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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Spotifyデイリー56万回超えのCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を大ヒット曲と比較する

本日発表されるビルボードジャパンソングチャート(1月31日公開分)では、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の動向に注目です。前週は27→5位と躍進した同曲は、1月28日付の日本におけるSpotifyデイリーチャートでは56万回再生を突破。次回のビルボードジャパンソングチャートは1月28日までが集計対象となるため、「Bling-Bang-Bang-Born」の総合首位進出も考えられます。

「Bling-Bang-Bang-Born」がYOASOBI「アイドル」クラスになりつつある状況を踏まえ、近年のヒット曲と比較してみます。

 

 

Spotifyビルボードジャパンソングチャートのストリーミング指標(その基となるStreaming Songチャート)にデータを提供するサブスクサービスのひとつで、再生回数全体の2割前後を占めています。デイリーチャート200位までの再生回数を可視化していることから、Spotifyの動向を知ることで今のヒット規模、そして今後の動向も推測することができると捉えています。

そこで、Spotifyデイリーチャートにおける初登場以降8週分の推移を比較します。まずは2022年10月以降にデイリー50万回再生を突破したYOASOBI「アイドル」およびOfficial髭男dism「Subtitle」、さらに50万未満ながら大ヒットを記録した米津玄師「KICK BACK」およびAdo「唱」の動向を紹介します。

加えて、4曲におけるビルボードジャパン各種チャートの動向もまとめています。なお「KICK BACK」および「Subtitle」は総合100位以内登場前から300位圏内にランクインしていましたが(当時存在したTwitter指標の影響に因るもの)、総合100位以内ランクイン以降分を表示しています。

 

2つ目の表を用意した理由は、昨年のビルボードジャパン年間ソングチャートを制したYOASOBI「アイドル」、そして下半期リリースながら年間17位にランクインしたAdo「唱」の原動力に”活用”があることを紹介したため。この活用については下記エントリー内、2つ目の項目をご参照ください。

TikTok Weekly Top 20では米津玄師「KICK BACK」やOfficial髭男dism「Subtitle」が強いとはいえないため、TikTokそして活用の重要性自体は2023年により高まったものと捉えていいかもしれません。一方でUGCは2022年リリースの2曲も高く、タイアップの映像作品や企画と相まって人気となっているといえます。

 

そしてSpotifyデイリーチャートにおいては米津玄師「KICK BACK」が早い段階でデイリー最高再生回数を記録した一方、Official髭男dism「Subtitle」およびYOASOBI「アイドル」は5週目、Ado「唱」は8週目に最高再生回数を記録しており、とりわけ「Subtitle」は最高再生回数達成日まで常時前週同曜日超えを果たしていることに注目です。

「Subtitle」においてはタイアップ先のドラマ『silent』(フジテレビ)の話題が再生回数前週同曜日比に大きく影響したものと考えます。また、たとえばAdo「唱」が8週目にピークを迎えたのは同曲がユニバーサル・スタジオ・ジャパンハロウィーン(ハロウィン)イベントとのコラボ曲であり、ハロウィーンに近い週末に最も伸びたと捉えることが可能。つまり、タイアップ先の人気やその拡がりと再生回数推移がリンクしています。

(なお日本のSpotifyにおいては、平日より土曜、土曜より日曜の再生回数が増加し、また平日の中では金曜が最も少なくなる傾向にあります。またAdoさんについては2022年6月8日にリリースした「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が登場から11週目となる同年8月21日付にて最高再生回数(464,441回再生)を記録していますが、同曲は映画『ONE PIECE FILM RED』公開に伴い急浮上しています。)

 

では、大ヒットのフェーズに突入したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はどうでしょう。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はOfficial髭男dism「Subtitle」よりも速い段階でデイリー50万回再生を突破しています(ただしサブスクユーザーは徐々に増加しており、過去曲と再生回数のみで比較することは好いとはいえないことは記しておきます)。またSpotify再生回数の前週同曜日比は常に100%以上の状況が続いています。

この迅速な上昇は、「Bling-Bang-Bang-Born」がビルボードジャパンによるTikTok Weekly Top 20、およびTop User Generated Songsというふたつのチャートで初週から20位以内に影響していることも大きいと考えます。先述した4曲において初週から双方で20位以内に入っている作品はないため、活用の大きさが「Bling-Bang-Bang-Born」のヒットにつながっているといえるでしょう。

(ゆえにビルボードジャパンソングチャートにおけるカラオケ指標の動向が気になりますが、ヒップホップのジャンルはカラオケ指標に強くない印象があり、「Bling-Bang-Bang-Born」がどう推移するかは気になるところです。)

 

また、あくまで私見と前置きしますが、先述した4曲のうちAdo「唱」を除く3曲のタイアップ先となる映像作品は、いずれもその時期におけるいわば”覇権”を握ったと捉えていいでしょう。その中にあって、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のタイアップ先であるテレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』(第2期)の話題はあまり耳にしていません。

活用の人気は下がりやすい傾向にあると考えられます。ともすれば「Bling-Bang-Bang-Born」はSpotify、そしてビルボードジャパンの総合ソングチャートで比較的早くダウンする可能性もあるかもしれません。

 

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」における今後の注目点は、まずは本日公開のビルボードジャパン最新ソングチャートにおける結果です。その際は、前週も指摘した動画再生指標にも注目していきます(指摘および提案を記したエントリーは下記に)。

そして、日本のチャートとは異なり金曜を集計期間初日とする米ビルボードによるグローバルチャートの動向もチェックする必要があります。「Bling-Bang-Bang-Born」は世界での人気が日本で紹介されたことも大ブレイクの一因と考えますが、最新チャートでは「Bling-Bang-Bang-Born」の強さが際立っています。なお、グローバルチャートについては下記エントリーにて解説しています。

Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.については、米ビルボード有料会員向けのみの公開につき詳細な順位を紹介することはできませんが、トップ50内からトップ20内へと上昇しています。

 

グローバルチャートのストリーミング指標には公式動画の再生分も含まれます(一方でビルボードジャパンの場合、動画再生分は動画再生指標、オーディオストリーミングはストリーミング指標に加算)。現時点で公式動画が公開されていないCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は、仮に公式オーディオのみでも公開していたならば最新2月3日付のGlobal Excl. U.S.にてトップ10入りしたことは十分考えられたというのが私見です。

ビルボードジャパンソングチャートでは米津玄師「KICK BACK」とOfficial髭男dism「Subtitle」が同時に初登場を果たしていますが、後者は2週目に逆転。その要因のひとつに公式オーディオの非公開/後者の差があるものと捉えています(上記エントリー参照)。公式オーディオの重要性は昨秋以降感じることが増えており、「Bling-Bang-Bang-Born」についても早急なアップが鍵になると考えます。

 

 

本日深夜、DJ松永さんは佐久間宣行さんのラジオ番組に出演します。「Bling-Bang-Bang-Born」は『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』で初解禁されていることから(みやーんさんによる書き起こし参照)、DJ松永さんが世界でのバズについてどのようなことを語るかに注目しましょう。