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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】2週連続首位のAdo「唱」、活用人気が連覇の可能性を高めることについて

(※追記(11月5日6時5分):ビルボードジャパン総合ソングチャートの記事(リンク先)が読めない状況が続いています。それを踏まえ、記事が転載されたAERA dot.のリンクを貼付しています。)

 

 

 

最新10月4日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月25日~10月1日)では、前週初めて首位に立ったAdo「唱」が連覇を達成しています。

(※追記(11月5日6時5分):ビルボードジャパン総合ソングチャートの記事(リンク先)が読めない状況が続いています。それを踏まえ、記事が転載されたAERA dot.のリンクを貼付しました。)

Ado「唱」のポイント前週比は110.3%。ビルボードジャパンはソングチャートにおいて毎週50位までのポイントを可視化していますが、前週および当週50位以内に入った曲では「唱」がKing Gnu「SPECIALZ」(前週比113.9%)に次ぐ高い上昇率を誇ります。

「SPECIALZ」はテレビアニメ『「呪術廻戦」第2期「渋谷事変」』のオープニングテーマであり、上記ミュージックビデオが今回初めて1週間加算対象となったこと、および原作漫画に大きな進展があったことが影響しているかもしれません。

 

加えて、Ado「唱」およびKing Gnu「SPECIALZ」においては、このブログで"活用"と呼んでいるチャートでも存在感を示していることが、ソングチャートに影響しているものと捉えています。

記事が登場しているTikTok Weekly Top 20ではAdo「唱」は順位を下げるものの1→4位、そしてKing Gnu「SPECIALZ」は2→1位に上昇。また"歌ってみた"や"踊ってみた”に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の人気を示すTop User Generated Songsチャートでは「唱」が4位をキープ、「SPECIALZ」は3→5位とダウンしながらも高位置にとどまっています。

(活用については【ビルボードジャパン最新動向】Ado「唱」が登場3週目で首位到達…総合トップに寄与した"活用"の重要性(9月28日付)にて紹介すると共に、同日付エントリーでは今年度第2四半期以降のTikTok Weekly Top 20およびTop User Generated Songsチャートのトップ20推移表を掲示しています。)

加えて、Ado「唱」においてはカラオケ指標が今回66位に上昇。ソングチャート100位以内登場4週目でのカラオケ指標100位以内ランクインという速さは「ギラギラ」(2021年3月10日付 総合15位/カラオケ58位)の3週に続いており、「うっせぇわ」(2020年12月2日公開分 総合55位/カラオケ98位)や「踊」(2021年5月26日公開分 総合9位/カラオケ42位)に並んでいます。

(上記CHART insightは、「ギラギラ」「うっせぇわ」および「踊」の総合300位以内登場から30週分を表示。総合は黒、カラオケ指標は緑で順位が表示されています。)

他にも「ウタカタララバイ」「Tot Musica」「風のゆくえ」がソングチャート100位以内登場4週目にてカラオケ指標100位以内に登場していますが、これは映画人気や収録アルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』の影響、また先行曲の人気の大きさも影響したと考えます。収録曲でより大きくヒットした「新時代」は総合100位以内登場6週目、「逆光」は7週目、「私は最強」は9週目にカラオケ指標が100位以内に達しています。

「ギラギラ」「うっせぇわ」および「踊」は2021年の日本レコード大賞にてAdoさんが特別賞を受賞した際に用意したメドレー(上記参照)にて用いられており、収録アルバム『狂言』を代表する3曲と捉えることも可能です。今回「唱」がカラオケ指標で早くも100位以内に達したことは、同曲が『狂言』からの3曲、またアニメタイアップで大ヒットを遂げた「新時代」等に続く新たな代表曲に成り得ると捉えていいでしょう。

 

活用のヒットは、主に接触指標群へ波及します。Ado「唱」はストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートを制し、またKing Gnu「SPECIALZ」は2位に。2曲共にYOASOBI「アイドル」(同チャート3位)を上回ったのは初であり、また「アイドル」を含む3曲すべて週間1千万回再生を突破しています。

「アイドル」を含む3曲のチャート構成比ではいずれも、ストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)の獲得ポイントが全体の6割以上を占めています。「アイドル」も含め活用でのヒットを作ること、およびそこから接触指標群へ波及させることが如何に重要かがよく解るはずです。

 

2023年度のビルボードジャパンソングチャート、各週における1~3位のリストを掲載しましたが、2位のポイント水準や、またAdo「唱」のタイアップ先が11月上旬までイベントを実施することを踏まえれば、今回紹介した”活用”も機に今後もポイント上昇が想起されるため、特大ヒット曲が登場しない限りは「唱」が連覇を達成することも考えられます。そしてこのヒットが『NHK紅白歌合戦』の選出にも大きく影響するでしょう。