イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

次回『ミュージックステーション』に登場する緑黄色社会、「Mela!」が今またピークに至っている理由とは

今週金曜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)は今年2回目の放送にして、通常放送は初となります。

一昨日の番組内で放送された次週予告では"去年からチャートを席巻する5組が集結"とアナウンス。そのうち4組はいずれもストリーミングを武器にヒット、もしくは次代のヒットを築こうとしてする方々であり、今の音楽チャートで重要なのがストリーミングであるということがこのラインナップから伝わってきます*1

最新1月12日公開(1月17日付)ビルボードジャパンソングスチャート(→こちら)では、ジャニーズWESTを除く4組が100位以内に計11曲ランクイン。またどの歌手も複数曲を送り込んでいるのが特徴です。

優里さんは2021年度のビルボードジャパン年間ソングスチャートを「ドライフラワー」で制覇。マカロニえんぴつは「なんでもないよ、」が総合トップ10内に入り、優里さんと同じ日にアルバムをリリース。Saucy Dogも「シンデレラボーイ」「あぁ、もう。」が立て続けにヒットしています。そして今日メインで採り上げる緑黄色社会については、ここにきて「Mela!」がさらなるヒットに至っているのです。

 

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一昨年の春にリリースされた「Mela!」は、『スッキリ』(日本テレビ)による"ひとつになろう!ダンスONEプロジェクト"課題曲に起用されたことでロングヒットのフェーズに。特にサブスクを基とするストリーミング(CHART insightでは青で表示)や動画再生(赤)が牽引していますが、ダウンロード(紫)についても乱高下がみられながら100位以内に滞在することが多く、接触と所有指標の両面でヒットしていることが解ります。

ピークが緩やかながら着実にダウンし、昨年8月18日公開分(8月23日付)で一度総合100位以内から脱落した「Mela!」ですが、翌週以降3週連続で上昇します。これはドラマ『緊急取調室』(テレビ朝日)主題歌の「LITMUS」がリリースされたことに伴うものと考えられ、同曲は最高44位を記録。総合100位以内はわずか6週にとどまるものの、これが「Mela!」の存在をあらてめて認知させるに至ったと言えます。

緑黄色社会は年末の音楽特番に登場。『ベストヒット歌謡祭』(11月11日 読売テレビ/日本テレビ)、『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2021』(12月24日)および『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2021→2022』(TBS)で披露されたのが「Mela!」であり(『CDTV…』では新曲「Landscape」も披露)、テレビ効果もあって「Mela!」は最新1月12日公開分(1月17日付)で同曲最高位タイの37位に達しました。

「Mela!」の相次ぐテレビ披露にはおそらく、昨年秋のストリーミング再生1億回突破が大きく反映されたと言えるでしょう。またこの記録を発表したビルボードジャパンの影響力がメディアで高まってることも、貢献の一因と言えそうです。

 

緑黄色社会「Mela!」の上昇にはもうひとつ、大きな効果をもたらしたものが存在します。

50位の壁については以前ブログにて説明しています。

Spotifyにおいてはデイリー50位までの曲をまとめたプレイリストの存在が大きく(聴取ユーザーが多い、リピート率が高いとも表現可能)、一度50位以内から脱落すると3日ほどで再生回数や順位が急落します。一方で50位以内に入ると3日ほどで急上昇するという特性があり、これを"50位の壁"として紹介しました。

クリスマスソングが大挙上昇するタイミングで50位圏外となり急落した曲はクリスマス関連曲が去った後も上昇しにくい一方、クリスマスシーズン前に50位以内に入っていなかった「Mela!」はクリスマス後の関連曲大挙ダウンのタイミングで50位以内に入ったのです。その後「Mela!」は急上昇し、日本における最新1月14日付Spotifyデイリーチャートでは24位に登場しています。

ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標首位獲得曲において、再生回数におけるSpotifyの割合は基本的に15~20%前半の範囲内となり、大きなウエイトを占めています。つまりSpotifyの上昇はストリーミング指標そのものの上昇に大きく寄与するのです。現に「Mela!」は、最新1月12日公開分(1月17日付)ソングスチャートにおいて、ストリーミング指標が過去最高の38位に到達しました。

 

 

2年前にリリースされた緑黄色社会「Mela!」は、今になってソングスチャートでさらなる存在感を示しています。まずはタイアップ等で注目されるという前提がありますが、これについてはTikTokのバズ等でも代用可能でしょう。そうしてまず認知のきっかけをつかめたならば、【新曲リリースによる同時上昇】【テレビ露出による上昇】【Spotifyの特性を活かした上昇】によって、さらなる高みへ到達することができるのです。

さらに、TikTok等のショート動画や歌ってみた等のUGC(ユーザー生成コンテンツ)の浸透によって、過去曲であってもこれら動画で人気になれば最終的に総合ソングスチャートで上昇に至るということも当たり前になってきました。ストリーミングや動画再生といった接触指標群で常時人気になっていれば、突然のバズ発生でさらなる上昇も期待できるというわけです。

 

今週放送の『ミュージックステーション』で緑黄色社会は「キャラクター」を披露しますが、このタイミングで「Mela!」の動きがどうなるかに注目しましょう。またストリーミングヒットを飛ばす優里さん、マカロニえんぴつそしてSaucy Dogの行方も気になるところです。

*1:それゆえ、次週予告で歌手一覧の次の場面でまず登場したのがデジタル未解禁のジャニーズWESTだったことに違和感を抱きました。デジタル未解禁の歌手をまず据えることに、番組のスタンス等様々な見方ができると言えるかもしれません。