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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週および当週の上位初進出曲、CHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年2月28日公開分)

今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。

前週のエントリーはこちら。

ビルボードジャパンの最新のソングチャートに関する記事については、以下をご参照ください。

(実は上記ポスト内リンク先の記事は、翌29日にも訂正されています。この点については後日ブログにて紹介する予定です。)

 

 

まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。

 

<2024年2月21日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

・12位 (前週2位) Snow Man「LOVE TRIGGER」

・22位 (前週4位) 宇多田ヒカル「何色でもない花」

・100位未満(300位圏内) (前週9位) WOLF HOWL HARMONY「Frozen Butterfly」

・2位 (前週15位) 櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」

・8位 (前週19位) SPYAIR「オレンジ」

 

櫻坂46「何歳の頃に戻りたいのか?」については、木曜付のブログエントリーにて紹介しています。

 

Snow Man「LOVE TRIGGER」がフィジカルセールス指標加算2週目で総合トップ10から後退しました。Snow Manがフィジカルセールス指標初加算週に総合首位に至れなかったのはデビュー曲「D.D.」(2020年2月3日公開分)以来ですが(同時リリースのSixTONES「Imitation Rain」に敗れています)、同指標加算2週目でのトップ10落ちは「Secret Touch」(2021年12月20日公開分 12位)以来2回目となります。

デジタル未解禁歌手が未だ少なくない日本にあって、Snow Manほど解禁すれば年間チャート100位以内登場を目指せる歌手はいないと考えます。加えて今作ではダブルAサイドのもうひとつのシングル「We'll go together」が動画再生指標で「LOVE TRIGGER」に勝っています。デジタルを解禁すれば「LOVE TRIGGER」のトップ10キープ、そしてフィジカルセールス指標未加算の「We'll go together」が上位キープできたはずです。

 

一方で、SPYAIR「オレンジ」は登場2週目でトップ10入り。ストリーミング指標の上昇を筆頭に、映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の大ヒットが波及していることは間違いありません。そして当週の集計期間中にはその直前に公開されたミュージックビデオ、さらに2月21日水曜にTHE FIRST TAKEが公開されたことが動画再生指標の13位初登場につながったといえるでしょう。

 

 

続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。

<2024年2月28日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初めて登場した作品のCHART insight>

 

・4位 (初登場) OCTPATH「OCTAVE

・16位 (初登場) 高嶺のなでしこ「美しく生きろ」

・19位 LE SSERAFIM「EASY」

 

LE SSERAFIM「EASY」の動画再生指標は未加算の状態です。この指標において『ランクインしていないのは、ウィークリーでの国内における再生回数が圏外であったか、ISRCを動画アップロード時に付番していないか、の理由が考えられます』とビルボードジャパンは示しており(【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANより)、後者においては歌手側の早急な対策が必須となります。

 

さて、当週はIMP.「SWITCHing」が11位に再登場を果たしています。

当週フィジカルセールス指標が初加算されたことに伴う再浮上ですが、今回の獲得ポイントはこの指標のみであり、ストリーミングや動画再生といった接触指標群は加点されていません。実際、ストリーミング指標においては一度も300位以内に入っていない状況です。

ピークの複数回発生は見事とはいえますが、フィジカルリリース曲はそもそもフィジカルセールス指標初加算のタイミングでピークが生まれ、言い換えればその翌週にポイントを大きく落とすことはCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリー一覧で紹介している通りです。最善は、接触指標群をキープすること。フィジカルセールス指標初加算時により大きな勢いが生まれ、また翌週の急落も生まれにくくなります。

 

IMP.が所属するTOBEは、フィジカルセールスの販路を限定しています。それがコアファンとのつながりを濃くしているともいえますが、広く音楽ファン、特にアイドルファンへの認知浸透に至っているかについて疑問に思う部分は否めません。接触指標群はコアファンの熱量も反映しつつ、特にライト層(歌手は好きというわけではないが曲が気になる方々)の人気を可視化したものであり、このライト層への浸透が重要と考えます。

この点に関して、IMP.と同じTOBEに所属するNumber_i「GOAT」について採り上げたエントリーにて、ライト層獲得のアプローチを提案しています。尤もこの内容はすべての歌手に当てはまるものですが、今後はフィジカルの販路を限定する歌手も少なくないことから尚の事有効に成るのではと考えます。