イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(訂正あり) Da-iCE「CITRUS」は『ミュージックステーション』に登場して遜色ないヒット曲…音楽番組の改善を求める

(※追記(19時45分):川崎鷹也「魔法の絨毯」のビルボードジャパンによるCHART insightがありましたので追記し、一部訂正を実施しました。Twitterにて教えてくださった紅蓮・疾風さん(ツイートはこちら)に感謝申し上げます。そして当初「魔法の絨毯」のCHART insightを掲載しておらず、失礼いたしました。)

(※追記(2022年11月26日21時34分):はてなブログにてビルボードジャパンのホームページを貼付すると、きちんと表示されない現象が続いています。そのため、表示できなかった記事のうちDa-iCEおよびDISH//のストリーミング1億回再生突破に関する内容については、そのURLを掲載したビルボードジャパンによるツイートを貼る形に切り替えました。)

 

 

 

Da-iCEを巡る一部音楽番組の冷遇が未だ終わりません…そう書くと大袈裟に映るかもしれませんが、しかしここ最近のDa-iCE紹介記事の論調はほぼ統一されています。彼らの「Kartell」のアグレッシブな姿勢を支持し、特に歌詞の面から現行音楽番組やメディアに対する強い批判を行っているように思うのです。そしてこの批判は、ブログでも幾度となく行っています。

テレビ朝日系の映像作品に主題歌が決まったならば、フルバージョンでの配信はまだだとしても出演に至らせる必要があります。これは同じ仮面ライダーシリーズの主題歌を担当した三浦大知さんが、その主題歌「EXCITE」をリリースする前に「Cry & Fight」で『ミュージックステーション』に初出演した事例を踏まえれば尚の事、なのです。

 

Da-iCEが先月リリースした「Kartell」は、様々な不条理を自ら突破し、”結果で捻じ伏せろ”と歌い上げます。

この状況、Da-iCE自体が置かれている環境と重ね合わせた方はきっと多いはずです。

記事によっては、不条理の対象を示すものもあります。個人的に、とりわけ強く賛同する記事はこちら。

好循環が生まれているとして、しかし一部音楽番組の冷遇が続いていることは看過できません。状況が変わらない以上、たとえばプレデビュー曲「Shining One」がヒットしたBE:FIRSTがフィジカルデビュー後にさらなる躍進を遂げたとしても、一部番組にて無視されるのではということが容易に想像できてしまうのです。

 

ドラマ主題歌を経てTHE FIRST TAKE出演でさらなるブレイクに至ったDa-iCECITRUS」は最新9月22日公開(9月27日付)ビルボードジャパンソングスチャートで24位にランクイン。安定したヒットを築き上げているこの曲を大きく支えるストリーミング指標は、2週前に1億回再生を突破しています。

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しかしながら、未だに主要音楽番組に出演が至れていません。特に民放音楽番組の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)未出演は個人的には強く首を傾げます。なお『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)出演は叶ったものの、あくまでEXITの客演的位置付けというものでした。

では、Da-iCEはどうすれば音楽番組に出られるのでしょう。ここでは『ミュージックステーション』を例に、同番組に初出演(一部は再出演)を果たした曲をふたつのパターンに分けて検証してみます。

 

 

① 男性ダンスボーカルグループの出演が叶った経緯とは

 

ミュージックステーション』に男性ダンスボーカルグループが出演することはなぜか至難の業となっている印象があります。いや、EXILEをはじめとするLDHグループやK-Popアクトは出演に至れても、その他の歌手においては音楽事務所の枷があると言って差し支えないでしょう。ジャニーズ事務所所属歌手(以下ジャニーズ)はフィジカルリリースを出す前でも出演に至れており、待遇の差があることは明らかと言えます。

 

(そう書くとジャニーズファンの方々から非難が寄せられるかもしれません。しかし、ジャニーズファンの方には自身の推す歌手の厚遇と、仮にその推しの方が退所した場合に一気に冷遇されてしまうだろう環境の変化に対し、はっきりNOを言わないといけないというのが私見です。その点については退所した芸能人を救うだけでは不十分、公正取引委員会が行うべきはライバル事務所所属歌手の同時出演である(2019年12月11日付)等でも記載しています。

