2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2022年6月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。現在はSpotifyを利用しており、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソングス(選出企画)となります。
個人的な作品への思い入れについては、音楽チャート紹介時には基本的に乗せないよう心がけます(今後はより一層そのことを心がけていきます)。
10位 ベイビーフェイス with エラ・メイ「Keeps On Fallin'」
(上記は公式オーディオ。)
キャピトル・レコードへ移籍した音楽界の重鎮は若手R&B歌手と組むニューアルバムを準備中。先行曲は「Boo'd Up」(→YouTube)が大ヒットしたエラ・メイを招き、氏がプロデュースしたR&Bの名曲、テヴィン・キャンベル「Can We Talk」(→YouTube)の2022年度版と呼べるもの。BETアワードでこの曲を披露した際に「Can We Talk」が引用されていたことで、いい意味で確信犯だと実感。
9位 ビヨンセ「Break My Soul」
(上記は公式リリックビデオ。)
ドレイクが突如リリースしたニューアルバム『Honestly, Nevermind』に続きビヨンセも1990年代前半を意識したハウストラックをリリース。そのことは下記ブログエントリーでも紹介していますが、ここからハウスサウンドがムーブメントとなるか期待すると共に、先月のプライド月間に相応しい"You won't break my soul"という言葉が、中絶権の合憲性を覆した連邦最高裁の判断を経て尚の事、人々を結束させていくと感じます。
8位 シルク・シネマ「Too Many Times」
(上記は公式オーディオ。)
ロンドンに拠点を置くデュオによる、UKらしさ溢れるR&B。1990年代後半から2000年代前半にかけてはインディR&Bのコンピレーションアルバムブームがあり、良質な(たとえばUKでいうところのドームやエクスパンションといったレーベルを中心とした)作品がどんどん紹介されていきましたが、流行とは距離を起きながら心地よさを追求する当時のUKR&Bムーブメントをこの曲から思い出しました。
7位 三浦透子「intersolid」
アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』、傑作との評判も高い朝ドラ『カムカムエヴリバディ』等への出演で一気にその名が知られることとなった三浦透子さん。俳優同様に様々な側面を魅せてくれる彼女の新曲は、CRCK/LCKSの小田朋美さんによる提供&プロデュース作品。
6位 スヌープ・ドッグ feat. ラファエル・サディーク & ミゲル「Everybody Watching」
(上記は公式オーディオ。)
スヌープ・ドッグによる今年の夏を彩るコンピレーションアルバム『2022 Death Row Summer』収録曲。デルフォニックス「La-La (Means I Love You) (邦題:ララは愛の言葉)」(→YouTube)が薫るこの曲を手掛けるのはラファエル・サディークそしてミゲル。今年はカルヴィン・ハリスが1980年代を思わせる『Funk Wav Bounces Vol.2』をリリースしますが、良質なソウルミュージックのアップデートはこの曲からも見て取れます。
5位 aespa「Life's Too Short (English Version)」
aespaによる初の英語詞曲は、K-Popアクトらしい軽めながらも芯のある歌唱が1990年代後半のライトなR&Bと合致。MNEKやベッキー・ヒル等が手掛けたこの曲からTLC「Unpretty」(→YouTube)を想起したのですが、同曲収録の『Fanmail』から先行リリースされた「Silly Ho」(→YouTube)は先月配信されたリゾ「Grrrls」につながる印象があり、TLC再評価の機運も感じています。
4位 ジェイコブ・コリアー feat. リジー・マカルパイン & ジョン・メイヤー「Never Gonna Be Alone 」
ジャム&ルイスが手掛けるジャネット・ジャクソンの多重コーラスを彷彿とさせるリジー・マカルパインの歌声、クインシー・ジョーンズ「The Secret Garden (Sweet Seduction Suite)」(→YouTube)で最後に登場し主役に躍り出るバリー・ホワイトのようなジェイコブ・コリアーの低音ボイス、そしてジョン・メイヤーの優しいギターと二度の転調…心地良さが極まっています。
3位 ナードマグネット「全部だいなし!」
CDジャーナルにおける"パワーポップ・バンド"という形容はまさに!という感じがします(歌手紹介ページはこちら)。2分半強というコンパクトな尺ながら起承転結がはっきり示され、バンドの面々の腕もきちんと魅せ、そしてパワーポップ・バンドとしてのキャッチーなメロディがひたすら楽しい作品。それでいて、歌詞とのいい意味でのアンバランスっぷりも光ります。
2位 KIRINJI「Rainy Runway」
堀込高樹さんのソロプロジェクトとなったKIRINJIの、今年初となるシングルを2位に。兄弟デュオ時代に高樹さんが書いた「スウィートソウル」を思わせ、歌詞に宿るポジティブさが背中を押してくれます。バンド時代に高樹さんと一緒だった千ヶ崎学さんによるベースが格好いい2番直前の展開等、聴きどころたっぷりなミディアムナンバー。
1位 二宮和也「廊下を走るな」
嵐の二宮和也さんが嵐のファンクラブ限定でフィジカルリリースしたカバー集がデジタル解禁。8曲とも素晴らしく、初めて聴いた時に虜になったさかいゆうさんオリジナルの「君と僕の挽歌」は以前紹介したのですが、Spotifyの新曲プレイリストに掲載された日食なつこさんのカバーが凄く、6月リリース作品のトップに据えました。
こだわりの選曲、アレンジが大きく異なりながらも注がれる愛情、歌手としての表現力…良質なカバー作品を見極める条件として自分が勝手ながら考えているものが全てクリア。「Pretender」等の大ヒット曲から知る人ぞ知る作品までを網羅し、アレンジの面白さも耳を惹き、そして俳優として直近では『マイファミリー』も高く評価された二宮さんの歌ヂカラに圧倒されます。下記ブログエントリーでも作品が紹介されています。
二宮和也さん、バラエティ番組で「廊下を走るな」の歌詞がグッと来たと答えていらっしゃったのですね。今の時代ならではの悩みに対する向き合い方がいい意味で変わったとのことですが、この曲におけるアレンジが原曲以上に刺さってくると感じたのは、このカバーが今の時代ならではの壁に阻まれた方に対する二宮さんからのメッセージ、処方箋だからかもしれません。
(勝手ながらいくつかのブログエントリーを取り上げさせていただきました。問題があれば削除いたします。)
以下、次点として10曲。
・アイナ・ジ・エンド「私の真心」
・Kaoru Tominaga feat. Sho Asano「Do What U Love」
・cero「Fuha」
・アリン・レイ feat. ブラスト「Bad Idea」
・コナン・グレイ「Disaster」
・ダウル、Noair、Plan8、Channel 201 feat. Milena「Love Call」
(カタカナ表記不明につき、ダウル以外は英語表記。)
・ドミ & JD・ベック「Whatup」
・ドレイク「Massive」
・ルーペ・フィアスコ「Naomi」
・オマー・レイ with ジャスティン・ビーバー「Attention (Disclosure Remix)」
アリン・レイについては、音楽評論家の林剛さんが仰るように、アルバム『Hello Poison』自体素晴らしかったですね。こういう作品を聴くと、フィジカルでも手に入れたくなるものです。
アリン・レイの新作『Hello Poison』...今年上半期を代表するR&Bアルバムと言いたくなるほど素晴らしい。DJキャンパーが全面援護。先行曲でのDスモーク、ヴァンジェス、テラス・マーティン、ブラスト、アリ・レノックス、タイ・ダラ...とゲストの人選も完璧。全てのR&B好きに。https://t.co/kp4ZypZFe6
— RIN-GO (@hystys) 2022年6月6日
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。