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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】モーガン・ウォレンが米9週目の首位、YOASOBI「アイドル」がGlobal Excl. U.S.初制覇

現地時間の6月5日月曜に発表された、最新6月10日付米ビルボードソングチャート(集計期間:5月26日~6月1日)。モーガン・ウォレン「Last Night」が6週連続、通算9週目の首位を獲得しました。

モーガン・ウォレン「Last Night」はストリーミングが前週とほぼ変わらず3280万(同指標11週目の首位)、ダウンロードが同4%ダウンの8,000(同指標6位)、ラジオが同1%アップの6630万(同指標4位)を記録しています。

「Last Night」はカントリーエアプレイチャートでも5週目の首位を獲得。ソングチャートおよびカントリーエアプレイチャートの双方を同時に制した初の作品であるのみならず、ポップエアプレイでもトップ10入りを果たしました。またソングチャートと同様の計算方法に基づくホットカントリーソングチャートでは17週目の首位を獲得しています。

 

テイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」が27→2位に上昇。同曲の(客演なし)オリジナルバージョンは、アルバム『Midnights』が首位に初登場を果たした昨年11月にソングチャートにて9位を記録しています。今回はアイス・スパイス参加版が集計期間初日にリリースされ、翌日にはミュージックビデオも公開、さらにリミックスのリリース日にはテイラーのライブにアイス・スパイスが登場したことも相まって、大きく上昇した形です。

ストリーミングは前週比175%アップの2250万(同指標4位)、ダウンロードは同744%アップの17,000(同指標2位)、ラジオは同15%アップの3840万(同指標12位)となっています。なおアイス・スパイス参加版が同曲における獲得ポイントの半分以上を占めたことで、歌手名表記は客演追加版となっています。

今回の記録により、テイラー・スウィフトはトップ5ヒットが歴代単独5位となる25曲となりました。

<最多トップ5獲得歌手>

35曲 ドレイク

29曲 ザ・ビートルズ

28曲 マドンナ

27曲 マライア・キャリー

25曲 テイラー・スウィフト

24曲 ジャネット・ジャクソン

24曲 リアーナ

21曲 エルヴィス・プレスリー

(ただし現在のチャートがスタートした1958年8月以前にキャリアを開始しています。)

20曲 ジャスティン・ビーバー

20曲 マイケル・ジャクソン

20曲 スティーヴィー・ワンダー

またテイラーは、2位以上獲得曲が17曲となりました(1位9曲、2位8曲)。これはザ・ビートルズ(23曲 1位20曲、2位3曲)、マライア・キャリー(23曲 1位19曲、2位4曲)、ドレイク(20曲 1位11曲、2位9曲)、リアーナ(18曲 1位14曲、2位4曲)、マドンナ(18曲 1位12曲、2位6曲)に続く歴代6位の記録となります。

さらにアルバム『Midnights』(デラックスエディション含む)からは2位以上にランクインした曲が3曲に。「Anti-Hero」は昨年11月から今年1月にかけてキャリア最長となる8週首位、また「Lavender Haze」は昨年11月に2位初登場を果たしています。さらにはアルバムのオリジナルバージョンが初登場した際、ソングチャートにおいて収録曲がトップ10を独占しています。

テイラーにおいてひとつのアルバムから3曲をソングチャート2位以上に送り込んだのは『1989』以来。同作品からは2014年から翌年にかけて「Shake It Off」「Blank Space」および「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」がいずれも首位を獲得しています。

テイラー以外の作品となると、ザ・ウィークエンド『After Hours』以来となります(2019-2021年に「Heartless」「Blinding Lights」および「Save Your Tears」がいずれも首位を獲得(「Save Your Tears」はアリアナ・グランデ共演版リリースに伴う))。また2位以上が3曲のうち1位が2曲以上となると、アリアナ・グランデ『Thank U, Next』(2018-2019)以来となります。なおドレイクは2018年初め、『Scorpion』から3曲の首位を含む4曲を2位以内に送り込んでいます。

アイス・スパイスは「Karma」で自己最高位を更新しました。今年3月にピンクパンサレスとの「Boy's A Liar, Pt.2」が3位、4月にはニッキー・ミナージュとの「Princess Diana」が4位を記録しています。

 