このエントリーでは『ミュージックステーション』にて山崎まさよしさんと共演する形でDISH//北村匠海さんが初出演を果たした際の冷遇についても記していますが、ジャニーズもジャニーズ以外の男性ダンスボーカルグループも同じ番組に出演することに、果たして何の問題があるというのでしょう。)

 

その中にあって、DA PUMPは「U.S.A.」で2018年、21年ぶりに再出演を果たしました。またDISH//は「猫」で昨年初出演が叶いましたが、しかしその出演までには曲のブレイクから時間がかかっています。

 

DA PUMP「U.S.A.」

  2018年9月17日(月曜)再登場→同年9月26日公開(10月1日付)ビルボードジャパンソングスチャートに反映

  (以下、ビルボードジャパンソングスチャートに反映されたタイミングでのCHART insightを紹介。)

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(CHART insightの19週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

DISH//「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」

  2020年6月5日北村匠海さんソロにて初登場→同年6月10日公開(6月15日付)に反映

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(CHART insightの6週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)


「U.S.A.」においてはブレイクから3ヶ月、「猫」においては2020年3月20日のTHE FIRST TAKE公開→同年4月29日の同バージョン配信リリースを経ての登場ゆえ動画公開から2ヶ月以上を出演までに要したと言えます。なお「猫」のオリジナルバージョンも初出演時までの間、緩やかながら上昇していました。

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

なおDISH//においては、4人での登場にはさらに時間がかかることになります。

そう考えると、ジャニーズ以外の男性ダンスボーカルグループが満足に出演に至るまでには、曲が大ヒットのフェーズに入ってから結構な時間を有すると言えるでしょう。

 

 

② ストリーミング1億回再生突破曲の披露が叶った経緯とは

 

DISH//「猫」はTHE FIRST TAKEバージョンが2020年12月9日、オリジナルバージョンが同年12月30日に1億回を突破しています。

ビルボードジャパンでは毎週水曜、最新チャートへの更新日にストリーミングで大台を突破した曲を紹介しています。9月15日には1億回再生を突破した曲が100曲に達しました。

ストリーミング1億回が新たなヒットの基準として認知されてきたことで、音楽番組でもサブスクを主体にヒットする曲を取り上げるようになりました*1。そこで、この1年の間にサブスク主体にヒットした曲を放った歌手が『ミュージックステーション』初出演に至ったタイミングをまとめてみます。

 

(なお3月19日放送回に出演したもさを。「ぎゅっと。」(8月18日にストリーミング1億回再生を突破。記事はこちら)については、CHART insightが見当たらなかったことからここでは紹介しません*2

マカロニえんぴつは「恋人ごっこ」が6月30日までにストリーミング1億回再生突破と判明しましたが(記事はこちら)、2020年10月16日の『ミュージックステーション』で初出演した際に披露されたのは「mother」でした。またBLOOM VASEは「Bluma to Lunch」が7月7日にストリーミング1億回再生を突破しましたが(記事はこちら)、3月26日の『ミュージックステーション』で初出演した際に披露されたのは「CHILDAYS」でした。そのため「恋人ごっこ」および「Bluma to Lunch」の紹介は控えます。)

 

・wacci「別の人の彼女になったよ」

  2020年10月2日初登場→同年10月7日公開(10月12日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:2021年6月30日(記事はこちら。なおこの日までに達成と判明)

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。なお、CHART insightにおいて緑で表示されるカラオケ指標が途切れているのは、新型コロナウイルスの感染拡大に対する一回目の緊急事態宣言発令時のタイミングでビルボードジャパン側が同指標を一時集計対象から外したことに因るものです。)

・NiziU 「Make you happy」

  2020年10月30日初登場→同年11月4日公開(11月9日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:2020年10月14日(記事はこちら)

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(CHART insightの19週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

緑黄色社会「Mela!」

  2020年11月27日初登場→同年12月2日公開(12月7日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:9月8日(記事はこちら)

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

・YOASOBI「春を告げる」

  1月22日初登場→1月27日公開(2月1日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:2020年7月15日

