今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】Ado「唱」が総合ソング4連覇&「クラクラ」もトップ10に浮上、YOASOBI「アイドル」は「勇者」を抜いて3位に https://t.co/PLXNaEo8vH
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年10月18日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年10月11日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・NMB48「渚サイコー!」 5位→100位未満(300位圏内)
・tuki.「晩餐歌」 14位→17位
・超特急「Lesson II」 17位→25位
・Ado「クラクラ」 19位→9位
・BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE feat. GULF KANAWUT「All I Ever Wanted」 20位→100位未満(300位圏内)
フィジカルセールス以外の指標が強くないNMB48「渚サイコー!」およびBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE feat. GULF KANAWUT「All I Ever Wanted」については総合順位が大きく下がり100位圏外に。ここから接触指標(特にストリーミング)の重要性がよく解るのですが、一方でAdo「クラクラ」やtuki.「晩餐歌」と超特急「Lesson II」とではCHART insightが大きく異なることに注目です。その理由は後述します。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年10月18日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・2位 (初登場) INI「HANA_花」
・11位 (初登場) 藤井風「花」
・13位 (初登場) 櫻坂46「承認欲求」
INI「HANA_花」は一昨日、藤井風「花」は昨日付のエントリーにて紹介しています。
13位に初登場した櫻坂46「承認欲求」は次週フィジカルセールス指標が初加算されますが、フィジカルリリースの1週間前にデジタルを解禁してこの位置に。解禁日からLINE MUSIC再生キャンペーンを実施したことが、ストリーミング指標7位初登場の原動力となっています。
【ビルボード】Ado「唱」がストリーミング4連覇達成 櫻坂46「承認欲求」が初のトップ10入り https://t.co/eCL1cKEpvZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年10月18日
先程LINE MUSIC再生キャンペーンを”原動力”と述べたのは、他のサブスクサービスとLINE MUSICとで順位に大きな差があるため。最新10月18日公開分のビルボードジャパン各種チャートと集計期間を同一とするApple Music週間チャート(下記リンク先参照)では「承認欲求」が100位以内に登場しておらず、また日本のSpotifyデイリーチャートではこの曲が200位以内に入ったことがありません。
ライト層が再生回数をより大きく支えている接触指標にあって、LINE MUSIC再生キャンペーンはコアファンの熱量に伴い所有指標的な動向をなぞります。日本ではストリーミングが初週から高いことはほぼない中、キャンペーン採用曲はロケットスタートに至りやすいのも特徴です。ただ、本来は急落がみられにくい接触指標にあってキャンペーン後は急落する傾向が高く、加えて前週のエントリーにて紹介した動きもみられます。
また、ストリーミング上昇曲は同じ接触指標である動画再生も上昇するのが一般的ですが、LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲においては動画再生が伸びない傾向にあり、この点からもライト層の多くなさ、またコアファンがキャンペーンに尽力していることが見て取れます。そして所有指標であるダウンロードの多くなさは、コアファン自体の多くなさを示しているといえるかもしれません。
櫻坂46は「承認欲求」は既にフィジカルセールスが50万枚を突破していますが、先行リリースにおけるダウンロード指標は32位。フィジカル購入を見越してデジタルの所有を控えたとも考えられますが、それでも高いとは言い難い状況です。またミュージックビデオが一足早く解禁されながらデジタルリリース時に動画再生指標の順位が下がった状況も含め、コアファンのデジタルへの熱量が高くないという可能性が考えられます。
櫻坂46「承認欲求」は次週フィジカルセールス指標が初加算されるためポイントの上昇が見込まれますが、フィジカルセールスおよびストリーミング以外の指標動向を注視する必要があります。というのも、LINE MUSIC再生キャンペーン効果により前週初めて20位以内にランクインした超特急「Lesson II」は当週の総合順位が微減にとどまりながら、ストリーミング以外の指標は加点されていません。
この点から、「Lesson II」においてコアファンとライト層との乖離が大きいことのみならず、そのコアファンが参加するLINE MUSIC再生キャンペーンが終了するタイミングで総合順位を大きく落とすことは確実とみていいでしょう。大事なのはLINE MUSIC再生キャンペーンをどうやってライト層獲得につなげるか、そしてLINE MUSIC再生キャンペーンの終了までに他の方法でライト層を獲得するかを考え実践するということでしょう。