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【海外ビルボード】BTS「Butter」が初登場首位、オリヴィア・ロドリゴ共々新記録続々

ビルボードソングスチャート、現地時間の5月31日月曜が祝日につき翌6月1日火曜に発表された最新6月5日付ソングスチャート(Hot 100)。BTS「Butter」が初登場で首位を獲得、またオリヴィア・ロドリゴが史上初となるデビューアルバムからの3曲同時トップ10入りを達成しました。

BTSにとって米ビルボード通算4曲目の首位獲得となった「Butter」。昨年9月5日付で「Dynamite」が通算3週首位を獲得したのを皮切りに、10月17日付でジョーシュ・シックスエイトファイヴ × ジェイソン・デルーロ × BTS「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」(BTS参加のリミックス初加算に伴う)、12月5日付で「Life Goes On」がそれぞれ1週ずつ首位を獲得。初の頂点に輝いてから9ヶ月の間に4曲もの首位を輩出したこととなります。

キャリア初から4曲目の首位獲得までのスパンにおいては、ビートルズが4ヶ月で最も短く(1964年2月1日-5月30日付)、次いでシュープリームスの7ヶ月と1週(1964年8月22日-1965年3月27日付)、ジャスティン・ティンバーレイクの7ヶ月と2週(2006年9月9日-2007年4月21日付)、ジャクソン5の8ヶ月と2週(1970年1月31日-10月17日付)と続き、BTSは歴代5位に。9ヶ月と3週間のマライアキャリー(1990年8月4日-1991年5月25日付)、ポーラ・アブドゥルの1年(1989年2月11日-1990年2月10日付)を上回っています。また、キャリア初からという条件を除けば、BTSはリアーナ以来の速さに。リアーナは2010年から2011年にかけて、およそ9ヶ月で4曲首位に送り込んでいます。

一方で、「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」は首位獲得の翌週、BTS参加版よりも彼らを除くバージョンのほうが全体的に上回ったことで曲のクレジットからBTSの名が消え、「Life Goes On」は翌週28位に大きく後退。特に所有指標が強い彼らにとって、接触指標…とりわけラジオでヒットを築くことが長期エントリーにおける極めて重要なポイントとなります。

指標動向をみると、「Butter」はストリーミングが3220万、ダウンロードが242800、そしてラジオが1810万を獲得。ストリーミングは後述するオリヴィア・ロドリゴにトップ3を独占されながら4位となり、ダウンロードは自身の「Dynamite」以来の高水準で同指標を制覇(「Dynamite」は昨年9月5日付で30万を獲得)。そしてラジオは39位にランクインしています。ラジオにおいては50位以内に2曲目のエントリーにして最上位のスタートとなりました(「Dynamite」は昨年9月19日付(総合首位獲得の2週後)にラジオ指標49位に登場後、12月に最高10位を記録)。「Dynamite」による注目度上昇を踏まえても、ラジオの高位置登場は「Butter」が短期的なヒットに終わらないだろうことを予感させるに十分です。

ラジオの素晴らしさもさることながら、やはりダウンロードの突出が首位獲得に大きな影響を与えた「Butter」。この曲はオリジナルバージョンそしてインストゥルメンタル版が共に69セント(0.69ドル)で安価販売されたことも指標の押し上げに大きく貢献しています。またBTSのホームページではレコードが7ドル98セント、カセットが6ドル98セントで販売されていますが、こちらは出荷のタイミングでカウント対象となり、今月末のチャートに反映される模様です。

 

前週初登場でチャートを制したオリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」は2位へ後退するも、その勢いは大きくなっています。ダウンロードやラジオの数値は明らかになっていませんが全指標アップとなり、特にストリーミングは前週比45%アップの6270万を獲得し同指標2週目のトップに。自身のアルバム『Sour』がチャートを制したことで、収録曲の勢いが急激に高まった形です。

『Sour』は今年最大の週間ユニット数となる295000を獲得。特にストリーミング再生回数のアルバム換算分で記録的な数値を打ち出しています。このストリーミング、そして単曲ダウンロードのアルバム換算分は収録曲数が多いほど有利になるのですが、『Sour』は(今後デラックスエディションが出るかもしれませんが、現段階において)11曲入り。ここから、オリヴィア・ロドリゴが如何にストリーミングに強いかがよく解ります。

