最新6月28日付米ビルボードソングチャート(→こちら)では、レオン・トーマス「Mutt」が12位に上昇。同曲における最高位を更新しています。
レオン・トーマスは俳優として活動しながら、2012年に初のミックステープ『Metro Hearts』を発表。2022年5月にタイ・ダラー・サインとモータウンによるジョイントベンチャーのEZMNYレコードと契約し、2023年8月にファーストアルバム『Electric Dusk』、翌年9月に『Mutt』をリリースしています。
レオン・トーマスはプロデューサーやソングライターとしても活躍。特にベイビーフェイス等と共に手掛けたシザ「Snooze」(『SOS』(2022)収録、翌年シングル化)にて、昨年グラミー賞の最優秀R&Bソング賞を受賞しています。ジャンル別部門ながらテレビ中継される授賞式(本編)にて紹介されたこともあり尚の事、レオンが現代R&Bに欠かせない存在だと解るでしょう。
レオン・トーマス「Mutt」は、2月8日付米ビルボードソングチャート(→こちら)で100位に初登場を果たすとその2週後には90位に再登場し、以降上昇を続けます。5月31日付ではモーガン・ウォーレン『I'm The Problem』収録曲が大挙初登場を果たしながらも「Mutt」は17→18位と下落幅を抑え、そして最新6月28日付にて最高位となる12位に達したという状況です。
「Mutt」のシングルリリースは昨年8月であり、ソングチャート100位以内到達までおよそ半年かかっています。エンチャントメント「Silly Love Song」(『Once Upon A Dream』(1978)収録)をやや早回しした形で用いた「Mutt」は、そのサンプリング元も相まってヴィンテージソウルの空気感を纏っています。
この「Mutt」の魅力をさらに増幅させるべく、フレディ・ギブスを迎えたバージョン、そして今年に入りクリス・ブラウンをフィーチャーしたバージョンが用意されています。ミュージックビデオはフレディ参加版で制作されていますが、レオン・トーマスによる単独版の公式オーディオのほうが動画の再生回数が多いことから、聴いた方が最終的にレオン単独版に回帰していくという流れがみられます。
「Mutt」の魅力が広く伝わり始めた頃(それこそ初の米ソングチャート100位エントリーを果たした週に)、レオン・トーマスは『The Late Show with Stephen Colbert』にて「Mutt」をテレビ初披露。さらには同月後半、『Tiny Desk Concert』に出演し同曲を披露しています。
コラボレーション等の効果に伴い認知度を高めた「Mutt」で、レオン・トーマスは今月開催されたBETアワード(ノミネート一覧はこちら)にて最優秀新人賞を受賞。「Lose Control」にて昨年度の米ビルボード年間ソングチャートを制したテディ・スウィムズや、「A Bar Song (Tipsy)」が年間2位となった上に歴代最長タイの19週首位を獲得したシャブージー等を退けての受賞は、大きな意味を持つはずです。
米ビルボードソングチャートではストリーミングに強いアルバムの初登場時に収録曲が大挙ソングチャートに登場しますが、そうでない限りはロングヒット中の曲が急落することはほぼありません。レオン・トーマス「Mutt」は客演参加版の用意や、『Mutt』のデラックス盤である『Heel』(クリス・ブラウン客演参加版を追加)を5月末にリリースしたことで施策は尽きたようにみえますが、しかし地ならしは十分でしょう。
#12 on Billboard. 20 weeks later and MUTT still got something to say. Let’s keep building 🙌🏾 pic.twitter.com/OcS64IPXfA
— Leon Thomas (@leonthomas) 2025年6月25日
レオン・トーマスは最新の米ビルボードソングチャートにおける「Mutt」の最高位更新に対し、喜びのポストを発信しています。米では音楽チャートに真摯に向き合う歌手が多く(施策の巧さもそのことが背景にあると考えます)、そしてチャート上昇時には喜びの発信を行います。「Mutt」がトップ10入りし、レオン・トーマスが歓喜の声を上げるかに注目です。
レオン・トーマス「Mutt」については米ビルボードのコラムが充実していますので、是非ご確認ください。
またレオン・トーマスは、公式YouTubeチャンネル(→こちら)にて『MUTT: The Journey』と題したドキュメンタリーを発信。4部作のうち3つが公開済であり、最終回がいつ公開されるかが施策の側面からも気になるところです。