イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2024年度ビルボードジャパン上半期チャートと同期間における、Spotify再生回数動向を読む

ビルボードジャパンは6月7日金曜に2024年度上半期各種チャートを発表します。このブログでは分析内容を同日午前8時までに公開する予定ですが、それに先立ち昨日は第2四半期の各種データを公開。第1四半期をまとめたエントリーのリンクも掲載しています。

今回はビルボードジャパンソングチャートに大きな影響を与えるストリーミング指標のうち、再生回数全体のおよそ2割を占めるSpotifyの動向を紹介。ビルボードジャパンの2024年度上半期チャートに倣い、昨年11月27日付~5月26日付における1位、50位および200位のデイリー再生回数推移をまとめています。

 

Spotifyはデイリー200位までの再生回数を可視化。それに伴い1位、50位および200位の再生回数を定点観測しています。

 

1位については昨年11月27日付でAdo「唱」とKing Gnu「SPECIALZ」が同数で首位に立ち、翌日以降12月30日付まではクリスマス時期を除き「唱」が制覇。12月22~23日付および25日付はback number「クリスマスソング」、24日付ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が制しています。

昨年大晦日から1月17日付まではYOASOBI「アイドル」、1月18日付以降5月21日付までCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が首位に立っています。5月22日付以降は現在までMrs. GREEN APPLEライラック」が制していますが、そのうち5月25~26日付は「Bling-Bang-Bang-Born」が返り咲いている状況です。

再生回数のピークはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が3月16日付で記録した746,630回で、これが日本のSpotifyデイリーチャートにおける最高再生回数に。「Bling-Bang-Bang-Born」は3月に七度、デイリー70万回超えを達成しています。

 

強力なストリーミングヒットの存在は全体の再生回数増加にも波及することが、50位および200位の定点観測グラフからみえてきます。

日本の再生回数は平日では金曜が最も少なく、土日祝日は上昇する傾向にあり、金曜が飲み会等の影響で聴取機会が減り、土日祝日は行楽等に伴い増えると推測できます。一方で帰省等の大きな移動が発生する際は再生回数が大きく減ります。

 

50位の再生回数は200位より変動が大きいといえますが、徐々に上がってきていることが解ります。50位のデイリー再生回数は4月7日(日曜)付以降ほぼ毎週、土日祝日において13万回を超えるようになりました。4月27日~5月6日のゴールデンウイークには土日祝日すべて、且つ連休前の5月2日(木曜)付も13万回を上回り、5月4日(土曜祝日)付にて過去最高の138,062回再生を記録しています。

日本では最新デイリーチャートで50位以内に入った曲をまとめたトップ50プレイリストが人気であり、上記エントリーで紹介している”50位の壁”特性が生まれています。土日祝日は行楽等により聴かれる傾向があると記しましたが、運動会や店舗でののBGM利用等もトップ50ランクイン曲の再生回数上昇につながっていると考えられます。

 

一方で200位のデイリー再生回数推移からは、50位のそれ以上にSpotify全体のユーザー数や再生回数の増加が推測できるでしょう。

200位においては昨年のクリスマスイブに初めて5万回再生を突破、そしてグラフにおける最終日(すなわち2024年度のビルボードジャパン上半期各種チャートにおける集計期間最終日)に過去最高となる50,939回再生を記録しています。この記録更新については、5月に入り平日における200位の再生回数が3日連続で過去最高を更新したことが予兆だったといえます。

平日における最高再生回数はベテラン歌手の台頭(aiko「相思相愛」やB'z「Get Wild」等)や直前の大型連休による需要喚起が影響したと上記エントリーにて推測していますが、その流れに加えてKing & PrinceやNumber_iの新曲が(後者はフラゲ的な意味合いで)登場したことが5月26日付での最高再生回数更新につながったと感じています。

200位の再生回数が5月27日付以降4万8千回に達していないのは気になりますが、サブスク需要増加という中長期的な流れと人気歌手による作品の大挙エントリーが重なることで、この記録は近いうちにまた更新される可能性が高いと考えます。

 

 

Apple Music等、他のサブスクサービスにおいても再生回数の推移は似ていると捉えています。それゆえSpotifyの動向は音楽チャート全体を知る意味でも重要だというのが私見です。