2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2022年9月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。
過去の私的トップ10ソングス等についてはこちらに。現在はSpotifyを利用しており、New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spinを毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソングス(選出企画)となります。個人的な作品への思い入れについて、音楽チャート紹介時には乗せないよう心掛けています。
10位 MAX feat. keshi「It's You」
ナッシュとの「Lights Down Low」がスマッシュヒットしたことで知られるMAXが、ベトナム出身のkeshi(ケシ)と組んだミディアムバラード。MAXはBTSのSugaと組んだ「Strawberry Eyes」も美しく、彼のポップセンスがアジア人歌手と相性が良いことを思わせます。ならば、オリジナル曲でいつ日本人歌手がフックアップされるか、次はその点にも期待したいものです(「Lights Down Low」の別バージョンとしては招聘済)。
9位 Nao Yoshioka「Wave」
米で活動する歌手のバラードながら、BTエクスプレス(B.T.エクスプレスと表記するメディアも)「Do It」的リズムをうっすら敷いたことで明け方のクラブプレイにも対応可能な浮遊感を内包(同曲を用いたトゥルース・ハーツ feat. ラキム「Addictive」も想起)。この心地よさ、レコード会社のホームページに掲載された曲のテーマとも合致していますね(→こちら)。
8位 アダム・ブラックストーン feat. ジャズミン・サリヴァン「’Round Midnight」
(上記はリリックビデオ。)
ベーシストでプロデューサー、様々な歌手のバックも務めてきたアダム・ブラックストーンによる初のリーダー作『Legacy』には錚々たる面々が参加。その中で先行シングルに選ばれたジャズスタンダードのカバーには、昨年のアルバム『Heaux Tales』が大成功を収めたジャズミン・サリヴァンが参加。少しハスキーな(それこそ八代亜紀さんのジャズアルバムを思わせる)歌声と、余裕ある演奏陣との美しいコラボに心酔。
7位 Q「Stereo Driver」
1980年代に一世を風靡したスパンダー・バレエ「True」感のある作品で、美しさに聴き惚れて選出。今回のベストソングスは何かしらの趣(影響源と思しきもの)を感じたものが多いながら、歌手の芯も感じられるものを多く選出しています。
6位 ダニエル・ポンダー「Someone Like You」
(上記はライブ動画。)
かつて弁護士として働いていたこともあるというダニエル・ポンダーによる、ファーストアルバム収録曲。力強いボーカルながらR&B以上にブルースの薫りが漂っており、マーカス・マムフォードと共にライブを行っていることを知り強く納得。R&B、ブルース、オルタナティブロック等、似合うジャンルは幅広いのではないでしょうか。
5位 ジョン・レジェンド feat. フリー・ナショナルズ「Strawberry Blush」
(上記は公式オーディオ。)
アンダーソン・パークのバックバンドを務めるフリー・ナショナルズを迎えたジョン・レジェンドのスリリングなソウルナンバーをこの位置に。2枚組の大ボリュームとなった最新アルバム『Legend』は多数のゲストを用意していますが、こういう曲が入っていることで期待感が俄然高まった次第。
4位 paris match「PALE MOON」
paris matchが来月リリースする第2弾カバーアルバムの先行曲は、彼らが敬愛する松原正樹さんのカバーで、オリジナル版の松原さんによるギターパートを遺族から正式に借りたというもの(下記動画でparis match自身が解説)。シティポップムーブメントが続く中、カバーながら2022年産では最高ランクに位置する作品ではないでしょうか。
3位 なとり「Overdose」
ビルボードジャパンソングスチャートで次の大ヒット候補に躍り出たなとり「Overdose」。アップナンバーながら、たゆたうようなエレピの挿入でミディアム~バラードとしてもリアレンジ可能と思わせる曲作りが面白いですね。曲構成等も隙がなく素晴らしい一方、知人の第一印象が”ぼくりりを想起”とのことで、もしぼくのりりっくのぼうよみがこの時代にデビューしていたならばどんな評価を受けたかを考えるなど。
2位 藤井隆「未来エキスプレス11」
(上記はアルバム『Music Restaurant Royal Host』ティザー(ティーザー)映像。冒頭では同曲のインストゥルメンタルが使われています。)
アルバムコンセプト、フィジカルへのこだわり、そしてティザー(ティーザー)の工夫等、藤井隆さんのプロデューサー/歌手としての才能が今作『Music Restaurant Royal Host』でも発揮されており、この点はラジオ特集(下記ブログエントリー参照)でも紹介しました。冒頭に用意されたこの曲はレイ・ハラカミさんらしさも漂うことから、レイさんが存命だったならば藤井さんが共作をオファーしたのではとも感じています。
1位 Vaundy「mabataki」
大国の侵略行為やネット上での罵詈雑言等、規模の大小に関係なくネガティブな態度が溢れるこの社会をどう生きるかを見事に示したVaundy「mabataki」を9月の首位に選出。1番から2番への橋渡しに”なんて”と添えることで今の社会を変えることを無理だと(する主人公の意志を)示しつつ、歌詞の問いかけが最終的に”僕ら”に着地していることで僅かな希望を抱いていることが解るストーリーテリング等、実に見事です。
以下、次点として10曲。
・ASOBOiSM「自分の機嫌は自分でとる」
・UNI-Qreatives feat. Nadia (BananaLemon)「LIMIT」
・showmore & Gimgigam 「Just a moment」
・アウスゲイル「Like I Am」
・ベイビーフェイス with クイーン・ナイジャ「Game Over」
・ビビオ「Off Goes The Light」
・ジューニー feat. PJモートン「Share My Love」
・ルイス・コール「Dead Inside Shuffle」
・オスカー・ジェローム「Feel Down South」
・レギー・ベクトン「Sway」
ルイス・コールは8月にも次点ながら「I'm Tight」を、プリンス流ファンクを想起させる曲として選出。今回の「Dead Inside Shuffle」はアース・ウインド・アンド・ファイアー(アース・ウインド & ファイアーと表記するメディアも有り)「Got To Get You Into My Life」的ファンクをうっすらなぞった印象があり、来るアルバムがどうなっているのか、より楽しみになっています。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。