マイリー・サイラス「Flowers」は1ランクダウンし3位に。ラジオ指標は前週比3%ダウンの8680万となり、同指標16週目の首位を記録しています。コロムビア・レコード発の作品としてアデル「Easy On Me」を抜き、最長記録を更新しました。

<ラジオ指標 最長首位獲得週数>

26週 ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(2020)

18週 グー・グー・ドールズ「Iris」(1998)

16週 マイリー・サイラス「Flowers」(2023)

16週 マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」(2018)

16週 マライア・キャリー「We Belong Together」(2005)

16週 ノー・ダウト「Don't Speak」(1996-1997)

15週 アデル「Easy On Me」(2021-2022)

 

リル・ダーク feat. J. コール「All My Life」は2→7→4位と推移。同作品がリード曲となったアルバム『Almost Healed』が最新の米ビルボードアルバムチャートで3位に初登場を果たし、収録曲は「All My Life」を含め15曲、100位以内エントリーを果たしています。

 

レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」は4→5位にダウン。昨年4月に始まったU.S.アフロビートソングチャートで40週目の首位を獲得しています。

なお最新ソングチャートでトップ5入りを果たした女性歌手3組はいずれも2000年代後半にキャリア初のソングチャートランクインを果たしています。マイリー・サイラスはハンナ・モンタナとして2006年8月、テイラー・スウィフトは同年9月、そしてセレーナ・ゴメスは2009年1月に初登場しています。

 

ルーク・コムズ「Fast Car」は同曲最高位となる8位に上昇。ラジオ指標は前週比33%アップの2630万を記録し、2週連続でトップエアプレイゲイナーを獲得しています。なおトレイシー・チャップマンによるオリジナルバージョンは1988年に6位を記録しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) モーガン・ウォレン「Last Night」

2位 (27位) テイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」

3位 (2位) マイリー・サイラス「Flowers」

4位 (7位) リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」

5位 (4位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」

6位 (3位) シザ「Kill Bill

7位 (6位) エスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola

8位 (10位) ルーク・コムズ「Fast Car」

9位 (5位) トゥーシー「Favorite Song」

10位 (9位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。6月10日付ではエスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が首位返り咲き、またGlobal Excl. U.S.ではYOASOBI「アイドル」が英語版加算に伴い6→1位となり、同曲初の首位を獲得しました。

今回記事ではGlobal Excl. U.S.が先に紹介されています。このブログエントリーでもその記事に倣い、まずGlobal Excl. U.S.を紹介します。

Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではYOASOBI「アイドル」が初制覇。ストリーミングは前週比14%アップの4570万、ダウンロードは同39%アップの24,000を記録しています。これは集計期間初日となる5月26日に英語詞版「Idol」がリリースされた効果も表れた形です。これにより「アイドル」は、(オリジナルバージョンが)日本語詞曲による作品としてGlobal Excl. U.S.を制した初の作品となりました。

YOASOBIは「夜に駆ける」がGlobal Excl. U.S.で2021年に最高6位を記録し、同チャートで200位以内に87週ランクインを果たしています。なお記事では「アイドル」がテレビアニメ『【推しの子】』オープニングテーマであること、ビルボードジャパンでは7週首位を獲得していることが紹介されています。なお「アイドル」はGlobal 200において10→9位に上昇しています。

 

Global 200ではエスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が2→1位となり、通算4週目の首位に。メキシコの曲として同チャート初制覇を果たしたこの曲はストリーミングが前週比3%ダウンの7690万、ダウンロードが同2%アップの2,000を記録しています。

米で2位を記録したテイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」は96→6位に上昇。ストリーミングは前週比224%アップの4960万、ダウンロードは同611%アップの17,000を記録しています。昨年11月、アルバム『Midnights』が米チャートに登場した際に10位を記録した同曲は、集計期間初日にリリースされ翌日にミュージックビデオが公開されたアイス・スパイス参加に伴いトップ10に返り咲いた形です。

「Karma」はテイラー・スウィフトにとってGlobal 200でトップ10入りを果たした14曲のうちのひとつですが、同曲における獲得ポイントの半分以上を占めたことで今回クレジットされたアイス・スパイスにおいてはピンクパンサレスとの「Boy's A Liar, Pt.2」(2023年3月 3位)に次ぐ2曲目のトップ10ヒットとなりました。