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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HANA「ROSE」やMrs. GREEN APPLE「青と夏」におけるフィジカルセールス動向に注目する

HANA「Blue Jeans」が首位初登場を果たした7月23日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、前フィジカルシングル表題曲の「ROSE」も上昇。特に、フィジカル(CD)セールスが伸びていることに注目です。

続く2位は、同じくHANAのメジャーデビュー曲「ROSE」。前週と比べてCDセールスが257%、ストリーミングが118%、ダウンロードが121%、カラオケが130%に増加し、前週より4ランクアップとなった。他にも、HANAは9位に「Burning Flower」がチャートインするなど、トップ10に3曲を送り込んだ。

(7月23日公開分ビルボードジャパンソングチャート、HANA「ROSE」の指標構成を示したCHART insightを上記に。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。なお、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

HANA「ROSE」は7月9日公開分ビルボードジャパンソングチャートにおいて(CHART insightにて黄色で表示される)フィジカルセールス指標が50位未満となり同週の売上枚数は不明ながら、その分を除けば最新7月23日公開分までの同曲におけるフィジカルセールスは64,349枚に。初週46,866枚を売り上げていることから、そこから12週で1万8千枚程売り上げたことになります。

そしてHANA「ROSE」はフィジカルセールス指標の基となるTop Singles Salesチャートにおいて、最新7月23日公開分(→こちら)で50位までに入った曲のうち最長エントリーを記録しています。

 

7月23日公開分のビルボードジャパンTop Singles Salesチャート、50位以内で10週以上エントリーしている曲はHANA「ROSE」の他に2曲存在します。≠ME「モブノデレラ」は登場12週目にして8位にランクイン。また北川大介「北の街 函館」は41位に再登場し、同チャートにおける100位以内在籍を11週に伸ばしています。

北川大介「北の街 函館」においては演歌・歌謡曲歌手が多用するようなフィジカルセールスの複数回リリースは行われていません。他方、≠ME「モブノデレラ」においてはフィジカルリリース後のフィジカルセールス施策が連続で開催されている模様であり、フィジカルセールス指標が安定すると共に最新7月23日公開分の総合ソングチャートでは98位に再登場を果たしています。

その中にあって、HANA「ROSE」の上位安定は特筆すべきといえるかもしれません。特にニューシングル「Blue Jeans」の初登場週における上昇からは、HANAのコアファンになった方が「Blue Jeans」リリースのタイミングで「ROSE」も購入したという背景が想起可能です。

 

 

HANA「ROSE」のフィジカルセールスからは、Aぇ! group「《A》BEGINNING」のチャート動向を想起した次第です。

Aぇ! group「《A》BEGINNING」がフィジカルセールス指標100位以内から未だ脱落していないのは、デジタル未解禁やカップリング曲のアルバム未収録もさることながら、HANA「ROSE」同様にこの曲がデビュー作品であるという位置付けも影響しているものと考えます。

 

 

フィジカルセールス指標100位までに入った曲のCHART insightをみると、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手作品の長期安定やK-POP歌手作品の強さ等の様々な気付きを得ることができます。そしてもうひとつ注目したいのが、Mrs. GREEN APPLEが2018年8月にリリースした「青と夏」の動向です。

上記は「青と夏」における直近60週分、および150週分のCHART insightですが、「青と夏」は2023年6月以降フィジカルセールスが300位以内に入り続けていることが解ります。そして昨年7月以降は同指標100位以内に達する機会も増えています。

「青と夏」のフィジカルシングルには井上苑子さんを迎えた「点描の唄」がカップリングに収録。オリコン合算シングルランキングでは「青と夏」と「点描の唄」が合算され、2025年度上半期ランキングでは2位を記録しています(【オリコン上半期ランキング2025】Mrs. GREEN APPLEが3冠達成、Snow Man・なにわ男子が2冠、乃木坂46が「シングル」1位2位独占 | ORICON NEWS(6月25日付)参照)。

(オリコン合算シングルランキングでは、フィジカルをリリースしている曲の場合はフィジカルシングル単位でカウントされます。)

 

現在の音楽環境はフィジカル以上にデジタルが、所有よりも接触が主体であり、ゆえにフィジカルを購入するのはコアファン(の一種の証明)であるという認識が高まっています。その状況下での「青と夏」のフィジカルセールス動向は、Mrs. GREEN APPLEのコアファンが着実に増加していることを知るに十分なデータといえるかもしれません。