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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンによる第1四半期の曖昧な区切りに疑問も、第1四半期総括から真の社会的ヒット曲が見えてくる

ビルボードジャパンソングスチャートについては、一昨日発表された3月9日公開分(3月14日付)より2022年度第2四半期が開始されたと捉えておりました。しかし昨日のブログエントリーをアップ後にビルボードジャパンによるポッドキャストをチェックしたところ、どうやらそうではない可能性が示唆されているのです。

ポッドキャストの説明文には『第二四半期最初の週はSixTONESKing Gnuが激突』とあり、昨日ここでも紹介した3月9日公開分(3月14日付)からが第2四半期だと認識可能です。またその区切りの下、第1四半期の上位曲をブログに記載しています。

ところがポッドキャストでは、第1四半期の集計期間が2021年11月29日から2022年3月6日までと紹介されています(MCの太田さんは2月6日と仰っていますが、3月の誤りでしょう)。すなわち、3月9日公開分(3月14日付)までが第1四半期となるのです。ともすればビルボードジャパンは昨年度に続き今年度も53週とするのかもしれません。

自分は昨日のブログエントリーを書き上げた直後、紅蓮・疾風さんのツイートを読んで驚いた次第。2021年度が53週となっていたので、てっきり2022年度以降しばらくは52週になるものと考えていました。上記ツイートにおける紅蓮・疾風さん、そしてリプライされたあささんという、チャート予想や分析に長けたお二方でも第1四半期の区切りについての意見は異なります。

様々なデータをまとめあげ、日本を代表する音楽チャートを標榜するビルボードジャパンならば、曖昧な表現で混乱をもたらすこの状況はあってはならないでしょう。早急にどちらが第1四半期の区切りになるか、きちんと提示してほしいと強く願います。しかも次回(3月16日公開分(3月21日付))が第2四半期初週にあたるならば、7期連続で四半期初週にチャートポリシーが変更される可能性も考えられるゆえ尚の事です。

 

ビルボードジャパンに対応を願いつつ、ここでは最新3月9日公開分(3月14日付)までを第1四半期と仮定した上であらためて、ソングスチャート上位20曲を紹介します。

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ポッドキャストではトップ10が紹介されていますが、50位までのポイントが可視化されたビルボードジャパンソングスチャートを取りまとめた上記表と順位が合致します。そして重要なのはポッドキャストで紹介されているように、総合の上位10曲が順位は異なれどもストリーミング指標のトップ10とすべて同じだということです。

ストリーミング指標はサブスク再生回数等に基づき、有料会員による1回再生と無料会員とのそれとでウエイト差を設けて算出されます。ポッドキャストにおけるストリーミング順位はおそらく、再生回数ではなく指標化した際のそれを指すと思われます。またフィジカルセールス指標のトップ10には「残響散歌」「一途」も入っていない模様です(ポッドキャストでは2曲とも同指標10位台と紹介されています)。

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一方で、2021年度第1四半期にはフィジカルセールスに強いSnow Man「Grandeur」、King & Prince「I promise」そして乃木坂46「僕は僕を好きになる」が20位以内に入っています。あくまで可視化されたポイントのみを合算しているゆえ、50位未満のポイントも加算すれば「Grandeur」が10位以内に入るかもしれません。

しかし2021年度の年間ソングスチャートではSnow Man「Grandeur」が40位に入ったのが最高であり、同チャートは「ドライフラワー」が制しています。フィジカルセールスに強い曲はストリーミング指標に強くなく、もしくはデジタル未解禁のためにロングヒットに至れないのです。

それも、2020年度第4四半期以降各四半期初週の都度行われたチャートポリシー変更に伴い、その傾向は強くなりました。今年度第1四半期ではSnow Man「Secret Touch」およびJO1「僕らの季節」が初週フィジカルセールス50万を超えたものの、トップ20には届いていません。ストリーミングでロングヒットしないこと、そもそもデジタル未解禁ならば、ライト層に届きにくく真の社会的ヒットに成っていないと言えるでしょう。

 

 

2021年度第1四半期の総合ソングスチャートトップ10をビルボードジャパンが可視化したことで、あらためて真の社会的ヒット曲の条件がみえてきました。ゆえに、特にフィジカルセールスに強い曲はその売上を武器のひとつと位置付け、デジタルにも強くなること、それも長くポイントを獲得する形を作り上げる必要があることをあらためて実感できるはずです。

そしてビルボードジャパンには、第1四半期の区切りをきちんと提示してくださることを、心から願います。