4月8日付で8位に初登場した「Deja Vu」はストリーミングが前週比79%アップの3280万となり総合では13→3位に上昇したほか、「Traitor」は9位に初登場。これによりオリヴィア・ロドリゴは、ファーストアルバムから3曲同時トップ10入りを果たした史上初の歌手となりました。

結果として、『Sour』収録の11曲が29位までに登場。30位以内に11曲以上をランクインさせたのはドレイク、ポスト・マローン、J.コールに続き、オリヴィア・ロドリゴが4組目です。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) BTS「Butter」

2位 (1位) オリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」

3位 (13位) オリヴィア・ロドリゴDeja Vu

4位 (3位) デュア・リパ feat. ダベイビー「Levitating」

5位 (4位) シルク・ソニック(ブルーノ・マーズ & アンダーソン・パーク)「Leave The Door Open」

6位 (6位) ジャスティン・ビーバー feat. ダニエル・シーザー & ギヴィオン「Peaches」

7位 (9位) ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Save Your Tears」

8位 (10位) ドージャ・キャット feat. シザ「Kiss Me More」 

9位 (初登場) オリヴィア・ロドリゴ「Traitor」

10位 (11位) マスクド・ウルフ「Astronaut In The Ocean」

ラジオを制したのはシルク・ソニック「Leave The Door Open」ですが、前週比1%ダウンの8900万となり上昇が遂に止まりました。また、前週アルバム首位初登場に伴いソングスチャートでもトップ10入りを果たしたJ.コールの4曲はすべてダウンしています。

 

 

昨年秋に新設されたグローバルチャート、その速報も紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。6月5日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にBTS「Butter」が制しました。

「Butter」の凄さはその数値に表れています。Global 200ではストリーミングが2億8920万、ダウンロードが249000を獲得、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが2億5740万、ダウンロードが146200を記録しています。この数値はすべて最高記録更新となり、Global 200においてはストリーミングはBTS自身の「Life Goes On」の1億5250万、ダウンロードは同じく「Blue & Grey」の86900(共に昨年12月5日付)を、Global Excl. U.S.ではストリーミングは「Life Goes On」の1億3780万(昨年12月5日付)、ダウンロードはLiSA「炎」の96400(昨年10月31日付)を上回りました。

BTSにとってはGlobal 200で米ソングスチャート同様通算4曲目、Global Excl. U.S.では「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」を除く形で通算3曲目の首位を獲得。いずれも昨年秋のチャート新設以降、最多ナンバーワンホルダーとなっています。

(なお、Global 200からGlobal Excl. U.S.の分を除けば、米の主要デジタルプラットフォームにおけるストリーミングやダウンロードが見えてきます。BTS「Butter」は米でのダウンロードが102800であり、自身の米サイトにおける売上が如何に高いかが判ります。)

 

Global 200ではオリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」が1ランクダウンし2位となるものの、ストリーミングは前週比53%アップの1億3580万、ダウンロードは同43%アップの23000となり両指標上昇。特にストリーミングはGlobal 200において歴代4位の高水準となっています。さらにアルバム『Sour』からは「Deja Vu」が13→3位(ストリーミングは前週比62%アップの7130万、ダウンロードは同23%アップの8200)、「Traitor」が初登場7位(ストリーミング5460万、ダウンロード4800)、「Drivers License」が22→9位(ストリーミングは前週比54%アップの5400万、ダウンロードは同9%アップの7700)がトップ10入りし、Global 200においてトップ10に4曲同時ランクインを果たした最初の歌手となりました。またGlobal Excl. U.S.では「Good 4 U」が5→2位(ストリーミングは前週比60%アップの7390万、ダウンロードは同39%アップの5600)、「Deja Vu」が13→8位(ストリーミング3950万、ダウンロード1800)、「Drivers License」が19→10位(ストリーミング3230万、ダウンロード1600)となり、こちらもGlobal Excl. U.S.において3曲同時トップ10入りを果たした最初の歌手となっています。

 

 

次週は米ビルボードソングスチャートにおいて、BTS「Butter」とオリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」の戦いがより熾烈を極めそうです。「Butter」においては先週金曜、つまり次週6月13日付におけるストリーミングとダウンロードの集計期間初日にHotter Remixをリリースしており、BTSは2週目の首位獲得を狙っていることが解ります。

「Butter」、そして「Good 4 U」の動向に注目しましょう。