イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オリコンによる合算ランキングへの違和感、先週発表の上半期ランキングでさらに見えてきたこととは

このブログで取り上げる日本の音楽チャートはビルボードジャパンがメインとなります。ビルボードジャパンについては更新段階における不備の多さ等、日本を代表するチャートになろうとする者としての責任能力に疑問を抱くことはあれども、時代に即したチャート内容の精査(その都度のチャートポリシー変更)等がきちんとしているものと考えています。時に厳しく批判するのは、信頼するがゆえです。

 

ビルボードジャパンは6月10日に2022年度上半期チャートを発表していますが、一方でビルボードジャパンの登場以前から長らく音楽ランキングを発表し、より世間一般にその名が浸透しているだろうオリコンによる上半期ランキングが、先週発表されました。

 

2回に分けて発表するのは、昨年度年間ランキングも同様です。

昨年度の年間ランキング発表を踏まえての私見、つまりビルボードジャパンがより信頼に足る(言い換えればオリコンの合算ランキングには問題がみられる)ということについては上記ブログエントリーにて紹介していますが、今回は別の側面から感じたオリコンへの違和感を記します。

 

 

自分は今回のオリコンの発表を踏まえ、このようにツイートしました。

オリコンの2022年度上半期ランキングの記事をみると合算ランキングはフィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミングの後に紹介されています。そしてオリコン上半期ランキングに基づくシングル関連のツイートではフィジカルおよびデジタルはみられながら合算は存在しません。

オリコンが合算ランキングを作成しながら重用していないと言えること、また合算シングルランキングをみればフィジカルセールスのウエイトが大きいことについては以前も問題視していました、今回もその印象は変わりません。

 

そして今回の合算シングルランキングからはもうひとつの違和感が浮かんできます。トップ10はこちらに掲載されていますが、トップ3はいずれもダブルAサイドの2曲が併記されています。2位においてはシングル全体のタイトル(リード曲とは別に用意)も記載されているという状態です。

(本来はトップ10について換算売上ポイント等をキャプチャし掲載したいのですが、ホームページにて『いかなるメディアにおきましても、オリコンランキングを無断で掲載するといった行為は固く禁じております』と記載されているため、ツイート掲載以外は行いません。この点についても違和感を覚えるというのが正直なところです。)

ビルボードジャパンでは複数のAサイド曲が収録されているフィジカルのセールスおよびルックアップについて、1曲のみに加算しており楽曲単位のヒットが可視化される一方、オリコンの合算ランキングは結果的にフィジカル単位で算出され楽曲の人気ランキングではないと言えます。これでは真に社会的にヒットしている曲を合算ランキングから探すことは容易ではありません。

 

尤もこのフィジカル単位での算出については、集計方法においてCD作品をベースにしていると明示されており、分かってはいたことです。

しかし昨年度は合算シングルランキングのトップ10において複数曲が併記されたのは2曲にとどまります(昨年度のランキングはこちら)。加えて昨年度首位の作品は今年度上半期も5位に入りましたが、表記は昨年度1曲だったのが今年度上半期には2曲となっており、その点にも違和感を覚えます。発表をトップ10にとどめる点からも、ビルボードジャパンのほうが信頼に足ると思われておかしくないでしょう。

 

 

オリコンが優れているのは集計方法の開示、そして発表タイミングの定時化にあります。ビルボードジャパンは前者は難しいとしても、後者をきちんと採るべきと考え、自分は幾度となく提案させていただいていますが(直近ではこちら)、ビルボードジャパンは最新チャートについても発表タイミングが遅れ、且つ遅延アナウンスも遅れていたことから、その点はオリコンに見習うべきだと強く思います。

しかしチャート全体の信頼度、いわば社会的ヒットの鑑についてはビルボードジャパンが勝るというのは今回のブログエントリーを記載して再度実感した次第。逆にオリコンはあくまでフィジカルがベースであり、合算ランキングは売上金額を主軸にしたことが今回更にはっきりしたと言えるでしょう。

 

 

個人的にオリコンについては、フィジカルセールスのランキング(特にいわゆるフラゲ日のデイリーランキング)、そしてエンタテインメントの各種記事については信頼に足ると考え、活用しています。一方でフィジカルベースの合算シングルランキングはデジタルのみリリースしながら大ヒットする作品が埋もれかねないという懸念、そしてそもそも楽曲単位ではないという点において違和感を覚えるということを今一度提示します。

そしてそもそもの話、オリコンが合算ランキングを用意した理由がビルボードジャパンを意識、対抗してのものであったならば、そしてチャートポリシーを今後も変更するつもりがないならば、合算ランキングの(社内での)重要度の低さ等を踏まえるに取りやめてもいいのではないでしょうか。