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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「アイドル」21連覇ながら気になる数値、そして10-FEET「第ゼロ感」再浮上の理由とは

最新9月6日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:8月28日~9月3日)ではYOASOBI「アイドル」が初登場から21週連続で首位を獲得し、最長首位記録をさらに伸ばしています。

YOASOBI「アイドル」はポイント前週比82.1%と比較的大きくダウン。これはフィジカルセールス指標が300位以内に達せず加点されなくなったことも影響していると思われます(なお、フィジカルは完全生産限定として販売)。そして前週はHIKAKINさんによるミュージックビデオ再現動画が話題となり動画再生指標が大きく伸びていますが(下記エントリー参照)、今回その反動が表れたものと考えます。

「アイドル」は所有、接触のみならず活用(UGC(ユーザー生成コンテンツ)やTikTok等)も人気となり、初登場から21連覇という前人未到の記録を更新し続けています。一方ではTikTokチャート(TikTok Weekly Top 20)で3→6位に後退する等活用がいち早く下がるものと考えられ、それに呼応する形でポイント前週比が今後1割前後漸減するかもしれません。

次週はフィジカルセールスが既にフラゲ日の段階でハーフミリオンを達成したSnow Man「Dangerholic」、そして集計期間3日間で4位に初登場したKing Gnu「SPECIALZ」が、こちらもフィジカルセールス指標初加算に伴いポイントを上げるものと思われます。なお後者についてはミュージックビデオがどのタイミングで公開するかが気になるところです。

 

さて、前週上位に初進出した曲の動向については後日別エントリーにて紹介するとして、そちら以外で当週ポイントを上げた曲を紹介します。

10-FEET「第ゼロ感」が42→21位に急浮上。『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌として2023年上半期を代表するヒットと成ったこの曲は、バスケットボール日本代表の活躍に合わせて再度盛り上がっています。

また、前週に盛り上がりをみせた映画『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌の10-FEET「第ゼロ感」が、当週さらなる伸びをみせている。パリ五輪出場権をかけ、9月2日に行われた【FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023】日本対カーボベルデ戦で、日本の勝利が決まった際にこの曲がコートに流れ、大合唱が起きたことでもさらなる注目を集めた。

(上記はビルボードジャパンのアニメソングチャートにおける記事であり、記事内で言及された順位は総合ソングチャートとは異なりますが、動向自体は総合ソングチャートでも反映されています。)

テレビでの話題は特に所有指標、それもダウンロードの上昇度を上げる傾向にあります(上記記事では『ポイントとしては約2.5倍も増加』と記載)。加えてラジオ指標でも上昇を続けており、「第ゼロ感」は7月5日公開分(2,867ポイント)以来となる高水準に到達しました(2,754ポイントを獲得)。集計期間中に日本がオリンピック出場権を獲得したことも、大きく影響したことは間違いありません。

(上記は直近60週分におけるCHART insight。)

加えて当週はカラオケ指標においてWANDS世界が終るまでは…」が19位に再浮上。ダウンロードおよびラジオも100位未満ながら加点対象となり、バスケットボール人気がよく分かる結果となっています。惜しむらくはWANDSによるオリジナルバージョンがサブスク未配信およびミュージックビデオ未公開の状況が続いていること。ともすれば総合100位以内到達の可能性が考えられたため、非常に勿体無いと感じています。

WANDSは昨年、第5期バージョンとしてセルフカバー版をリリースしていますが、上記CHART insightをみると今年1月4日公開分にて総合300位以内から脱落した後は再浮上に至っていません。つまりはオリジナルバージョンを求める方にとって第5期バージョンは別と考えている方が多いかもしれず、オリジナルバージョンの接触機会がないことははっきり損失と断言していいでしょう。この点は下記エントリーでも述べています。

デジタルを解禁すればいつ何時でも再浮上する可能性を持ち合わせているという前提の下、音楽業界が総出でデジタルアーカイブを徹底することを希望します。