  (2億回再生達成時の記事にて1億回再生突破の記載あり。記事はこちら)

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

・川崎鷹也「魔法の絨毯」

  1月22日初登場→1月27日公開(2月1日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:4月21日(記事はこちら)

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(CHART insightの23週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

・優里「ドライフラワー

  2月12日初登場→2月17日公開(2月22日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:1月27日(記事はこちら)

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(CHART insightの18週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

・yama「春を告げる」

  2月19日初登場→2月24日公開(3月1日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:2020年12月30日(記事はこちら)

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

Awesome City Club「勿忘」

  3月5日初登場→3月10日公開(3月15日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:4月28日(記事はこちら)

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(CHART insightの7週の目盛が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

・変態紳士クラブ「YOKAZE」

  5月14日初登場→5月19日公開(5月24日付)に反映

  ストリーミング1億回再生突破:7月21日(記事はこちら)

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(CHART insightの一番右側が、『ミュージックステーション』初登場時のリアクションが反映された週となります。)

 

 

YOASOBIにおいてはほぼ間違いなく、『NHK紅白歌合戦』をメディア初パフォーマンスと決めていたために遅ればせながらの初登場だったものと考えます。1億回再生前後に初出演を決めている曲が多い一方、たとえば変態紳士クラブ「YOKAZE」については総合チャートを急浮上するタイミングでの初出演という珍しいパターンであると言えます。

 

ストリーミング1億回再生を突破した曲を放った歌手がどのタイミングで『ミュージックステーション』に初出演を果たすかについて、①ほどの法則性はないというのが自分の見方です。Awesome City Club「勿忘」については関連映画が大ヒットしているタイミングで出演に至ったゆえに他の曲より短いスパンだったと考えます。

ストリーミングでヒットする一方で総合チャートでトップ10入りしない曲が出演に至ったのはwacci「別の人の彼女になったよ」、緑黄色社会「Mela!」そして変態紳士クラブ「YOKAZE」が挙げられ、総合トップ10入りが『ミュージックステーション』出演の必須条件ではないこともみえてきます。

 

 

それではあらためて、Da-iCECITRUS」のCHART insightをみてみましょう。

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ストリーミング指標、そして総合チャートの現在までの最高位は共に16位ですが、ストリーミングは今月1億回再生を突破しています。そして特筆すべきはカラオケ指標の好調であり、最新9月22日公開(9月27日付)においてはじめてトップ5入りを果たしています。聴取以外の面でも「CITRUS」が親しまれていることが可視化されているのです。

今回CHART insightを紹介した曲において、『ミュージックステーション』初出演以前にカラオケ指標が5位以内に到達したのはYOASOBI「夜に駆ける」および優里「ドライフラワー」のみ*3。ストリーミング1億回再生突破、総合チャートトップ10入り、そしてカラオケ指標のトップ5入りのうち2つをクリアしている「CITRUS」の強さ、浸透度の高さは十分に”結果で捻じ伏せ”ているのではないでしょうか。

 

 

ミュージックステーション』主体に問題を提示しましたが、この由々しき事態は音楽関係者、そしてチャート分析者からも挙がっています。そしてこれはDa-iCEのみならず、これまでの冷遇の歴史を踏まえれば今後も続出するだろうことが、あまりにも容易に想像できてしまいます。これは間違いなく不健全であり不条理です。

データは曲のヒット、社会への浸透度を如実に示します。日本のメディアの”一部厚遇とその他の冷遇”という状況の改善を強く求めます。

*1:ビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標は、サブスク再生回数等に基づいています。

*2:CHART insightにおいて無料会員が曲の動向を確認可能なのは、総合チャートおよび各指標のどれかひとつでも20位以内に入ったことが条件となります。ゆえに「ぎゅっと。」は見つけることができませんでしたが、こちらの見逃しにより見つけられなかった可能性もあるため、見つけた場合は後日掲載します。

*3:カラオケ指標は2019年度から集計対象となったため、DA PUMPが「U.S.A.」で21年ぶりに再出演を果たしたタイミングでは同指標は加算されていません。2019年度初週における「U.S.A.」のカラオケ指標は2位となっています。