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【海外ビルボード】マイリー・サイラス「Flowers」、圧倒的な強さで米およびグローバルチャートを制覇

現地時間の1月23日月曜がデータ処理遅延を理由に発表されず、翌24日火曜に発表された最新1月28日付米ビルボードソングチャート(集計期間:1月13~19日)。マイリー・サイラス「Flowers」が初登場で首位を獲得しました。

マイリー・サイラス「Flowers」はストリーミング5260万(同指標1位)、ダウンロード70,000(同指標1位)、ラジオ3350万(同指標18位)を記録。リリースは厳密には集計期間開始前日の1月12日19時(東部標準時)であり、前週は5時間分が加算対象となっていました(前週はストリーミング685,000、ダウンロード2000(同指標21位)、ラジオ240万を記録)。

「Flowers」が1月13日にリリースされることについては、NBCで放送された『Miley's New Year's Eve Party』で初めてアナウンス。8枚目のオリジナルアルバム『Endless Summer Vacation』(3月10日リリース)からのリード曲となる「Flowers」の発売日はマイリー・サイラスの元夫であるリアム・ヘムズワースの誕生日でもあり、ファンは発売日について敏感に察知していたとのこと。米ビルボードは、「Flowers」の大ヒットはその物語性、そしてTikTokでの熱狂的なバズ(交流)を大ヒットの理由として紹介しています。

 

「Flowers」はマイリー・サイラスにとって「Wrecking Ball」(2013年9月、50位初登場後に3週首位)に次ぐ2曲目の首位獲得曲。また通算1,145曲目となる米ビルボードソングチャート制覇作品の中で初登場での到達は65曲目、2023年では初となります。

マイリー・サイラスが首位の座に復活するまでには9年1ヶ月と2週のブランクがあり、これはコールドプレイにおける13年3ヶ月と2週(「Viva La Vida」(2008)からBTSとの「My Universe」(2021)まで)に次ぐ長さとなります。またトップ10ヒットはザ・キッド・ラロイ「Without You」にリミックスで参加し2021年5月に8位を獲得して以来、11曲目となります。マイリーのトップ10ヒットは下記ツイートの通り。

「Flowers」はマイリー・サイラスがアルデイ(グレゴリー・ハイン)、マイケル・ポラックと共にソングライトし、3名とも今作でソングライターとして初の首位を獲得。ソングライターとしてのトップ10ヒットはマイリーは6曲目、マイケルは5曲目、アルデイは初となります(なおアルデイ(グレゴリー・ハイン)(Aldae (Gregory Hein))についてはカタカナ表記が異なる可能性があります)。

「Flowers」の共同プロデューサーとして、キッド・ハープーンおよびタイラー・ジョンソンがクレジット。彼らはハリー・スタイルズの2曲(「Watermelon Sugar」(2020)、「As It Was」(2022)に続く3曲目の首位を獲得しています。

 

各指標の動向をみると、ストリーミングにおいてはマイリーは「We Can't Stop」(2013 11週)、「Wrecking Ball」(2013-14 13週)、「Adore You」(2014 1週)に続く4曲目の首位を獲得(なおこれまでの3曲はすべてアルバム『Bangerz』に収録)。「Flowers」が記録した5260万という数字は、テイラー・スウィフトAnti-Hero」が昨年11月5日付で記録した5970万以来の高水準となります。

ダウンロードにおいては「Party In The U.S.A.」(2009 6週)、「Wrecking Ball」(2013 1週)に続く3曲目の首位獲得曲に。またラジオにおいてはアダルトポップエアプレイで14位、アダルトコンテンポラリーで15位、ポップエアプレイで16位に初登場し、いずれもマイリーにとって過去最高位での発進となりました。全体では18位を記録しています。

 

マイリー・サイラス「Flowers」のヒットの理由について、チャート構成上の特徴を分析するヒット・ソングス・デコンストラクテッドは『「Flowers」の底力は、懐かしさ、喪失感、力強さといった強く普遍的な感情を呼び起こしながら、すぐに親近感を与えることにある』と指摘し、『グロリア・ゲイナー「I Will Survive」のような70年代ディスコの影響に因るもので、昨年リゾが首位に送り込んだ「About Damn Time」でもみられていた』とも分析。グロリアは1月19日、Twitterでマイリーに対し『あなたの新曲は、エンパワーメントの聖火を運び、誰もが自分自身の中に強さを見出して、忍耐と成功を得られるように励ましてくれます。よくやったマイリー!』と賞賛しています(またそれに対しマイリーも『大好きよ。ありがとう』と応えています)。

ヒット・ソングス・デコンストラクテッドはまた、『「Flowers」がブルーノ・マーズの全米ナンバーワンヒット「When I Was Your Man」(2013)におけるコーラスとメロディ、歌詞そしてライミングと共通点がある』と指摘し、これもマイリーの私生活におけるストーリーとつながっていることをヒットの背景として分析しています。

 

”Flower”がタイトルに付いた曲で首位を獲得したのはこれまでに、バーバラ・ストライサンドとニール・ダイアモンドがバーチャルでデュエットした形でリリースされた「You Don't Bring Me Flowers」(1978年12月以降 2週)、ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」(2019年1月 1週)があり、マイリー・サイラス「Flowers」は3曲目の首位獲得曲となります。また花の種類をタイトルに含むならば、ボビー・ヴィントン「Roses Are Red (My Love)」(1962)、ポイズン「Every Rose Has Its Thorn」(1988-1989)、シール「Kiss From A Rose」(1995)がこれまで首位を獲得しています。

 

