イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週上位進出曲の翌週動向、そして最新チャート上位進出曲のヒットの可能性をCHART insightから導き出す

直近7月19日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは15曲が初登場。2曲の100位以内再登場を含め、100位以内においては6分の1が入れ替わっています。前週7月12日公開分ソングチャートについても入れ替わりが多かったのですが、前週のチャート結果に関してはこのようなエントリーを掲載しています。

今回は前週上位初登場曲の翌週動向という上記エントリーの答え合わせ、そして最新週における初登場曲の動向をチェックします。

 

それでは、上記ブログエントリーで紹介した前週上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。

 

<2023年7月12日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて

 20位までに初登場した作品の、翌週におけるCHART insight>

 

Travis Japan「Candy Kiss」 前週2位→100位未満(300位圏内)

SKE48「好きになっちゃった」 前週3位→40位

・OCTPATH「Sweet」 前週4位→100位未満(300位圏内)

・キタニタツヤ「青のすみか」 前週8位→3位

・CRAVITY「Groovy」 前週15位→100位未満(300位圏内)

最新ソングチャートの記事はこちら。

 

7月12日公開分ビルボードジャパンソングチャートで初のトップ20入りを果たした5曲のうち、最新チャートはキタニタツヤ「青のすみか」が上昇。テレビアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』(毎日放送/TBS)のオープニングテーマ曲は、ラジオ指標が初の加点対象に。アニメや曲の評判、また前週のチャート結果を知った局側の曲に対する意識の高まりが感じられる結果となりました。同曲はしばらくチャートで存在感を放つことでしょう。

 

他方、SKE48「好きになっちゃった」はデジタル指標群の加点がないもののフィジカルセールス指標が2万5千枚を記録したことを武器に、総合40位に。これでも急落ではあるのですが、たとえばフィジカル未リリースのTravis Japan「Candy Kiss」が100位未満となったことを踏まえれば、総合順位の面ではまだ好いと捉えられるかもしれません。

(なおTravis Japan「Candy Kiss」やOCTPATH「Sweet」においてはLINE MUSIC再生キャンペーンを採用していましたが、キャンペーンの終了に伴いストリーミング指標が急落しています。本来この指標はロングヒットの要であり急落する性質に乏しいことから、キャンペーン採用曲が他のサブスクサービスでヒットしなければ所有指標的な急落を招き、ライト層に届いているとは言い難いと考えていいでしょう。)

ただ、SKE48「好きになっちゃった」の指標構成や動向には気掛かりな点があります。

SKE48「好きになっちゃった」は、最新チャートで41位に再登場したAKB48「どうしても君が好きだ」の動向をなぞる可能性が考えられます。フィジカルセールス指標に沿う形で今回4度目となる100位以内返り咲きを果たした「どうしても君が好きだ」ですが、しかし初の返り咲きを果たす前の段階で、デジタル指標群は加点が止まっています。

デジタル未加算という状況から、「どうしても君が好きだ」はコアファンとライト層との乖離が他の歌手の曲より大きいと推測可能であり、たとえば特典付帯に伴い売上を伸ばしたとして同曲が社会的ヒット曲に至るとは言い難いというのが私見。ブログではビルボードジャパンに対しフィジカルセールス指標のウエイトを小さくする必要を提案していますが、返り咲き時における指標構成を踏まえれば議論は必至だと強く考えます。

 

 

上位初登場曲のCHART insightから、どの曲がロングヒットし社会的ヒット曲に成るかをある程度想像することは可能かもしれません。そこで今度は、最新7月19日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックしましょう。

 

<2023年7月19日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 20位までに初登場した作品のCHART insight>

 

・2位 ジョングク feat. ラトー「Seven」

 (ビルボードジャパンでは歌手名を”JUNG KOOK”と表記していますが、このブログではカタカナにて記載します。)

4位 B'z「STARS」

(上記はフィジカルシングルのダイジェスト映像。)

5位 Juice=Juice「プライド・ブライト」

10位 NewJeans「Super Shy」

13位 BiS「イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム」

20位までに初登場を果たした5曲のCHART insightから、これら作品が前週記した【フィジカルセールスが圧倒的に強い】【デジタルがフィジカルセールス的な動きをなぞる】および【接触指標および所有指標の双方が高い】のいずれかの動向に分類することが可能です。そして次週7月26日公開分における集計期間前半3日間のデジタル速報値(昨日発表分)を踏まえれば、「Seven」は総合首位の獲得も高いといえます。

ジョングク feat. ラトー「Seven」は速報値でダウンロード2位、そしてストリーミング再生回数においてはYOASOBI「アイドル」を上回り首位に。LINE MUSIC再生キャンペーンが展開されていますが(詳細はこちら)、他のサブスクサービスでもヒットしていることから【デジタルがフィジカルセールス的な動きをなぞる】よりも【接触指標および所有指標の双方が高い】と捉えることが可能です。またこの傾向はNewJeans「Super Shy」にも当てはまります(同曲のLINE MUSIC再生キャンペーンについてはこちら)。

 

一方で気になるのは、現段階でもサブスクのみならずダウンロード、またミュージックビデオも解禁されていないB'z「STARS」の動向。最新チャートではラジオの勢いも相まって4位に初登場を果たしましたが、たとえば近年はジャニーズ事務所所属歌手がミュージックビデオは(ショートバージョンであっても)公開する傾向にあるゆえ、ここまでデジタルに明るくないのは珍しいといえるかもしれません。

このデジタルに明るくないアプローチはベテランと呼べる歌手や大手芸能事務所(所属歌手)に散見されますが、ビルボードジャパンによる複合指標のソングチャートが社会的ヒット曲の鑑として認知浸透していくことで、音楽チャートの重要性、そしてデジタル解禁の必要性が歌手側に伝わることを願うばかりです。「STAS」は次週100位圏外に急落するかもしれませんが、そうなればデジタル未解禁ゆえの機会損失だと強く感じます。

 

 

次週は上位初登場曲でジョングク feat. ラトー「Seven」が総合首位の座を狙える位置に。またNewJeans「Super Shy」やキタニタツヤ「青のすみか」等もロングヒットが狙える状況といえるでしょう。速報値でダウンロード首位、ストリーミング9位の米津玄師「地球儀」も含め混戦必至といえる7月19日公開分のビルボードジャパンソングチャートに注目しましょう。