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BTS「Dynamite」が首位に返り咲いた原動力は? そして新設グローバルチャートも制覇…10月3日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の9月28日月曜に発表された10月3日付最新ソングスチャート(Hot 100)はBTS「Dynamite」が首位に返り咲き、合わせて米ビルボードが今月新設した2つのグローバルチャートを共に制覇しました。

通算3週目の首位を獲得したBTS「Dynamite」は、ストリーミングが前週比11%アップの1400万(同指標12位)、ダウンロードが同96%アップの153000(同指標1位)、ラジオエアプレイが同8%アップの2080万(同指標42位)を獲得。とりわけダウンロードが倍増に至ったのは、デジタル2指標の集計期間開始日となる9月18日に新たな4つのリミックスをリリースしたため。

オリジナルバージョンおよびそのインストゥルメンタルと合わせて”NightTime Version”としてもリリースされているこの4つのリミックスが、これまでリリースされた4つのリミックスと同様にダウンロード指標主体に押し上げる効果をもたらし、新規4リミックスの「Dynamite」ダウンロードセールスに占める割合は52%に。またオリジナルバージョンを含むこれら10バージョンが全て、発売当初からずっと安価販売されていること(99セントもしくは1ドル29セントが一般的なところ、69セントで販売を継続)もまた、ダウンロード指標の高水準での維持の要因と言えるでしょう。「Dynamite」はリゾ「Truth Hurts」(2019)以来となるダウンロード指標通算5週首位を獲得、また総合チャートにおいて、デュオもしくはグループで3週以上首位を獲得したのはマルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」(2018 7週)以来となります。

 

(ただし私見を述べるならば、ダウンロードに対するストリーミングの盛り上がりの低さ、ダウンロードと他指標の乖離を踏まえるに、BTS「Dynamite」の大量リミックス投入策に対し米ビルボードが今後メスをいれる可能性があると考えます。今年多く発生しチャートの健全化を阻害したと言えるフィジカル施策同様、このリミックス大量投入もまたチャートハックの一環と捉えられてもおかしくないでしょう。BTS「Dynamite」の大量リミックス投入策、およびチャートハックという考えについては今月の弊ブログエントリーをご参照ください。)

 

そのカーディ・Bが前週まで通算4週首位を獲得し、メーガン・ザ・スタリオン(ミーガン・ジ・スタリオンと表記するところも)を招いた「WAP」は2位に後退。ストリーミングは前週比14%ダウンの3580万(同指標1位)、ダウンロードは同23%ダウンの9000(同指標5位)、ラジオエアプレイが同1%アップの3300万(同指標20位)となっており、最もピーク到達が遅いラジオエアプレイでも上昇幅が小さくなっていることから、曲としての勢いはほぼ止まったと言えます。

 

3位にはジャスティン・ビーバー feat. チャンス・ザ・ラッパー「Holy」が初登場。ジャスティン・ビーバーにとってはシカゴ、シュープリームス(スプリームスと表記するところも)に並ぶ記念すべき20曲目、チャンス・ザ・ラッパーにとっては3曲目となるトップ10入りとなりました。ストリーミングは2600万、ダウンロードは27000で2指標共に2位、ラジオエアプレイは1860万で47位発進。総合チャート初登場時におけるラジオエアプレイでの50位以内エントリーは珍しく、ジャスティン・ビーバーの人気の高さが解ります。

 

10位にはギャビー・バレット「I Hope」が、8月29日付以来1ヶ月以上の時を経て再びトップ10入り。そして今回の名義はギャビー・バレット feat. チャーリー・プースとなっています。これはチャーリー・プースをフィーチャーしたバージョンが総合的にオリジナルバージョンを上回ったため。

チャーリー・プースにとっては、ウィズ・カリファに客演参加した「See You Again」(2015 12週1位)、セレーナ・ゴメスを迎えた「We Don't Talk Anymore」(2016 9位)、客演なしの「Attention」(2017 5位)に続く4曲目のトップ10入りとなります。

 

最新のトップ10はこちら。

(※上記クレジット、10位にはチャーリー・プースの名前がありませんが記事では客演名義で記載されています。)

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) BTS「Dynamite」

2位 (1位) カーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」

3位 (初登場) ジャスティン・ビーバー feat. チャンス・ザ・ラッパー「Holy」

4位 (3位) ドレイク feat. リル・ダーク「Laugh Now Cry Later」

5位 (6位) 24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」

6位 (4位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

7位 (5位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

8位 (7位) ハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」

9位 (8位) ジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」

10位 (11位) ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」

 

そして今月米ビルボードが新設した、主要デジタルプラットフォームによるストリーミングおよびダウンロードの2指標で構成される世界全体でのヒットチャート(Global 200)、およびGlobal 200からアメリカの分を除いたGlobal Excl U.S.の2チャートにおいても、BTS「Dynamite」はトップに立ちました。Global Excl U.S.は2連覇を達成し、Global 200では初制覇。これにより「Dynamite」は米ソングスチャート(Hot 100)およびグローバル2チャートの3つ全てを制した初の楽曲となりました。

Global 200からGlobal Excl U.S.を引けば、米におけるダウンロードセールスが31000と判明します。Hot 100の同指標における153000との乖離はおそらく、「Dynamite」の米における売上の大半がiTunes Store等(Global 200等で換算対象となる)デジタルプラットフォームではなく、歌手のホームページにて購入されているためと推測されます。