メディア出演およびパフォーマンス、視聴制限を設けないライブ生配信、最近では結婚報道も音楽チャートの上昇につなっていますが、今年は【ネットメディアの論評や解説】がチャートアクションに刺激を与えた瞬間を何度か目撃しており、非常に興味深く捉えています。たとえばこちら。
#ザ・キッド・ラロイ & #ジャスティン・ビーバー「#Stay」の上昇には #チョコレートプラネット #松尾駿 さん出演の動画を紹介した記事の反響が大きいと捉えています。https://t.co/HEnHJRoZGE
— Kei (@Kei_radio) 2021年11月24日
現代ビジネスの記事が影響を及ぼしたものには #Ado「#うっせぇわ」もありますね。https://t.co/zOnQZx2v2d https://t.co/FWhdHv6dHz
上記はチャート分析に長けた紅蓮・疾風さん(Twitterアカウントはこちら)に自分が反応したものですが、ザ・キッド・ラロイとジャスティン・ビーバーによる「Stay」は最新11月24日公開(11月29日付)ビルボードジャパンソングスチャートにて、順位こそ1つ後退するもののポイント前週比は108.6%を記録。動画再生指標の22→11位への上昇共々、集計期間中に公開された講談社発の記事が影響していると言えるでしょう。
CHART insightでは動画再生指標が赤で示されますが、ダウンロード(紫で表示 41→35位)やラジオ(緑で表示 62→54位)も上昇しているのは非常に面白いですね。ちなみにチョコレートプラネット松尾駿さん出演の動画自体は先月公開されており、このブログでも言及しています。
講談社の記事においては、『K-POPからジャニーズまで、さまざまなアーテイストのダンスを解説するYouTubeチャンネルが人気のダンサー』ARATAさんが解説を担当(『』内は記事より)。チョコレートプラネット松尾駿さんが登場するだけで面白いのみならず、なぜ惹かれてしまうのかについて分かりやすく解説されています。
ネットメディアの論評がバズを生んだ例として思い出されるのが、Ado「うっせぇわ」に関するもの。こちらの記事も講談社発となっています。
「うっせぇわ」を聞いた30代以上が犯している、致命的な「勘違い」 : https://t.co/u6J9mqB5p8 #現代ビジネス
— 現代ビジネス (@gendai_biz) 2021年3月4日
否定的な見解も散見されながら、引用リツイートが4千を超えるのは珍しいのではないでしょうか。多くの方に語りたい衝動を生んだと言えるこの論評が後押しとなり、Ado「うっせぇわ」は3月10日公開(3月15日付)ビルボードジャパンソングスチャートを制します。この制覇の裏には優里「ドライフラワー」のミュージックビデオ公開内容における失策と呼べるものがありましたが、本当に見事な首位獲得劇でした。
前週2位の優里「ドライフラワー」と同3位のAdo「うっせぇわ」の戦いは蓋を開けると、両曲共にポイント前週割れを起こしているものの「うっせぇわ」のポイント前週比が98.5%だったのに対し「ドライフラワー」が同93.9%となり逆転、242ポイント差をつけ「うっせぇわ」が初の首位を獲得した形です。
(中略)
他方、Ado「うっせぇわ」は3月5日に登場した現代ビジネスの記事も大きく影響。1万を大きく上回るリアクション数が曲の話題性につながりTwitter指標24→11位に、そして総合首位に押し上げたと言っても過言ではないはずです。
音楽における興味深い解説記事や優れた評論において新たに思い出したのが、ビルボードジャパンに掲載された宇多田ヒカルさんのインタビュー記事でした。担当したつやちゃんが音楽関係者から高く注目されたきっかけになったとも言えるでしょう(その点は下記ツイートに対する様々なリアクションから解ります)。
宇多田ヒカルさんにインタビューしました。「One Last Kiss」をきっかけに若いリスナーが増えている今、これまでとは少し異なる切り口で語ってもらいました。新曲「 PINK BLOOD」についても少しだけですが触れています。 https://t.co/PB5e97AD1I
— つやちゃん (@shadow0918) 2021年6月2日
インタビュー公開日を集計期間に含む6月9日公開(6月14日付 集計期間は5月31日~6月6日)において「One Last Kiss」は総合順位こそ51→55位に後退するも、ダウンロードは44→43位、動画再生は47→42位に、緩やかながらも上昇しています。
解説や論評は読み手に様々な気づきを与え、曲を聴く気概が間違いなく生まれたのではないでしょうか。Ado「うっせぇわ」においては強烈な反発も見られますが、逆に言えば反発する方にもその曲が深く刺さり、離れなくなった可能性も十分です。それがチャートアクションに表れてくるとなれば、日本では不足していると言われている音楽評論を活発化させることも必要ではないかと考える自分がいます。