最新9月21日公開分(9月26日付)ビルボードジャパンソングスチャートにおいて、BE:FIRST「Bye-Good-Bye」がストリーミング1億回再生を達成しました。
BE:FIRST「Bye-Good-Bye」自身初のストリーミング累計1億回再生突破 https://t.co/spkPx3SGsh pic.twitter.com/MX6ZIq60s6
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) September 21, 2022
BE:FIRSTの2枚目のフィジカルシングル表題曲はデジタル初加算となった3月16日公開分(3月21日付)にてビルボードジャパン総合ソングスチャートを制覇。フィジカル関連指標初加算となった5月25日公開分(5月30日付)では米津玄師「M八七」の後塵を拝するも、倍以上のフィジカルセールスを獲得したAKB48「元カレです」を押さえて総合2位へ浮上。ドラマ主題歌効果もあって、彼らの代表曲に成ったと言えるでしょう。
一方で、気になるのはストリーミング指標の推移。下記CHART insightにおいて総合順位は黒、ストリーミングは青で表示されます。
接触指標の一種であるストリーミングは総合ソングスチャートにおけるロングヒットの要となるもので、他指標よりも長く安定する傾向にあるのですが、BE:FIRST「Bye-Good-Bye」は下がり幅が大きく(速く)なっています。今年度上半期ソングスチャートでトップ10入りし、且つフィジカルシングルもリリースされたAimer「残響散歌」やKing Gnu「一途」と比べれば、「Bye-Good-Bye」のダウンの大きさが解るでしょう。
(とはいえ、「残響散歌」や「一途」はこの2年の大ヒット曲と比べてもダウンの速さは大きいと言えます。この点は後日あらためて述べる予定です。)
BE:FIRST「Bye-Good-Bye」は9月7日公開分(9月12日付)でストリーミング指標が上昇し、総合ソングスチャートでも100位以内に再浮上しています。これはこの曲を収録したアルバム『BE:1』が同日公開のビルボードジャパンアルバムチャートを初登場で制したためですが、そのアルバムの影響が長続きすると言い切れないのが勿体なく感じます。ストリーミング指標においては、Spotifyのダウンが今後影響していくでしょう。
日本における9月18日付Spotifyデイリーチャート、50位以内で再生回数前日比9割以上となった9曲のうち残る2作品は #BLACKPINK「#ShutDown」(再生回数前日比96.1% 50→38位)および #なとり「#Overdose」(同101.3% 51→35位)。「Overdose」の50位の壁突破により #BEFIRST「#ByeGoodBye」は51位へ脱落。
— Kei (@Kei_radio) September 19, 2022
50位の壁についてはブログ #イマオト で解説しており、50位以内ランクイン曲の数日中の上昇および脱落曲の数日中の急落が予想されます。https://t.co/kJIkbGaUBV#BEFIRST「#ByeGoodBye」の再生回数前日比(83.5%)は50位以内登場曲に比べて低く、フェス鑑賞者の再生回数減少も影響したと思われます。
— Kei (@Kei_radio) September 19, 2022
サブスクサービスのうちSpotifyはトップ50プレイリスト等の影響が大きいため、50位以内に入るとそこから脱落しないうちは安定してヒットする傾向にあります。BE:FIRST「Bye-Good-Bye」は日本における5月16日付Spotifyデイリーチャートで50位以内に入ると”50位の壁”特性に伴い急浮上、最高8位を獲得しました。
その特性も相俟って他のサブスクサービスよりも長くSpotifyでヒットしていたといえる「Bye-Good-Bye」ですが、日本における9月18日付Spotifyデイリーチャートで50位以内から脱落すると、最新9月21日付では65位にダウンしています。今回の1億回突破アナウンスで再度注目を集めるとして、”50位の壁”再突破は極めて難しいと言えるでしょう。
気になるのはこの”50位の壁”を越えてしまったタイミング。上記ツイートにもあるように、この日はBE:FIRSTも出演するBMSGフェスの2日目が開催されていました。ともすればその日フェスに参加、観賞された方のサブスク再生が少なかった可能性が、再生回数前日比から見えてくるのです。
BE:FIRST「Bye-Good-Bye」が”50位の壁”から脱落する直前にBLACKPINK「Shut Down」が、なとり「Overdose」が「Bye-Good-Bye」と交代する形で壁を突破しています。Spotifyで50位以内に入ることがビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標、そして総合チャートにも影響を及ぼすことを踏まえれば、BE:FIRST側、BMSG側は壁を割り込む可能性を踏まえて再生を提案するアナウンスが必要だったと考えます。
(無論この必要性はBE:FIRST「Bye-Good-Bye」に限らず、他の曲や他の歌手においても同様です。50位以内が視野に入った曲や、初登場で50位以内に入るだろう曲が出てくる前に、ユーザーの自発的な再生を促すアナウンスを採ることが有効だと考えます。)
BE:FIRST「Bye-Good-Bye」はデジタル先行配信、およびフィジカルリリース週のタイミングでLINE MUSIC再生キャンペーンを開催したことが、ビルボードジャパンソングスチャートにおける3月の首位や5月の2位獲得に大きく影響しています(上記ブログエントリー参照)。ただ、キャンペーン採用後のストリーミング指標の下がり幅の大きさを踏まえれば、コアファンとライト層との乖離、ライト層の獲得状況には疑問が残ります。
キャンペーン採用曲については、ビルボードジャパンがストリーミング指標に適用させにくいチャートポリシーを採るようになり、今後キャンペーンの有効性は乏しくなることでしょう。ならばライト層にどう訴求するか、考え実行することが重要です。一方でいつも聴いてくださる方にきちんと呼びかけることも忘れてはならず、今回の「Bye-Good-Bye」のSpotify”50位の壁”脱落は、この点によるところも小さくないと考えます。
日本の音楽業界を変えんとするSKY-HIさんの意志はBE:FIRSTの各曲、そしてアルバム『BE:1』のチャート制覇に反映されています。
一方で作品のロングヒットの可能性を考えた際、『BE:1』が登場3週目にしてビルボードジャパンのアルバムチャートトップ10を割り込んだこと、レンタルによる取込が反映開始された3週目のルックアップが11→17位と下がっているのが気になります。レンタル可能な環境が減っているとはいえレンタル自体はライト層獲得に十分な意味を持つわけで、BE:FIRST側(レコード会社含む)のレンタルチェーンへの働きかけも必要でしょう。
BMSGフェスが大盛況に終わったならば、BMSGそして所属歌手の次なる目標は作品をさらなるロングヒットに至らせること、そして評判が世界に轟き活躍の幅を拡げることではないでしょうか。コアファンの信頼は十分勝ち得ていると感じるため、ライト層拡大が必須と考えます。