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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「Bling-Bang-Bang-Born」新記録樹立、Number_iカップリング曲...Spotify最新動向からみえること

日本におけるSpotifyデイリーチャート、最新3月9日付でCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がデイリー最高再生回数を更新しました。

上記グラフでも解るように、日本のSpotifyデイリーチャートにおいて70万回再生を突破した曲はCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が初となります。

 

今回の記録更新には、いわば”予兆”がありました。

日本のSpotifyデイリーチャートでは金曜の再生回数が下がる傾向にあるのですが、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」においては3月8日付で上昇しているのです。この日のスケジュールをみてみると、Creepy Nutsにおいては1時間おきにトピックが用意されていたことが解ります。

さらには通常22時公開のTHE FIRST TAKEが今回20時公開となったという状況からも、(主題歌を務めたドラマとのバッティングを避けるためとも考えられますが)Creepy Nutsに注目が集まるべく組まれたシフトだと言っていいでしょう。

 

注目は今週および来週発表される、米ビルボードによるグローバルチャートの動向です。

3月3日日曜夜に公開された上記動画は、日本時間の明日早朝に発表予定となる3月23日付グローバルチャート(集計期間:3月1~7日)のストリーミング指標に初めて加算されます。翌週はアリアナ・グランデのアルバム『Eternal Sunshine』から大挙エントリーが見込まれることもあり、3月23日付で「Bling-Bang-Bang-Born」が最高位更新なるか注目です。

コラボ動画公開後、Spotifyでは日本において前週より上昇傾向、グローバルでは下げ幅が抑えられるようになりました。これに伴い、米ビルボードによるグローバルチャートにおいてもGlobal 200でのトップ10入り、そしてGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.において初の首位獲得が叶うかもしれません。

また、THE FIRST TAKEが反映される3月30日付グローバルチャートの動向も注目です。予告の段階でTHE FIRST TAKE側は米東部標準時(EST)での公開時間をポストに添え、そして動画(歌詞)の字幕は複数の外国語に対応しています。これらから、THE FIRST TAKEそしてCreepy Nuts側のグローバルへの意識が見て取れます。

 

先程の表を再掲しますが、日本におけるSpotifyの主要ヒット曲にて比較するとCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の再生回数ピークは最も遅くなっていることが解ります。3月3日以降の施策が如何に大きかったか、そしてピークを作ることもまた可能であることがここから理解できるでしょう。

ビルボードジャパンソングチャート、ストリーミング指標の基となる再生回数においてはSpotifyが全体のおよそ2割を占めます。おそらく他のサブスクサービスでも再生回数が伸び、動画再生指標加算も相まって3月13日公開分でポイントが伸びる可能性は十分です。その動向にも注目しましょう。

 

 

さて、Spotifyではこの1週間にて興味深い動きがみられました。

Number_iが3月6日にリリースした初のフィジカルシングル「GOAT」のカップリング曲が、3月5日付Spotifyデイリーチャートで早くも登場。これは日本のSpotifyにおける1日の区切りが午前0時以降であると考えられるためですが、初の1日フル加算となったリリース当日には、「Rain or Shine」を除く4曲がトップ50にランクインを果たしているのです。そして「GOAT」自体もリリース週に入り上昇しています。

 

先程はアリアナ・グランデ『Eternal Sunshine』収録曲のグローバルチャートへの大挙ランクインの可能性を記載しましたが、ファンが多い、そしてコアファンの熱量が高い歌手においてはリリース当日から作品が聴かれる傾向にあります。その際たる動きがテイラー・スウィフト『Midnights』であり、グローバルチャートでのトップ10寡占のみならず米ビルボードソングチャートでは史上初のトップ10独占を成し遂げました。

このようなチャートアクションが日本でも目立ってきたと、Number_iの動向から捉えていいのかもしれません。

 

一方で、注視したいのは2点。ひとつは、Spotifyデイリーチャートでは土曜は通常伸びるはずが、Number_iの各曲は再生回数が減少しているということ。3月9日付にて50位以内に入った曲のうち、再生回数が前日割れとなったのはNumber_iのみとなります。

デイリー50位以内に入ればトップ50プレイリストに選出され、それに伴い再生回数が伸びていくという特性がSpotifyにはあるのですが、Number_iの場合は反映されたとは言い難い状況です。考えられるのは、リリース当日の午前0時から聴取するコアファンが多い一方でライト層がまだ育っているとは言い難いこと、コアファンとライト層との乖離が目立っているということです。

 

そしてもうひとつ。先程は『ビルボードジャパンソングチャート、ストリーミング指標の基となる再生回数においては、Spotifyが全体のおよそ2割を占めます』と述べましたが、Number_iにおいては日本で最もユーザーが多いとされるApple Music、およびLINE MUSICにおいて、Spotifyとの順位の乖離が目立つ状況です。

Number_iがLINE MUSICで再生キャンペーンを行っていないこともあるでしょうが、おそらくはSpotifyがデイリー再生回数を開示、またこのサブスクサービスにて上昇に至る特性ある程度見えたことにより、コアファン(そしてチャートをより強く意識する、いわばファンダム)のSpotify利用率が高いのかもしれません。

(ちなみに推し活のツールとして”Stationhead”が、コアファンまた歌手自体に用いられる傾向があると耳にしました。Stationheadはざっくり述べるならばラジオ的なもので、再生された曲は発信者、そして聴き手のSpotifyもしくはApple Musicでの再生回数に反映されるとのこと。仮にNumber_iのコアファンが今回Stationheadを利用していればApple Musicも本来伸びたと考えられ、両チャートの差から上記仮説を立てた次第です。)

 

Apple Music週間チャートは火曜以降にMusicmanにて発表(現時点での最新チャートはこちら)、そして水曜にはビルボードジャパンのチャートが公開されます。Number_i「GOAT」がフィジカルセールス指標初加算時にポイントをどこまで伸ばすか、ストリーミングそして総合順位、さらにカップリング曲の総合100位以内進出なるかに注目です。なお、より注視すべきはフィジカルセールス指標加算2週目の動向と考えます。

最後に。Number_i「GOAT」についてはビルボードジャパンによるフィジカルセールス指標の速報値にてトップ5に記載がありませんでした。その疑問についてはTOBE所属歌手のフィジカルシングル、ビルボードジャパンソングチャートにおける反映にて気になること(3月8日付)で記しており、ビルボードジャパンが本日発表予定のフィジカルセールス週報を注視する必要があります。