イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年8月28日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で今夏再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年8月28日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

最新週における指標毎のポイント構成

 (CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)

 

・BE:FIRST「Blissful」

 8月21日公開分 1位→8月28日公開分 8位

モーニング娘。'24「なんだかセンチメンタルな時の歌」

 8月21日公開分 4位→8月28日公開分 100位未満(300位圏内)

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

BE:FIRST「Blissful」については別途エントリーを設け、紹介しています。

 

そして、モーニング娘。'24「なんだかセンチメンタルな時の歌」はハロー!プロジェクト所属歌手の作品として今年度初めてビルボードジャパンソングチャートでトップ5入りしたものの、当週は100位圏外に急落しています。

モーニング娘。'24を含む大半のハロー!プロジェクト所属歌手による作品は(以前在籍していた方も含め)未だ音源がサブスク解禁されていません。仮に解禁すれば(ストリーミング300位以内に入り同指標表が加点対象となることで)フィジカルセールスと相まって週間単位でさらに高い位置につけ、そしてロングヒットも狙いやすくなるものと考えます。

 

上記はアイドル/ダンスボーカルグループにおけるビルボードジャパンソングチャートの”ヒットの7段階”(8月26日付)にて掲載した表ですが、そもそもサブスクを解禁しておらずストリーミング指標の獲得が厳しい歌手の作品は第1段階でとどまるというのが自分の見方です。

なお、YouTubeのオーディオストリーミングはストリーミング指標に加算されるため、動画が人気になることでストリーミング指標を獲得できる可能性もありますが、ストリーミング全体の再生回数(水準)が上昇している現在ではその可能性が以前よりも低くなっています。

 

M-line Music〉の全曲がサブスク解禁される。

ハロー!プロジェクトを卒業したアップフロントグループ所属のOGを中心に音楽活動をおこなっているオフィシャルファンクラブ〈M-line club〉。そのメンバーなどの音楽活動についての情報を2021年から発信しているのが〈M-line Music〉だ。

ハロー!プロジェクト関連では今年6月に関連歌手のサブスク解禁があり、また太陽とシスコムーンが上記と同じタイミングで登場。またつんく♂さんが手掛けたギャルルのシングル(2007)は、『ラヴィット!』(TBS)の番組企画に伴い誕生した超ギャルルのデビュー曲共々今夏サブスク解禁されています。一方でモーニング娘。松浦亜弥さんといった所属歌手(過去在籍者を含む)の作品は、未だ解禁されていません。

 

 

ハロー!プロジェクトのサブスク未解禁が機会損失を呼んでいるだろうことについては、2022年、サブスク未解禁により大きなヒットに至れなかったと考える曲一覧 - イマオト(2022年12月26日付)等にて紹介しています。加えてハロー!プロジェクト所属歌手のYouTube掲載のミュージックビデオに"Promotion Edit"と付けられている状況は、あくまでもフィジカルを売ることが最優先という姿勢を示すに十分かもしれません。

YouTubeにおける"Promotion Edit"検索結果はこちら

 

音楽業界にはフィジカルセールスが今も重要である、他方デジタルには重きを置かないと考える方が未だにいらっしゃるのかもしれません。フィジカルが全く重要ではないとは思いませんが、しかしながらライト層に認知浸透した曲が時を越えて親しまれることを踏まえれば、先述した考え方を持つ方が仮にいらっしゃるならば発想を変えることを願うばかりです。

AKB48「恋 詰んじゃった」が4週連続でビルボードジャパンソングチャート50位以内エントリーを果たしながら、実際はコアファンのフィジカル継続購入が主要因だった(先述した表では第2段階に該当する)ことを踏まえ、上記の内容を記載しました。おそらくはフィジカルセールス重視、ビルボードジャパンよりもオリコン重視という考えは未だ音楽業界に根強いと感じますが、その考えからの脱却は必須だと厳しくも断言します。