イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週相次いでミスが発生したビルボードジャパン、これ以上起きないことを願い提案を記す

ビルボードジャパンのチャートディレクターを務める礒崎誠二さんによる著書、『ビルボードジャパンの挑戦 ヒットチャート解体新書』が先月20日に発売されています。この発売を機にビルボードジャパンへの注目が高まったであろうタイミングでビルボードジャパンのチャート発表にミスが目立ったことを憂慮し、今一度提案を記します。

 

ビルボードジャパンによるミスは2月28日公開分において発生。①CHART insight更新の遅延と未アナウンス、②公開チャートの日付ミスやポイント等の未記載、③総合ソングチャート記事の二度の訂正と不十分なアナウンス、という3点に加えて、これは2月28日公開分ではないものの ④ストリーミング"億超え"記事の掲載時間が徹底されていないことについても記します。

 

 

ビルボードジャパンは通常、水曜13時前後にCHART insight(ソングチャートやアルバムチャート等)を更新し、先行で公開されるニコニコ VOCALOID SONGS TOP20を除くチャートを14時前に公開、そして夕方に総合ソングチャートをはじめとする記事を公開するというのが一連の流れとなっています。またストリーミング"億超え"(1億回、3億回、そして5億回以降は1億回刻みで)の記事は午前4時に公開することが定番化していました。

 

2月28日公開分においては、まずCHART insightの更新が遅れていました。実は前週2月21日公開分についても13時以降に更新されたのですが、その際は遅延アナウンスがポストされていました。一方で2月28日公開分ではそのアナウンスは見当たりません。

 

そしてその後発表されたチャート(その公開時間も通常より遅かったのですが)にも問題が発生。総合ソングチャートの公開日は2月29日(木曜)に設定されていました。

後にビルボードジャパンは一度公開した各種チャートを一旦引き下げ、訂正した後に再アップしています。なお訂正前は総合ソングチャートの獲得ポイントやソング/アルバムチャートにおけるフィジカルの売上枚数も未記載となっていました。

このエラーは2月28日16時過ぎに解消されていますが、訂正の旨はアナウンスされていません。ビルボードジャパンは各種チャートについてトップ10の画像付ポストを14時までに投稿していますが、ポストに添付されたリンク先からは一時的に、最新チャートに辿れなくなったことになります。

 

そしてもうひとつ、ビルボードジャパンが(これも通常より遅延となりましたが)発表した総合ソングチャートの記事に誤りがありました。

上記は最初の段階で掲載された2月28日公開分総合ソングチャートの記事。首位を獲得したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」について『ラジオ74位→10位と露出も稼ぎながら、動画再生67位→19位』と記載されていますが、実際はラジオ指標7→10位、動画再生指標は当週19位ながら初の300位以内エントリーというのが正しい表現でした。その後ビルボードジャパンはこの点を訂正し、記事を再掲しています。

ポストで引用したビルボードジャパンの記事には、タイトルに"<2/28訂正>"と表記されています。記事の最後にてお詫びの文言も掲載されていますが、元のポストを削除したことには言及されず、お詫び文を添えたポストも登場していません。そして動画再生指標については最終的に翌日訂正されたのですが、その訂正時の対応は十分とはいえません。

おそらくは一度目の訂正後に担当者(総合ソングチャートの記事担当者は礒崎さんとうかがっています)が帰社されたのではと推測するのですが、問題は訂正が二度に渡ったこともさることながら、それ以上に訂正した旨のアナウンスが十分とはいえないという点にあります。

 

 

ビルボードジャパンについては、ストリーミング再生回数の億超え達成記事についても気になっています。2月28日および直近3月6日においては水曜午前4時の公開にいわば”戻っている”のですが、一時はこの公開時間が流動的となっていました。この流動的な状況は以前もみられており、直近2週分をもって完全に解消したとは断言しかねる自分がいます。

認知度で先行するオリコンがチャートの定時発表(基本的に午前4時)を徹底していることから、ビルボードジャパンに対してストリーミングの億超えアナウンスを午前4時に、そして総合ソングチャート等については夕方の定時に公開することを、このブログでは提案してきました。ゆえにストリーミング記事が午前4時に発表された際にはその状況を歓迎したのですが、果たして体制がどうなっているのか気になるところです。

 

 

ビルボードジャパンはポッドキャスト不定期更新となりましたが、MCを担当する礒崎さん体調を考慮した結果とうかがっています。体調最優先であり、書籍執筆が背景にあるのは理解できますが、厳しい物言いながらチャートを調べる方にその事情はおそらくは解らないはずであり、チャート更新時間の不徹底やミスの連続は信頼度を落としかねないと考えます。業務の割り振りや管理体制見直しのさらなる徹底は必要でしょう。

このブログにてチャートの定時発信等を提案し続けるのは、時間を指定することでそれに向けてシステムを整えるという意識が働くこと、公開時を徹底するオリコンに認知度で追いつくことを考慮してのものでした。加えるならば、最新チャートの発表を定時に発信、さらにその発表をイベント化することでビルボードジャパンの認知度、そして音楽チャート自体の存在感や価値を高めることができるというのも、提案する理由です。

(最新チャートの発表をイベント化するという意味で、速報をラジオ番組で紹介することも提案しています。ポッドキャストとは異なりラジオは外部制作スタッフが関わるため、チャート管理者側に客観視する姿勢が身につくことも、提案の理由です。)

 

2月28日公開チャートにおける諸問題からは、その理想の体制が遠いものであることを痛感しています。それ以上に、問題発生時の対応が遅れたこと、そして訂正やお詫びをアナウンスしないという姿勢から、特に後者においてはチャート管理側としての責任を実感しているのかという強い疑問を感じた次第です。

一定時間までに公開が難しいならば決まった時間(たとえばCHART insight更新に関しては13時)に遅延アナウンスを行う、訂正発生時はその旨をきちんと述べポストでもお詫びを記すといったことは必要ではないでしょうか。そしてそれらは、決して難しいことではないはずです。

 

本日発表される最新チャートがどうなるかは分かりかねますが、ビルボードジャパンのソングチャートが社会的ヒット曲の鑑と成ってきていると感じる身としては、改善されることを心から願うばかりです。

 

 

最後に。このブログは評価と批判というスタンスを採るゆえ、自分が同業者から好ましく思われていないと耳にしたことがあり、ともすればビルボードジャパン側からも同様の感情を抱かれているかもしれません。しかし、このブログでは誹謗中傷は行っておらず、批判と提案という姿勢を採っています。無条件に推すのではなく、より好くなるためにどうするかを考えて提案しているということを、ご理解いただきたいと思います。