今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。
前週のエントリーはこちら。
ビルボードジャパンの最新のソングチャートに関する記事については、以下をご参照ください。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」総合6連覇、NCT WISHの日本デビュー曲は3位スタート https://t.co/uNqtohtUsq
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年3月6日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポストにて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2024年2月28日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・100位未満(300位圏内) (前週4位) OCTPATH「OCTAVE」
・100位未満(300位圏内) (前週16位) 高嶺のなでしこ「美しく生きろ」
・17位 (前週19位) LE SSERAFIM「EASY」
前週11位に再登場したIMP.「SWITCHing」は、当週300位圏外となっています。この点については昨日付ブログエントリーにて言及しています。
フィジカルセールス指標初加算に伴い上位に進出した2曲は共に100位未満(300位圏内)に急落しており、デジタル指標群獲得の重要性を実感します。一方、LE SSERAFIM「EASY」については前週欠測となっていた動画再生指標が初加算となり、トップ20内をキープしました。同作を収録したミニアルバムからは新たに「Smart」のミュージックビデオが公開されており、ミニアルバムから2曲が上位に進出するかに注目です。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2024年3月6日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・2位 (初登場) SKE48「愛のホログラム」
・4位 (初登場) ATEEZ「NOT OKAY」
・9位 (前週25位) Vaundy「タイムパラドックス」
・12位 (初登場) BE:FIRST「Set Sail」
SKE48「愛のホログラム」、NCT WISH「WISH」およびATEEZ「NOT OKAY」というフィジカルセールス指標上位3曲については、一昨日付のブログエントリーにて紹介しています。
注目は9位に上昇したVaundy「タイムパラドックス」。総合100位以内登場8週目にして初のトップ10入りとなった同曲は、3月1日公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』主題歌として1月7日にリリース。アニメ主題歌のヒットが多い中、じわじわ上昇するというパターンは珍しいといえるでしょう。この「タイムパラドックス」は1月以降、テレビアニメ版『ドラえもん』にて使用されています。
「タイムパラドックス」フィジカルセールス指標加算初週に合わせた露出の拡大も大きく寄与しました。無論映画の公開効果は大きいものの、先述したミュージックビデオは今回の集計期間直前となる2月25日に公開、また2月29日には映画とのコラボ版動画も登場しています。
さらには、当週のラジオ指標で3位に入ったのも特筆すべきでしょう。この指標はプランテックによる全国主要ラジオ局のOAチャートに聴取可能人口等を加味して算出されるのですが、この基となるチャートでは「タイムパラドックス」が2位に。記事では『CDリリースおよび映画公開週を迎えていっきにオンエアが過熱したかっこうだ』と紹介されています。
プランテックによる記事の通り、Vaundy「タイムパラドックス」はフィジカルリリースと映画公開が当週におけるチャート上昇に大きく影響したと解るのですが、今年始めからテレビアニメに起用されたこと、もっといえばタイアップのアナウンスが既に昨年の段階で行われていたことにより、認知浸透を徐々に図っていたことが急上昇の下地を作ったのではないでしょうか。
【先ヨミ・デジタル】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」660.8万回超えでストリーミング首位独走中 https://t.co/D7f9IaGiCh
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年3月8日
特に主要客層である子どもたちへの浸透は、聴かれ続ける環境を作ります。「タイムパラドックス」が次週3月13日公開分のストリーミング指標で当週より上昇しトップ10入りする可能性が高いのは(上記ポスト内記事参照)、映画を観た子どもたちによる観賞後行動(体験)の反映といえるかもしれません。