イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年2月19日公開分)

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年2月19日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・BE:FIRST「Spacecraft」

 2月12日公開分 1位→2月19日公開分 4位

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

前週首位初登場を果たしたBE:FIRST「Spacecraft」は4位に後退しています。この曲については、これまでのBE:FIRSTによるフィジカルシングル表題曲動向と比較した内容をBE:FIRST「Spacecraft」がビルボードジャパンソングチャートで首位初登場、一方で注目する点とは(2月13日付)にて紹介しました。下記表はそのブログエントリーで掲載した分に、最新週の動向を追記したものです。

BE:FIRST「Spacecraft」は登場2週目におけるポイント前週比が前々作「Mainstream」(2023)や前作「Masterplan」(2024)とほぼ同じとなりましたが、初登場時のポイント自体が前作を下回っているため、2週目のポイントも前作ほど高くはありません。ストリーミング指標においてはフィジカルシングル表題曲のフィジカルセールス指標加算2週目にてはじめて、トップ10内から脱落しているということが特に気になった次第です。

一方で、フィジカルセールス加算2週目における総合順位では、BE:FIRSTがアイドル/ダンスボーカルグループのジャンルにおいて強さを誇っています。この点は、ビルボードジャパンのチャートディレクターを務める礒﨑誠二さんがポッドキャストにて触れています。

「Spacecraft」においては『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)の2月10日放送回におけるパフォーマンス映像を、2月18日火曜に歌手側のYouTubeチャンネルで公開しています。これが動画人気のみならずストリーミング再生回数増加に影響を与えるか、注目です。

 

さて、最新2月19日公開分のビルボードジャパンソングチャートではトップ10内の顔ぶれが変わっていません。岩田剛典「Phone Number」はフィジカルセールス加算初週に51,209枚を売り上げていますが、総合ソングチャートでは11位となりトップ10ヒットには至れませんでした。

「Phone Number」において、注目すべきは最新週にストリーミング指標が加点されていないということです。

岩田剛典さんによるユニバーサルミュージック移籍第一弾作品「Phone Number」はデジタル先行でリリースされ、2月5日までを対象期間とするLINE MUSIC再生キャンペーンを実施。これが前週まで2週連続でストリーミング指標300位以内に入り加点対象となった要因ですが、当週は企画終了が影響してか加点されていません。仮に当週もストリーミング300位以内だったならば、総合でのトップ10入りは間違いなかったでしょう。

ならばLINE MUSIC再生キャンペーン対象期間をフィジカルリリース週まで伸ばすべきという見方が出るかもしれませんが、LINE MUSIC再生キャンペーンが対象楽曲をリリースした歌手のコアファンに向けた企画であり、曲は気になるが歌手のファンというわけではない、しかしロングヒットには欠かせないライト層のニーズを喚起しているわけではないということがみえてきます。中長期的な施策こそ、より重要となるはずです。

 

2025年度にビルボードジャパンが新設した、総合ソングチャートからダウンロード、ストリーミングおよび動画再生の3指標による合計ポイントの増加順に並べたHot Shot Songsチャートでは、最新2月19日公開分にて=LOVE「とくべチュ、して」が1位、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「BURN」が2位に入っていますが、いずれもLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲であり、他のサブスクサービスとの乖離が目立っています。

今回のHot Shot Songsチャートから考え、つぶやいた内容を以下に貼付し、ビルボードジャパンに対しチャートポリシーの見直しを提案します。