先週木曜までに公開された、4月27日公開分(5月2日付)チャートを紹介したビルボードジャパンによるポッドキャスト最新回。前週公開分で変更されたチャートポリシーについて、前回のポッドキャストをお休みしたチャートディレクターの礒崎誠二さんによる解説を聞くことができる等、重要な回となっています。
このポッドキャストにて、注目の発表がありました。
#ビルボードポッドキャスト にて、今年度上半期の期間が2021年11月29日から2022年5月29日までになることが発表されています。6月10日金曜午前4時に情報が解禁されるとのことです。
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月28日
https://t.co/F9n3cs0MN4
2022年度上半期の集計期間は2021年12月8日公開分(12月13日付)から2022年6月1日公開分(6月6日付)までの26週となり、第1および第2四半期は共に13週。しばらくは各四半期毎の初週にチャートポリシー(集計方法)が変更されてきましたが、今年度第2四半期初週はそれが行われなかったことになります。ゆえに前週、今年度第2四半期の途中でチャートポリシーが変更されたことの重要性を感じずにはいられません。
さて、今回のポッドキャストではチャート訂正に関するお詫びが述べられていませんでした。その点を疑問に思い、あらためてこの点について思うことを述べさせていただきます。
ビルボードジャパン(@Billboard_JAPAN)に確認を願います。#藤井風『#LOVEALLSERVEALL』のルックアップ指標が未加算となっています。 pic.twitter.com/m1wXE4XfMr
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月27日
あらためて @Billboard_JAPAN アルバムチャートを確認すると、Juice=Juice『terzo』(総合1位)やiScream『i』(総合14位)もルックアップ指標未加算でした。
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月27日
最新チャートにおけるルックアップ指標の欠落、非常に気になります。https://t.co/bx7J4rIoGzhttps://t.co/CTkn7eLREj pic.twitter.com/GUjYc39egR
4月27日公開分(5月2日付)アルバムチャートの発表当初、一部作品でルックアップ指標が欠落していました。ルックアップとはパソコン等へCDをインポートする際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を指し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数の推測を可能とするものです。
ルックアップ指標の欠落において分かりやすかったのは藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』。4月9日にレンタル解禁されたこの作品は最新チャートにおいてレンタルに伴うルックアップも加算されるため、この指標で(指標加算対象外となる)300位圏外になることはまず考えられないのです。そのためビルボードジャパンへ問い合わせを実施しました。
13時22分、ビルボードジャパン編集部より回答をいただきました。
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月27日
現在確認中につきもうしばらくお時間をいただきたい、確認が取れ次第回答する、とのことです。 https://t.co/8eLbDgSTy6
回答をいただいた後、ビルボードジャパンはアルバムチャートを訂正しています。訂正後のアルバムチャート、CHART insightはこちら。
藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』はルックアップ指標を実は制していながら、当初は欠落していたということになります。同様にJuice=Juice『terzo』もルックアップ指標は実際14位でした。
今回のルックアップ指標欠落について、ビルボードジャパンは訂正の旨をアナウンスしています。
【チャートに関するお知らせ】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年4月27日
2022年4月27日公開の総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”に関して、一部データに誤りがございました。以下の通り訂正して、お詫びいたします。
藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』5位→4位
羊文学『our hope』4位→5位
しかしこれは十分と言えないでしょう。ひとつは先述の通りJuice=Juice『terzo』もルックアップ指標が欠落しながら、その旨が記載されていないこと。ふたつ目はトップ10以外にも順位変動があったことが容易に予想されながら、あくまで総合トップ10内の変動にとどめてアナウンスしていること。またアルバムチャートの記事にて、ルックアップ指標の欠落問題(およびその訂正に伴う遅延)についてのお詫びがないのは違和感です。
ルックアップ指標の訂正に関する表記はみられません。 https://t.co/DCotvHDGzV
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月27日
そして訂正については、最新のポッドキャストでもアナウンスされていませんでした。2週前のポッドキャストにおいて、冒頭で礒崎さんがお詫びを述べていたのとは真逆といえる状況です。
さて、この2週前(4月13日公開分(4月18日付))のチャートに関するお詫びについて、その状況がなぜ発生したかを以前ブログで紹介しました。
礒崎さんは管理体制の見直しを行うと述べています。体制立て直しは短期間でできるものではないとして、しかしミスが1ヶ月もしないうちに再度発生したことの問題は大きいでしょう。上記ブログエントリーでは日本レコード協会会長の発言を冒頭で取り上げていますが、ミスが続くチャートを日本レコード協会側が好んで日本公式に据えようとはしないはずです。
管理体制については、チャートに詳しい者が数名いれば違和感は見つけられます。前回のミスの根本にあったものはチャート分析や予想に長けた紅蓮・疾風さん(Twitterアカウントはこちら)が、今回は自分が見つけています。新曲リリースやレンタル解禁等のスケジュールに熟知している方がいればCHART insight更新前に見つけられるはずであり、そのような人員を増強することが必須でしょう。
また、以前も述べていますが、チャート更新タイミングを夕方の定刻に設定することを望みます。チャートが出来上がったタイミングで発表するのではなく(しかも発表時間は毎週ばらついています)、一旦まとめあげた後に総合ソングスチャート等の記事を執筆した上で、たとえば毎週水曜18時公開と決めてチャートも記事も発表することを勧めます。記事執筆時に集計誤り等に気付く可能性もあり、執筆は監視の役割も果たします。
複合指標に基づくチャート発表は、単一指標から遅れるのはやむを得ないことです。記憶が正しければ当初合算ランキングを水曜4時に発表していたオリコンは、現在では金曜に発表曜日を遅らせています。つまりは合算チャートの発表タイミングでもビルボードジャパンが先なのです。他方オリコンはチャート発表時間を午前4時としており、チェックする側に"午前4時にチェックする"という習慣付けを生んでいると言えます。
チャートに詳しい者による監視の目の強化、チャート発表時間の定時化…これらの確立は事務作業に焦りを生むことを減らし、また記事執筆に余裕も生まれるでしょう。また下記で指摘したようなことも減るはずです。
.@Billboard_JAPAN 記事担当者の方へ。『プロモーション活動と連動sして』『2ランクダウンとなったが、再生回数は前週比106の7,573,335回を』というように、表記誤りが目立ちます。訂正をお願いいたします。 https://t.co/YJgV2V2Da9
— Kei (@Kei_radio) 2022年4月27日
結果的にリンク先の記事は訂正されていますが、一方で訂正の旨が記されていないことは責任感の高くなさを示すのではという違和感を抱いたことを、付け加えておきます。
チャートを責任持って届けるという意識をより強く抱いて行動しミスをしなくなったならば、また万が一ミスが生じてもその後の訂正が誠意のあるものならば、いずれ日本レコード協会がビルボードジャパンにお墨付きを与え、また同チャートが広く日本全体に普及することにつながるでしょう。