イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】トップ10初登場のBE:FIRST「Brave Generation」にみる、ストリーミングの課題とは

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

1月31日~2月6日を集計期間とする2月9日公開(2月14日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Aimer「残響散歌」が4週連続、通算6週目の首位を獲得しました。

f:id:face_urbansoul:20220210053247p:plain

Aimer「残響散歌」はポイント前週比101.9%となり、前週より伸長。前回の集計期間中におけるアルバムリリースやTHE FIRST TAKEでの「カタオモイ」公開が、最新ソングスチャートでの確実な上昇につながったと言えるでしょう。この点は前回のチャート解説で記載しています。

そして次週はさらなるポイント増加が予想されます。この点については昨日ブログエントリーを設けて説明していますが、既にテレビ出演効果等により直近2月8日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートでは「残響散歌」が初のトップに立っています。さらに昨日は同曲のTHE FIRST TAKEが公開されたことで勢いはさらに大きくなるはずです。

 

さて今週、トップ10内の初登場は1曲のみ。BE:FIRST「Brave Generation」が6位に初登場を果たしています。

(上記はリリックビデオとなります。)

f:id:face_urbansoul:20220210053357p:plain

最新ソングスチャートの集計期間初日に解禁した「Brave Generation」は、フィジカル関連指標群およびカラオケを除く5指標が13位までに登場。同曲はミュージックビデオが用意されていない状況ながら、動画再生指標は13位と健闘しています。一方で気になるのはストリーミングの動向です。

ストリーミング指標首位獲得曲の再生回数に占めるSpotifyの割合は基本的に15%以上であることが、下記表から判ります。

f:id:face_urbansoul:20220210054359p:plain

上記表においてストリーミング再生回数に占めるSpotifyの割合が10%を割り込んでいたのは3曲(3週分)のみであり、いずれもLINE MUSIC再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)を実施。アイドルやダンスボーカルグループ、K-Popアクト等は"一定回数以上再生した方が当選確率がアップする"LINE MUSIC独自のキャンペーンを用いる傾向があり、これが各歌手のコアなファンにおけるLINE MUSICの高い利用率の理由と考えられます。

今回、BE:FIRST「Brave Generation」自体はLINE MUSIC再生キャンペーンは行われていませんが、おそらくは「Gifted.」でのキャンペーン実施がコアなファンのLINE MUSIC使用を高めたものと思われます。またチャートへの高い意識も再生回数増加につながったでしょう。一方で同曲はSpotifyが高くなく、また今回のソングスチャートと集計期間を同一とするApple Musicでも100位以内にランクインしていない状況です。

さらに、今回のソングスチャートの集計期間前半3日間では「Brave Generation」が8位に入っていましたが(下記先ヨミ記事参照)、最終的に同曲は12位となりました。前半3日間でトップ10入りしていた曲のうち、最終的に脱落したのはこの曲のみであり、「Brave Generation」はやや失速した感が否めません。

 

LINE MUSICの偏重はコアなファンとライト層との聴取数の差を、そして新曲ゆえという特性もあるかもしれませんがストリーミング後半の失速はライト層の継続視聴につながりにくかったことを、それぞれ示していると言えるかもしれません。

このライト層がつきにくい、そしてコアなファンと乖離していると言えるかもしれない問題については、「Brave Generation」のSpotify動向を踏まえて上記ツイートを起点に私見をまとめています。特に強調したいのは次の部分です。

コアなファンが主体となって1億回再生に持っていくこともできるでしょうが、コアなファンは新曲登場時にその曲へ移行する傾向が強いため、曲のファンになるライト層を増やして再生回数を伸ばすことが重要です。そうすればそのライト層も、ゆくゆくはコアなファンに昇華させることができるはずです。

これはBE:FIRSTに限らず、ダンスボーカルグループやアイドル、K-Popアクトに共通して言えること。特にジャニーズ以外の男性グループはテレビ出演できにくい状況にあるゆえ、ライト層獲得が尚の事重要となります*1。そのライト層獲得にはテレビ出演が効果的であり、ここに矛盾が発生するわけですが、しかしながら今はTikTok等バズを生むシステムは多数存在します。それを活かした施策の実行が必要ではないでしょうか。

 

チャート分析に長け、予想も実施する紅蓮・疾風さんの『高CD売上を主力とし、かつ得点源がCDに偏った上位進出と中身としては同一』という表現は、厳しいながらも強く納得します。BE:FIRST「Brave Generation」は次週、フィジカル関連指標加算2週目の曲と同種の動きをなぞり、ポイントが比較的大きくダウンする可能性が高いでしょう。一方でロングヒット曲はいずれも、コアなファンのみならずライト層に支えられているゆえにダウン幅が1割以内に抑えられています。BE:FIRSTのライト層の獲得が求められます。

*1:この『ジャニーズ以外の男性グループはテレビ出演できにくい状況にある』ということは、以前からこのブログにて客観的なデータを用いて指摘し続けています。たとえばDa-iCEにおいては「CITRUS」のストリーミング億回再生突破のタイミングで、(訂正あり) Da-iCE「CITRUS」は『ミュージックステーション』に登場して遜色ないヒット曲…音楽番組の改善を求める(2021年9月25日付)を記しました。その後Da-iCEは、今週遂に『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)への出演を果たしましたが、『仮面ライダーバイス』(テレビ朝日)の主題歌を担当しているにも関わらず未だ同局の『ミュージックステーション』への出演は叶っていません。