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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】Ado「唱」4連覇ながら気になること、およびINI「HANA_花」の施策について

最新10月18日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:10月9~15日)では、Ado「唱」が4連覇を達成しています。

Ado「唱」はポイント前週比が97.6%となり、初登場以降初めて前週を下回りました。今回の集計期間初日が祝日で平日が四日のみであり、平日が祝日になると一般的にストリーミングが伸びることが予想されたため、ポイント前週比の低下は気になります。

Ado「唱」のストリーミング再生回数は14,258,058→14,227,857回再生となり前週比99.8%と微減。ストリーミング再生回数とストリーミング指標のポイントは実際には異なりますが(サブスクサービス等の有料会員による1回再生と無料会員によるそれとでは前者のウエイトが大きくなるよう、指標化時に反映されます)、ストリーミング指標のポイントも微減もしくは横ばいになったと推測できます。

また「唱」の前週10月11日公開分におけるCHART insight(上記)と比べると、黄緑で表示されるラジオ指標が比較的大きくダウンしていることが解ります。カラオケはトップ20内に上昇した「唱」ですが、それだけではラジオやデジタル指標群のダウンを補完しきれなかったことがポイントの減少に影響したといえるでしょう。

Ado「唱」はユニバーサル・スタジオ・ジャパンハロウィーン(ハロウィン)イベントに用いられ、イベント開催期間(11月5日まで)は順調にポイントを伸ばすと予想していましたが、ともすれば今後横ばいになるかもしれません。

 

 

このAdo「唱」と千ポイント弱の差で、1万1千を上回るポイントを獲得し2位に初登場したのがINI「HANA_花」です。

INI「HANA_花」の原動力は初動45万枚超えを果たしたフィジカルセールスにありますが、ラジオ指標を制したことも大きく、後者においては現在の日本における男性アイドル/ダンスボーカルグループの強さを感じます。

INIにおいては、前フィジカルシングルのリード曲で5月31日公開分にて2位を記録した「FANFARE」と今作「HANA_花」とのCHART insightを比較すると、大きく異なる点がみえてきます。

「HANA_花」ではCHART insightにて青で示されるストリーミング指標の割合が「FANFARE」に比べて下がっていることが解ります(同指標は「FANFARE」が22位に対し「HANA_花」は77位)。これはLINE MUSIC再生キャンペーン実施の有無が関わっていると考えられます。

「HANA_花」をリード曲に据えた『TAG ME』では他のキャンペーンは行われるものの、LINE MUSIC再生キャンペーンは未実施。直近ではBE:FIRSTが「Mainstream」において(LINE MUSIC週間チャートを制するというキャンペーンは行うもののユーザー毎に再生回数のハードルが用意された)再生キャンペーンを組まなかったこともあり、再生キャンペーン自体に対する歌手側の意識が変わってきていると感じます。

 

日本ではストリーミングの初動が他の国や地域に比べると高くないのが現状であり、LINE MUSIC再生キャンペーンはロケットスタートにつながりやすい(そしてチャートにも反映されやすい)という点で用いられやすい傾向にあるのですが、その状況下にあって再生キャンペーンを導入せずともストリーミングが初週100位以内に入るのは好いと感じます。

おそらくINIは年内に『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に出演し、ライト層をより獲得しやすい状況になるのではと推測しています(上記参照)。また『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に初出場する可能性も低くないでしょう。ライト層獲得、そしてコアファンへの昇華につながれば、ストリーミング指標でのさらなる上昇も期待できるものと考えます。