シザ「Kill Bill」が2位をキープ。ストリーミングは前週比12%アップの3490万(同指標2位)、ダウンロードは同69%アップの2,000(同指標21位)、ラジオは同106%アップの2940万(同指標26位)を記録しています。前週の集計期間半ばにミュージックビデオが公開されたことに加えて、1月13日に4曲入りシングル(オリジナルバージョン、スペッドアップ(TikTokで人気のスピードアップバージョン)、インストゥルメンタルおよびアカペラ)をリリースしたことが影響しています。なおオリジナルバージョンを収録したアルバム『SOS』は最新の米ビルボードアルバムチャートにおいて、初登場から6週連続で首位を獲得しています。

 

通算8週首位を獲得したテイラー・スウィフトAnti-Hero」は、その座から3位に後退。ラジオは前週比1%ダウンの8850万を記録し、同指標5週目の首位を獲得しています。

 

ビザラップ & シャキーラ「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」が9位に初登場。ストリーミング2020万(同指標3位)、ダウンロード9,000(同指標3位)およびラジオ790万を記録しています。リリースは1月11日19時(東部標準時)であり、今週が初の1週間フル加算となっています。

この曲はアルゼンチンのDJ/プロデューサーであるビザラップによるYouTubeセッションシリーズ最新作で、ケベードとの前作「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」は昨年10月に79位を記録。後述するグローバルチャートにおいてはGlobal 200で4週、Global Excl. U.S.では6週首位を獲得していました。

今回のセッションに登場したシャキーラにとっては、ビヨンセとの「Beautiful Liar」(2007 3位)以来、5曲目となるトップ10入り。トップ10返り咲きまでのスパンは15年9ヶ月となり、クリスマス関連曲を除けばエルトン・ジョンの23年11ヶ月と2週以来となる長さとなります(エルトンは昨年、デュア・リパとの「Cold Heart (Pnau Remix)」で返り咲きを果たしています)。

ラテンソングスチャートでは「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」が首位に到達し、ビザラップにとっては初(「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」で初のトップ10入りを果たし最高9位を獲得)、シャキーラにとっては12曲目の首位を獲得。ラテンソングスチャートではエンリケ・イグレシアスの27曲を最高に、ルイス・ミゲルが16曲、グロリア・エステファンが15曲を首位に送り込んでおり、シャキーラはバッド・バニーと並び歴代4位となりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) マイリー・サイラス「Flowers」

2位 (2位) シザ「Kill Bill

3位 (1位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

4位 (5位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

5位 (3位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

6位 (4位) デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」

7位 (6位) ザ・ウィークエンド「Die For You」

8位 (7位) ドレイク & 21サヴェージ「Rich Flex

9位 (初登場) ビザラップ & シャキーラ「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」

10位 (8位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート、1月28日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にマイリー・サイラス「Flowers」が初登場で首位を獲得しました。

マイリー・サイラス「Flowers」はGlobal 200においてストリーミング1億7910万およびダウンロード98,000、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミング1億2920万およびダウンロード37,000をそれぞれ記録しています。マイリー・サイラスはグローバルチャートが2020年秋に新設されて以来ふたつのチャート共に初制覇。2020年にはデュア・リパとの「Prisoner」がGlobal 200で12位およびGlobal Excl. U.S.で10位を、同年にはGlobal 200で「Midnight Sky」が15位を獲得しています。

ビザラップ & シャキーラ「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」がGlobal 200で12位から、Global Excl. U.S.では8位から、共に2位へ上昇。Global 200ではストリーミング1億6840万およびダウンロード16,000、Global Excl. U.S.ではストリーミング1億4890万およびダウンロード7,000をそれぞれ記録しています。ビザラップにとってはケベードとの「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」以来となる双方でのトップ10入り、シャキーラにおいてはGlobal 200で初のトップ10入りとなります。

 

Global 200においてマイリー・サイラス「Flowers」がストリーミング1億7910万、ビザラップ & シャキーラ「Bzrp Music Sessions, Vol. 53」が同1億6840万を記録しましたが、この数値は昨年9月3日付でBLACKPINK「Pink Venom」が記録した2億1210万以来となる高水準となります。またマイリーは、アデル「Easy On Me」が2021年10月30日付(同曲初の1週間フル加算時)にて記録した1億7840万を上回り、ソロ歌手として新記録を更新しました。なおグローバルチャート開始以降においてストリーミングが「Flowers」を上回ったのは「Pink Venom」、そしてBTS「Butter」のみであり、「Butter」は2021年6月5日付の初登場時に2億8950万を記録しています。

そのBTSからジミンが客演参加した、BIGBANGのTAEYANGによる「Vibe」がGlobal Excl. U.S.で9位に初登場。ストリーミング4020万、ダウンロード22,000を記録しています。TAEYANGはソロとしてこのチャートに初めて登場していますが、BIGBANGとしては昨年4月に「Still Life」が3位に初登場(および最高位)を獲得しています。

ジミンにとっては昨年5月にハ・ソンウンとの「With You」が14位を記録して以来となるGlobal Excl. U.S.ランクインにして、同チャートでソロとして初のトップ10入りを果たしました。これによりBTSのメンバー単独名義として、Global Excl. U.S.では4人目のトップ10入りとなります(なおBTSとしては10曲をトップ10内に送り込んでいます)。これまではジョングク「Stay Alive」が2022年2月に8位、チャーリー・プースにフィーチャーされた「Left And Right」が同年7月に2位、および「Dreamers (Music From The FIFA World Cup Qatar 2022)」が同年11月に4位を、SUGAはPSYに客演参加した「That That」が同年5月に2位を、JINは「The Astronaut」が同年11月に6位を、それぞれ記録しています。

 

 

最後に。マイリー・サイラス「Flowers」の大ヒットについては米ビルボードが別途記事を用意しています。この点については週内に翻訳した内容をブログに掲載する予定です。ビルボードジャパン側が翻訳記事をアップした場合はそちらを紹介します。