イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ジャニーズ事務所所属歌手とジャニーズ以外のアイドルにおけるシングルCDセールス、コロナ禍で差がついていた件

ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)において今月気になったのが、9月14日付でチャートを制したSTU48「思い出せる恋をしよう」、9月21日付で9位に登場したBOYS AND MEN「Oh Yeah」の動向。共にシングルCDセールス初加算に伴う上昇ですが、どちらも初週セールスが前作の半分に満たなかったのです。それを踏まえ、このように記載しました。

6月以降にCDリリースを再開したジャニーズ事務所所属歌手が新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の発令以前と変わらないかもしくは売上を伸ばしている一方、ジャニーズ事務所所属歌手以外のアイドルにおける急落が気になるのです。

であればその売上枚数について比較する必要があると考え、コロナ禍における緊急事態宣言発令以降、すなわち実店舗の営業ならびにイベント開催の自粛が強化された4月以降、今日に至るまでに上位に登場した曲でその動向をまとめてみました。前々作までを対象とした(そして最新作の前々作との比較を掲載した)のは、この直近3作品でイベント開催数が異なったり、複数種すべてを購入しないと全曲揃えられないか否かに差が生じると考えたためです。

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色付けは、先日紹介したTwitter指標における順位表に合わせています。

一覧化してみると、先述したSTU48やBOYS AND MENのような状況が必ずしも起きているわけではないと言えます。NMB48「だってだってだって」はむしろ上昇していますが、これは同日発売の関ジャニ∞「Re:LIVE」とのセールス対決のためファンが発奮したと捉えることも可能でしょう。しかしながら、全体的には下がっているという印象があります。

 

ただこれは色付けしていない歌手および青色表示したジャニーズ事務所所属歌手を除いた、ジャニーズ以外の男性アイドルや女性アイドル、K-Popアクト、LDH所属歌手そしてアニメ等のジャンルでの話。ジャニーズ事務所所属歌手においては前作と比較可能な10曲のうち前作割れは4曲にとどまり、最も低くて84.0%というのは驚異的とすら言えます。山下智久「Nights Cold」は前作「CHANGE」が自身主演となる地上波放送のドラマタイアップだったこと、SixTONES「NAVIGATOR」は前作がデビュー曲だったことの反動と言え、嵐「カイト」はファンクラブ限定盤がビルボードジャパンのチャートポリシーに基づきカウントされないことや前作「BRAVE」にライブイベントの抽選参加権が同梱されていたことの反動で低くなったと想定されることから、大幅に落としていないというのが私見。色付けした歌手の推定売上枚数を合計して比較すると、ジャニーズ事務所所属歌手が前作比105.4%に対しジャニーズ以外が77.2%であり、その差は歴然なのです。

(なお色付けしていない歌手がある理由は、アイドル等カテゴライズにしにくいと考えたためであり、またタイアップの有無により売上枚数が大きく異なるためです。)

 

先に取り上げたブログエントリーでは、推測の域を出ないと前置きした上でこのようなことを書きました。

メディア露出の多いアイドル(それこそジャニーズ事務所所属歌手はその代表格)以外においては、握手会やイベント等ファンとの密接な接触ができる機会をCDの特典として提供することをセールスの起爆剤としていたと思われます。それがコロナ禍により自粛せざるを得なくなったことで、接触ができなくなったことを嘆くファンがCD購入を止めたのではないかと。

先述したように、イベント開催数が異なったり複数種すべてを購入しないと全曲揃えられないか否かによっても変わりますが、しかしイベントが基本的に未開催でも売上が安定しているジャニーズ事務所所属歌手と、ジャニーズ以外のアイドル等とではっきりとした差が生じたことが確定したと感じます。ジャニーズ以外の男性アイドルグループはメディア露出が未だ難しい状況であり、どうやってCDセールスの逆風をカバーするかは急務です。

 

また9月17日付ブログエントリーでは、緊急事態宣言発令以降『乃木坂46欅坂46が最新曲をデジタルでのみリリースしたことも、このことが背景にある気が』とも書きました。CDセールスの落ち込み度合いが予想できにくいこと、そしてCDセールスが落ちれば彼女たちのキャリアに傷がつくと考えたことがCD回避の理由なのかもしれません。