今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】Ado「唱」が総合首位返り咲き、WEST.の改名後初シングルは3位に初登場<11/1訂正> https://t.co/o8Dmmrk2Ce
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年11月1日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年10月25日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・MAZZEL「Carnival」 4位→86位
・IMP.「SWITCHing」 11位→100位未満(300位圏内)
2曲とも大きく後退しましたが、所有指標の急落が目立ちます。IMP.「SWITCHing」においては前週の集計期間初日から実施したダウンロードキャンペーンの反動が表れたともいえますが、接触指標が強くないことからライト層が多くないと考えていいでしょう(ストリーミング未加算、および動画再生が急落しています)。ライト層の多さがダウンロード数の持続にもつながるという意味でも、接触指標群の充実は必須でしょう。
MAZZEL「Carnival」はカラオケ以外の5指標をまんべんなく獲得していますが、現在のロングヒット曲におけるCHART insightの理想型はストリーミングだけで獲得ポイント全体の過半数に達し、動画再生も少なからず獲得していることが上位曲のCHART insightから解ります(下記ポスト掲載の画像参照)。今後の動向に注目です。
【ビルボードジャパンCHART insight 最新週トピック】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年11月1日
最新11月1日公開分ビルボードジャパンソングチャート、主な上位曲(「#唱」「#アイドル」「#勇者」「#SPECIALZ」)のCHART insight。
CHART insight→https://t.co/NVZ8bHjac1 pic.twitter.com/Mjy8w9H6qo
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年11月1日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・3位 (初登場) WEST.「絶体絶命」
・4位 (初登場) モーニング娘。'23「すっごいFEVER!」
・14位 (初登場) SEVENTEEN「God of Music」
・15位 (初登場) Hey! Say! JUMP「Ready to Jump」
Hey! Say! JUMPによる初のデジタル解禁作品、EP『P.U!』収録の2曲(「Ready to Jump」、および100位以内に返り咲いた「DEAR MY LOVER」)については昨日のエントリーにて紹介しています。
Hey! Say! JUMPと同じく旧ジャニーズ事務所に所属するWEST.「絶体絶命」はフィジカルセールス以外の指標を獲得していません。デジタル未解禁につきダウンロードやストリーミング指標を獲得していないのみならず、男性アイドル/ダンスボーカルグループの強さが最近目立っているラジオ指標も未加算となっています。
ラジオ指標は全国31のラジオ局におけるOA回数ランキングを基に各局の聴取可能人口等を加味して算出されますが、総OA数には上限があります。その中にあってWEST.の今作のようなダブルやトリプルAサイドのフィジカルシングル(「絶体絶命」は下記2曲とトリプルAサイドとしてリリース)はラジオで票割れが起きやすく、加点されても順位は低くなる傾向があります。
なお、Hey! Say! JUMPが最新ソングチャートで100位以内に送り込んだ「Ready to JUMP」「DEAR MY LOVER」についてもラジオ指標が加点されていません。デジタルEP『P.U!』に収録された新曲がいずれもタイアップがついていたこともありラジオで票割れが起きたのかもしれませんが、所属事務所の状況もOAの減少(ラジオ局側によるOA控え)につながった可能性が考えられます。
WEST.においてはデジタル解禁はまだ行われていませんが、Hey! Say! JUMPの『P.U!』以外の作品同様、早期の解禁なるかを注視する必要があるでしょう。
最後に。100位以内登場3週目の作品ではありますが、13→1→7位と推移した櫻坂46「承認欲求」について取り上げます。デジタルで先行解禁されたこの曲は前週フィジカルセールス指標が初加算されたことで首位を獲得しました。最新チャートにおけるポイント前週比は42.9%となっています。
高フィジカルセールス記録曲における首位獲得後の動向について、ビルボードジャパンは好調という見方を示しています。
(このポッドキャストにて用いられる表現に一部違和感を抱いていますが、ポストにて記載したためこの場では言及しません。)
他方、「承認欲求」はLINE MUSIC再生キャンペーンを10月31日まで実施しており(→こちら)、次回11月8日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは集計期間前半2日分がキャンペーン対象期間となります。たとえば11月4日付のLINE MUSICデイリーチャートにおいて同曲は100位以内に入っておらず、Spotifyでもデイリー200位以内未達の状況を踏まえれば、ストリーミング指標の急落は避けられないものと考えます。
LINE MUSIC再生キャンペーンの実施、チャートの見方等については上記エントリーで紹介していますが、仮に「承認欲求」がキャンペーン効果未反映となる11月15日公開分までに急落したならば、ビルボードジャパンにはLINE MUSIC再生キャンペーン採用全曲への係数処理適用の検討を提案します。また施策の実施は自由ゆえ記事やポッドキャストで紹介することは問題ないはずであり、施策の存在をきちんと紹介するべきでしょう。
施策終了後数週分の動向をチェックすることは、その作品がロングヒットに成るかを見極める上で重要です。ビルボードジャパンは施策のみならずチャートの見方についても紹介することが必要と考え、今一度提案します。