以降は、最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。

最新7月20日公開分(7月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートはフィジカル関連指標初加算に伴いSnow Man「オレンジkiss」が首位に到達しました。

(上記はショートバージョン。)

「オレンジkiss」が首位獲得の武器としたフィジカルセールス指標については、チャート分析者等の間で昨夜から疑問が生まれています。この件については明日以降のブログエントリーにて紹介します。

 

さて今週、Official髭男dism「ミックスナッツ」をSEKAI NO OWARI「Habit」が3週ぶりに逆転しました。最新7月20日公開分(7月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートはこちらで確認できます。

3週前に首位を獲得したSEKAI NO OWARI「Habit」は、その後2週連続で2位となりOfficial髭男dism「ミックスナッツ」に首位の座を明け渡していました。ポイント差は166→825と開いていましたが、最新チャートにおいては「Habit」が129ポイント差をつけ逆転を果たしています。

構成8指標の順位をみるとSEKAI NO OWARI「Habit」がOfficial髭男dism「ミックスナッツ」に勝るのはダウンロード、Twitterおよび動画再生の3つ。前週はTwitter、動画再生のほかラジオも勝っていましたが、今回「Habit」がダウンロードで上回ったのは集計期間中の音楽番組出演が功を奏したと言えるでしょう。

 

昨日のブログエントリーではSpotifyデイリーチャートの動向にテレビ出演効果が反映されていると述べました。Official髭男dismはメンバーの新型コロナウイルス感染の影響で『FNS歌謡祭』(フジテレビ 7月13日放送)や『音楽の日』(TBS 7月16日放送)をキャンセルした一方、SEKAI NO OWARIは両方の番組で「Habit」をパフォーマンスしています。

Spotifyを含むビルボードジャパンのストリーミング再生回数では「ミックスナッツ」が「Habit」を上回ったものの、再生回数前週比は「ミックスナッツ」が97.9%、「Habit」が99.4%となり、後者が下落幅を抑えています。接触指標群は急落しにくい傾向がありますが、この下落幅の差にもテレビ出演効果は出ていると言えるでしょう。そして所有指標では、この効果がよりはっきり表れています。

フィジカルセールス指標(推定売上枚数)の前週比はOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が68.0%に対し「Habit」が84.6%、そしてダウンロード指標(ダウンロード数)は「ミックスナッツ」が79.5%に対し「Habit」は146.5%と前週超えを果たしています。ポイント全体では「ミックスナッツ」が89.0%に対し「Habit」は99.8%と前週並をキープしていますが、ダウンロードの上昇も影響したことは間違いないでしょう。

 

 

音楽番組出演とダウンロードとの関係は、『音楽の日』で男闘呼組が復活したことを受けてまとめたばかりです。音楽番組に限らずとも、たとえば映画『ボヘミアン・ラプソディ』のテレビ放送がダウンロード主体に関連アルバムを押し上げたことについても説明し、メディアの影響が所有指標に、その中でもフィジカルセールスよりダウンロードに大きく表れることを記しました。

最新のビルボードジャパンソングスチャートでは10位にNiziU「CLAP CLAP」、13位にKing Gnu「雨燦々」が初登場を果たしました。しかし両者とも新型コロナウイルス感染の関係で音楽番組出演をキャンセルしており、仮に登場できていたならばダウンロード指標を主体にポイントを押し上げたことは間違いありません。

 

新型コロナウイルスが猛威を振るう状況ゆえ、今後もメディア出演を辞めざるを得なくなる歌手が少なからず登場することでしょう。ゆえにメディア出演辞退は致し方ないところもあるのですが、その中で出演機会を活かしSEKAI NO OWARI「Habit」が勢いをキープしたのは特筆すべきことです。

メディア(特に地上波テレビ番組)出演を果たす歌手側はダウンロード増加の可能性を見越し、曲が気になってSNSを調べた方にiTunes Store等のリンクを紹介し誘導を徹底すること、そもそもデジタル未解禁の歌手ならばその解禁自体を行う必要があるでしょう。