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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HAVEN.「I Run」は60位台に初登場できた…AI生成音楽が米ビルボードソングチャートに登場しなかった件を考える

ビルボードは通常、日本時間の火曜早朝にソングチャートの速報を公開するのですが、最新11月22日付については1日遅れて発表されています。米ビルボードはその理由を明かしていませんが、ともすればこちらが原因だったのではと感じています。

 

ビルボードソングチャートを予想し、その精度も高いXアカウントのTalk of the Chartsによると、AIで生成された”HAVEN.”名義の「I Run」が米ビルボードソングチャート100位以内にランクインできるほどの数値を獲得しながら、しかしソングチャートから除外されたと発信しています。実際、Talk of the Chartsは11月22日付米ビルボードソングチャートの予想段階で「I Run」が63位に初登場すると発信していました。

Talk of the Chartsによる11月22日付米ビルボードソングチャート最終予想より(Xのポストはこちら)。

ビルボードがソングチャートやアルバムチャートの速報記事を遅らせる場合は最上位作品が拮抗していることがひとつの理由として挙げられますが、最新ソングチャートに関してはAI生成音楽の取扱に関する判断が大きく影響したものと考えていいでしょう。

 

チャートアナウンス後、米ビルボードはAI生成音楽が総合ソングチャートに登場できない(言い換えればそのような作品をチャートに登場させない)ことについて、HAVEN.「I Run」を例に紹介する記事を掲載。何がどう問題なのか、また「I Run」の制作プロセスも記されていますが、米ビルボード有料会員向け記事ゆえここでの紹介は控えざるを得ません。

ただしその概要については、米ビルボードソングチャート等を紹介するXアカウントのchart dataがポストしています。

上記ポストの後半にて、『米ビルボード著作権侵害に関連する係争中の法的紛争が確認された楽曲について、チャート掲載の保留または削除を行う権利を留保します』『これにはデジタルサービスプロバイダーにおける当該コンテンツの削除に至る可能性も含まれます』と記されています。

(なお『』内はDeepL翻訳の上で一部語尾等を変更しています。)

HAVEN.「I Run」で流れる歌声は英歌手のジョルジャ・スミスにそっくりであるとのこと(ジョルジャ本人もSNSで類似の旨を紹介)。HAVEN.を立ち上げたハリソン・ウォーカーおよびジェイコブ・ドナヒューは、ウォーカーの声をAI音楽生成ツールのSunoを用いてソウルフルな女性の声に変換したとのことですが、そのSunoがジョルジャの作品から学び、「I Run」のボーカルに活かした可能性があるというのが今回の背景にあります。

 

著作権侵害の面からはHAVEN.「I Run」の音源自体が削除されてもおかしくないというのが私見ですが、しかしこの曲がリリース前の段階で既にTikTokにて人気を博していた(またリリース直後にSpotifyにて上位進出した)ことを踏まえれば、AI生成音楽だと知らない方にとっては音楽チャート未ランクインを不思議に思い、知りながらも楽しんでいた方には未ランクインを判断した米ビルボードに不信感すら抱くかもしれません。

(なおAI音楽生成ツール「Suno」が物議──「神が授けたツール」か「著作権侵害」か | Forbes JAPAN(11月20日付)では、Sunoで作られた曲がセールスやラジオエアプレイのチャートにランクインしたことが触れられています。今回のHAVEN.「I Run」における未ランクインは、複合指標から成る総合チャートでも100位以内に登場するだけの勢いを持ったことで、米ビルボードが今一度協議した結果と捉えていいのではと考えます。)

 

今回の問題は今後も登場するでしょう。米ビルボードがチャートイン基準を変えるかもしれず、今後の動向を注視すべきと考えます。また聴き手のAIに対する意識拡大も必須でしょう。なお個人的には、米ビルボードが記事にてチャート予想者の存在を記している(彼らがHAVEN.「I Run」のチャートインを予想していたと紹介した)ことが気になった次第。歌手側そしてチャート側からも存在が認められているといえるかもしれません。