今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。
前週のエントリーはこちら。
ビルボードジャパンの最新のソングチャートに関する記事については、以下をご参照ください。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」露出拡大で7週目の総合首位、Number_i「GOAT」は僅差で2位 https://t.co/HScvLAzFyJ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年3月13日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2024年3月6日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・65位 (前週2位) SKE48「愛のホログラム」
・49位 (前週4位) ATEEZ「NOT OKAY」
・9位 (前週9位) Vaundy「タイムパラドックス」
・55位 (前週12位) BE:FIRST「Set Sail」
前週フィジカルセールス指標3位までに入った3曲は、当週いずれも総合100位以内をキープしています。その中で最も下げ幅が小さかったNCT WISH「WISH」においては、当週になってストリーミング指標が加算されています。
LINE MUSICにて、2月28日(水)配信 NCT WISH 1st Single『WISH』収録の「WISH (Japanese ver.)」と「WISH (Korean ver.)」をキャンペーン実施期間内にたくさん聴いていただいた再生回数上位の方の中から、東京・大阪・名古屋にて実施予定の個別サイン会にご招待! 各会場ごとに再生回数上位10名様、合計30名様をご招待いたします。
LINE MUSIC再生キャンペーンは今回の集計期間前から始まっていたのですが、当週になってストリーミング指標が300位以内に到達した形です。今回、『「WISH (Japanese ver.)」と「WISH (Korean ver.)」のどちらも各1回以上LINE MUSICでたくさん聴く』ことが条件となっています(『』内は上記リンク先より)。
ビルボードジャパンソングチャートにおいては基本的に、言語の違いのみが異なるバージョンは合算されることから、日本語版および韓国語版共に各1回以上聴取するという条件が組まれたといえるかもしれません。他方、他のサブスクサービスでは上昇していないことを踏まえれば、キャンペーン終了後に急落することも考えられます。
2週前のフィジカルセールス指標初加算時に2位を獲得した櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」は当週、13→52位と後退しています。特に顕著な動きを示したのがストリーミング指標(8→74位)ですが、これはLINE MUSIC再生キャンペーン(→こちら)が集計期間2日目に終了したことが理由と考えていいでしょう。この曲も他のサブスクサービスとLINE MUSICとでヒットに乖離がみられています。
本来ライト層のヒットを可視化し安定したヒットとなるはずのストリーミング指標において、LINE MUSIC再生キャンペーンはコアファンの過熱とその反動を呼び込み、急上昇と急落を招きます。そのような作品を社会的ヒット曲とは呼び難いと考えます。
ビルボードジャパンはLINE MUSIC再生キャンペーン対象曲すべてに係数処理を行うことが重要だということは、以前から唱えていることです。今一度その提案を掲載し、チャート管理者側が議論することを願います。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2024年3月13日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・3位 (初登場) Sexy Zone「puzzle」
・6位 (再登場) =LOVE「呪って呪って」
・7位 (初登場) SUPER★DRAGON「New Rise」
・18位 (前週24位) TWICE「ONE SPARK」
・20位 (前週62位) 友成空「鬼ノ宴」
1月10日公開分のビルボードジャパンソングチャートで首位に初登場を果たしたNumber_i「GOAT」は、当週フィジカルセールス指標初加算に伴い32→2位に上昇しています。この曲についてはフィジカルシングルカップリング曲の動向も含め、3月15日付ブログエントリーにて紹介しています。またその際、Sexy Zone「puzzle」の動向等についても触れています。
また、友成空「鬼ノ宴」は前週総合順位が一時的にダウンしていましたが、これは動画再生指標の”欠測”に伴うものといえます。その欠測についての疑問をCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を例に、3月14日付ブログエントリーにて紹介しています。ビルボードジャパンと関係者側がタッグを組み、システムに欠陥はないか等をきちんと調査することを願うばかりです。
その友成空「鬼ノ宴」はフィジカルシングル未リリースゆえ5指標が加算対象となりますが、欠測が解消された動画再生を含めいずれの指標も上昇しているのが特徴です。特にラジオが当週はじめて300位以内に入っていますが、これは集計期間中の番組出演も影響していると思われます。
@tomonarisora 鬼の宴って曲作った。#作詞作曲 #オリジナル曲 #バズれ ♬ 鬼の宴 d e m o - 友成空
ラジオ出演時に友成空さんが語っているように、「鬼ノ宴」はTikTokで好調だったことで正式リリースに至った曲。このような、TikTokにて制作段階の曲を公開し好評ならばリリースするという流れは増えており、ヒット中のtuki.「晩餐歌」においても似ているといえるでしょう。
TikTokでバズを起こした曲が正式にリリースされればそのタイミング、もしくはそこから程なくしてバズが発生する可能性が高い以上、ラジオ業界側はこのようなヒットへの対応を強め、アンテナの感度を高める必要があるものと考えます。