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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週実行されたフィジカルセールス指標のチャートポリシー変更に矛盾が…ビルボードジャパンの再考を強く望む

最新7月27日公開分(8月1日付)ビルボードジャパンソングスチャートをNiziU「CLAP CLAP」が制したことについては昨日お伝えしました。

「CLAP CLAP」はフィジカル関連指標初加算に伴い総合ソングスチャートを制しましたが、そのフィジカルセールス指標において違和感が生じています。

チャート分析に長けたあささんの発信内容は、7月20日公開分(7月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートでチャートポリシー(集計方法)が変更されたことを証明したものとなります。

 

ビルボードジャパンが7月20日公開分(7月25日付)ソングスチャートで行ったチャートポリシー変更、その内容は【フィジカルセールスの指標化において、5万枚を超える(と言われる)曲の5万枚を超える分に係数処理を施す→フィジカルセールス首位曲のみに対し5万枚を超える分に係数処理を施し、フィジカルセールス2位以下は5万枚を超えても係数処理を施さない】というものです。

詳細は先週金曜のブログにて紹介していますが、ビルボードジャパンはこのチャートポリシー変更をアナウンスしていません。またビルボードジャパンに対し変更に関する詳細確認および掲載許可を伺っているのですが、1週間以上経った現在でも回答はいただけていません。チャートポリシー変更のアナウンスはありませんでしたが、チャート予想を行う紅蓮・疾風さんも前週変更があったことは間違いないと結論付けています。

ただ直近のチャートポリシー変更によって、フィジカルセールスを指標化する際に首位曲だけが損をする形になります。仮に上位2曲が売上面で競った場合、首位曲だけが係数処理を施されるならばさらに大きな矛盾が生まれると言えるでしょう。

 

ビルボードジャパンはおそらく、Streaming Songsチャートをストリーミング指標化する際に首位曲がLINE MUSIC再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)を実施していた場合は係数処理を施すという手法(今年度第2四半期中途で採り入れたチャートポリシー)を、フィジカルセールス指標についても適用したものと考えます。

しかし直近のチャートポリシー変更は矛盾を孕んでいることが、冒頭で述べたあささんのツイートにて、それも2週連続で明らかになっています。この矛盾はストリーミングにおいても発生しており、Streaming Songsチャート2位以下ながらLINE MUSIC再生キャンペーンを採用している曲は係数処理未適用のため指標化の際に係数処理を施された曲と逆転することについて、下記ブログエントリーで改善提案を含め紹介しています。

チャートハックは他曲でも行われ、他指標でも実施は可能であることから、チャートハックがあるという前提の上でそれが及びにくいチャートポリシーにすることが音楽チャートの理想と考えます。チャートハックは首位曲以外にも目立つのですが、しかし首位曲だけに是正措置(係数処理)を施すことで矛盾が生まれている仕様を、ビルボードジャパンはストリーミングのみならずフィジカルセールスにも適用しているのです。

 

そして直近のチャートポリシー変更ではフィジカルセールスの指標化においてフィジカルセールス2位以下は5万枚を超えても係数処理を施さないという形になりましたが、前週のブログエントリー(→こちら)で述べたフィジカルセールス指標自体のウエイト減少こそ本来行うべきではないかと思うのです。これは前週チャートインした曲のその後の動向から、強く感じています。

上記は前週7月20日公開分(7月25日付)ビルボードジャパンソングスチャートでフィジカルセールス2~5位に入ったOCHA NORMA「恋のクラウチングスタート」(前週総合2位)、ボイメンエリア研究生「BURNING DANCE -バニダン-」(同6位)、GANG PARADE「シグナル」(同19位)およびAKB48「元カレです」(同25位)の、最新チャートにおけるCHART insight。4曲とも総合100位以内に入ることができませんでした。

実際フィジカルセールスばかりが目立つ曲は週間チャートで上位に登場しても翌週急落するのが大半のため、売上枚数にかかわらずフィジカルセールス指標全体のウエイト減少が必要だと考えます。しかし仮に最新チャートでチャートポリシーが変更されたならば5万枚以上売り上げた曲についてフィジカルセールス指標のウエイトが実質上昇する形となり、強い違和感を覚えるのです。

前週の予想通りとなったことに、複雑な思いを抱いています。

 

ビルボードジャパンは日本を代表する音楽チャートに成ろうとするのであれば、フィジカルセールスやストリーミング再生回数で1位を獲った曲(後者はLINE MUSIC再生キャンペーンを実施した場合)だけが指標化の際に損をしかねず、またロングヒットと大きく乖離するフィジカルセールス指標のウエイトを実質上昇に至らせた直近のチャートポリシー変更について、その理由を公開すべきだというのが私見です。

そしてなぜ公開しなかったかについても話してほしいと切に願います。サイレントでの変更実施によって、少なくともこの2週においてフィジカルセールスを制したSnow Man「オレンジkiss」やNiziU「CLAP CLAP」はあたかも知らず知らずのうちに損をしてしまった形と言えるでしょう。2組側はビルボードジャパンに対し、違和感を表明していいはずです。