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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

KDDI回線障害は音楽チャートにも影響…Spotifyの推移は、そしてビルボードジャパンソングスチャートはどうなる

KDDIの大規模通信障害は昨日復旧作業が完了したとのことですが、この通信障害に派生して様々な問題が生まれています。音楽チャートを追いかける身として気になるのが、サブスク再生回数の減少につながっているだろうということです。

 

Spotifyは各国およびグローバルのデイリーチャート200位までの再生回数を公開しています。その中で日本の動向を追いかけると、最新7月2日土曜日のSpotifyデイリーチャートで50位以内に入った作品は、4曲を除いて前週土曜日(6月25日)より再生回数が減っているのです。後述するSaucy Dog「優しさに溢れた世界で」を除くトップ10在籍曲の再生回数前週比は91.6~98.1%の範囲内となっています。

(日本のSpotifyデイリーチャート等はこちらから確認可能です。ただしログインが必要となりますのでご了承ください。)

再生回数が前週より伸びた4曲については、Saucy Dog「優しさに溢れた世界で」(9位)はコムドットとのコラボ動画効果(Saucy Dog、YouTuberとのコラボがサブスク上昇に反映…一方でコラボに対するネガティブな反応を考える(6月29日付)参照)、ナヨン「Pop!」(13位)、チャーリー・プース feat. ジョングク「Left And Right」(14位)およびONE OK ROCK「Save Yourself」(38位)は前週初登場となり順調に推移したことがその理由です。

最新7月2日付においてトップ50に入った曲のうち、6月18日→25日で再生回数を伸ばした曲は11曲。極端な動きをした曲を除けば6月25日付における再生回数前週比はおおむね95%以上であったのに対し、6月25日→7月2日においては再生回数前週比9割を割り込んだ曲も複数みられます。7月2日付デイリーチャートでトップ10入りした曲の6月25日付における前週比は95.5~105.6%の範囲内でした。

Spotifyでは端末にダウンロードしてオフラインで聴くことが可能なため、auやその回線を用いる携帯キャリアと契約するSpotifyユーザーでWi-Fi環境がなく、ダウンロードせずオンラインで聴く方にとっては今回の通信障害で曲を聴くことができなかったと想起可能。またダウンロード機能が使えるのはSpotifyの有料会員のみであり、無料会員は曲を聴くことができません。そのため今回の再生回数の減少につながったと推測します。

 

気になるのは、明後日発表される7月6日公開分(7月11日付)ビルボードジャパンソングスチャートの動向です。Spotify以外のサブスクサービスにも今回のKDDIによる通信障害の影響が及ぶと容易に想像できる以上、サブスク再生回数等に基づくストリーミングのみならずYouTube等に基づく動画再生、ダウンロードやTwitter指標も下がることでしょう。

一方で、最新6月29日公開分(7月4日付)のビルボードジャパンによるStreaming Songsソングスチャートでは、10位の再生回数が今年度最少となっています。

(なお、ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標はStreaming Songsチャートを基に指標化されますが、今年度第2四半期のチャートポリシー変更に基づき、同チャートを制しながらLINE MUSIC再生キャンペーンを適用し他のサブスクサービスと乖離している曲は指標化の際に独自の個別係数をかけられるようになっています。)

SEKAI NO OWARI「Habit」とOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が高レベルで最上位を競う一方、定点観測する10位の再生回数はダウン傾向にあります。尤もサブスク利用者は増えていると聴きますが、上位曲以外をチェックしている方が多いとも推測されます。この状況下における今回の回線障害発生は、ともすれば次回のStreaming Songsチャート10位の再生回数をさらに減少させると推測することは容易です。

 

 

回線障害は復旧したものの未だ安定しないという声も耳にします。まずは完全な回復と再発防止を願うと共に、音楽チャートを診る者にとってストリーミング再生回数の動向は注視していかないといけません。