今回のエントリーでは、ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週上位に初めて進出した曲の翌週動向、そして最新週における上位初進出曲の状況をチェックし、真の社会的ヒット曲に成るかを読みます。前週のエントリーはこちら。
最新のソングチャートに関する記事は、以下をご参照ください。
【ビルボード】Ado「唱」が通算9度目の総合首位、YOASOBI「アイドル」が年末に向け再浮上 https://t.co/nxjl0VyULD
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年11月29日
まずは前週のエントリーにて紹介した上位初登場曲の、最新チャートにおける動向をCHART insightを用いて紹介します。このCHART insightについては、下記ポスト(ツイート)にて簡潔に説明しています。
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
リンク先:https://t.co/NVZ8bHjac1
<色について>
黒:総合順位
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
オレンジ:ルックアップ(2022年度で終了)
水色:Twitter(2022年度で終了)
赤:動画再生
緑:カラオケ
【ビルボードジャパンのCHART insightについて】(続き)
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年7月14日
<色について>
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能)
<チャート構成比>
最新週、もしくは300位以内最終在籍時における指標毎のポイント構成
<2023年11月22日公開分 ビルボードジャパンソングチャートにて
20位までに初めて登場した作品の、翌週におけるCHART insight>
・なにわ男子「I Wish」 2位→60位
・STU48「君は何を後悔するのか?」 4位→100位未満(300位圏内)
STU48「君は何を後悔するのか?」は前週の段階でフィジカルセールス以外の指標が加点対象となっておらず、当週はフィジカルセールスがダウンした一方で他指標が加点されなかったため100位圏外へと急落した形です。後述するAKB48も含め、グループ全体が接触指標やダウンロードといったデジタルに強くなることは急務といえます。
なにわ男子は前作「Make Up Day」が9月20日公開分にてフィジカルセールス初加算に伴い5位に登場した翌週、70位にダウンしています。今作「I Wish」は2→60位となりましたが、フィジカルセールス加算2週目の総合順位は前作とそこまで変わっていないようにみえるかもしれません。
一方でフィジカルセールス加算2週目における動画再生指標は「Make Up Day」が100位未満(300位圏内)だったのに対し、「I Wish」は14位と大きく異なります。これは前週指摘したようにTBS火曜ドラマと(ドラマにも出演する方が所属する)旧ジャニーズ事務所のグループによる主題歌との相性の良さが表れたといえるでしょう。尤も関連動画の本数の差もこの指標に影響しているかもしれません。ロングヒットに至るかに注目です。
続いて、最新ソングチャートにおいて初めてトップ20入りした作品のCHART insightをチェックします。
<2023年11月29日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
20位までに初めて登場した作品のCHART insight>
・3位 (初登場) NEWS「ギフテッド」
・6位 (初登場) Kep1er「Grand Prix」
・14位 (前週85位) YOASOBI「Biri-Biri」
NEWS「ギフテッド」、Kep1er「Grand Prix」は共に動画再生指標が未加算という状況です。ミュージックビデオは前者が10月末、後者がデジタルリリース日となる11月8日に公開されていますが、双方ともこの指標は300位以内に達していません。NEWSはデジタル未リリースゆえそもそもダウンロードおよびストリーミング指標が加点されませんが、Kep1erにおいてもデジタル関連指標未加点なのは気になるところです。
(上記は6月28日公開分までのCHART insight。)
Kep1er「Grand Prix」は3枚目となるフィジカルシングル(『FLY-HIGH』)の表題曲。前2作(『FLY-UP』における「Wing Wing」、および『FLY-BY』における「I do! Do you?」)はフィジカルセールス加算前に動画再生がダウンし、ストリーミングも一時的に100位以内に入りながら安定していないことが見て取れます。そして「Grand Prix」ではそれら接触指標群が未だ加算されていないという状況です。
加えて「I do! Do you?」ではフィジカルセールスの乱高下がみられます。この乱高下の前段階、フィジカルセールス加算3週目以降では他指標が一切300位以内に入らず加点されていないという状況であり、そのことは当週一気に10位に返り咲いたAKB48「アイドルなんかじゃなかったら」を想起させます。このことについては金曜付のエントリーにて紹介し、ビルボードジャパンへチャートポリシー(集計方法)変更を提案しています。
Kep1er側がフィジカルセールス施策として「Grand Prix」についても継続的に実施する可能性があるかもしれません。加えて、K-POP歌手ながら指標構成が日本のアイドル/ダンスボーカルグループ的になったことをKep1er側がどう捉えるかも気になります。