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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新ビルボードジャパンアルバムチャート、『ANTENNA』がフィジカル首位の『喜怒哀楽』を上回った要因とは

2020年からポッドキャストBillboard Top Hits (通称:ポッドチャート)】を毎週発信しています。ビルボードジャパンがアルバムチャートの発表を木曜に変更したことを踏まえ、ポッドキャストにおいても今年から木曜19時に公開しています(YouTubeでの公開はわずかですが遅れます)。

今回はポッドキャストでも紹介した、最新のビルボードジャパンアルバムチャートについて紹介します。

 

 

昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(2月19日公開分(集計期間:2月10~16日))では、Mrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が5週ぶりに首位に返り咲いています。

当週はNEWSの増田貴久さんによるソロアルバム『喜怒哀楽』が4位に初登場していますが、『ANTENNA』と構成3指標の動向を比較すると、今のビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)設計の意図がみえてくるようです。

 

<2025年2月19日公開分 ビルボードジャパンアルバムチャート

 Mrs. GREEN APPLE『ANTENNA』および増田貴久『喜怒哀楽』のチャート動向>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

Mrs. GREEN APPLE『ANTENNA』 総合1位

 フィジカルセールス 15位 (2,470枚)

 ダウンロード 7位 (300DL)

 ストリーミング 1位

・増田貴久『喜怒哀楽』 総合4位

 フィジカルセールス 1位 (85,327枚)

 ダウンロード 1位 (1,174DL)

 ストリーミング 100位未満(300位圏内)

 

フィジカルセールス1枚とダウンロード1DLとでは後者のほうがウエイトが大きく設定されていますが、単純合算してもMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が2,770ユニットに対し増田貴久『喜怒哀楽』は86,501ユニットと大差がついています。このユニット数の差を覆したのが、ストリーミング指標ということになります。

最新2月19日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートのトップ10をみると、増田貴久『喜怒哀楽』がNiziU『AWAKE』と入れ替わった以外は前週の顔ぶれが(順位こそ違えど)変わっていません。その安定性もまた、ストリーミング指標が導入された昨年末以降における、このチャートの特徴です。

アルバムチャートにてフィジカルセールス10万未満で同指標を制した作品に、すとぷり『Strawberry Prince Forever』が挙げられます。フィジカルセールス93,898枚を記録した一方でストリーミング指標は加点されず、総合では8位に初登場しています(1月15日公開分)。増田貴久『喜怒哀楽』はすとぷりの作品にフィジカルセールスでは及ばないものの、ストリーミング指標の加点が総合チャートトップ5入りの要因だと解るでしょう。

 

ちなみに2月19日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートと集計期間を同一とするオリコン合算アルバムランキングでは、増田貴久『喜怒哀楽』が首位に立っています。Mrs. GREEN APPLE『ANTENNA』は同ランキングで7位(ポイントは『喜怒哀楽』の13.1%)、また最新ランキングトップ10(→こちら)の顔ぶれを見るに、オリコンがストリーミングよりもフィジカルセールスに重きを置いていることがよく分かるはずです。

 

前週のアルバムチャートを制したNiziU『AWAKE』は当週15位に後退しています。フィジカルセールスやダウンロード数は前週比1割前後と売上自体は大きくダウンした一方、ストリーミングは前週と同じく29位を記録したことで総合順位のダウン幅を小さくしたといえます。今後このストリーミング指標を高位置で安定させることができればロングヒットにつながり、また『NHK紅白歌合戦』への復帰も近づくかもしれません。