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【海外ビルボード】オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」が米・グローバル共に首位初登場、テイラー夏曲が上昇

現地時間の7月10日月曜に発表された、最新7月15日付米ビルボードソングチャート(集計期間:6月30日~7月6日)。オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」が初登場で首位を獲得しました。

オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」はストリーミングが3550万(同指標1位)、ダウンロードが26,000(同指標2位)およびラジオが2630万(同指標22位)を記録。ダウンロードにはふたつのフィジカル(7インチレコード(10ドルで販売)およびCD(3.50ドルで販売))が含まれ、そのフィジカルセールスにて17,000を獲得、デジタルダウンロードは9,000となっています。またラジオにおいては、ポップエアプレイで17位、アダルトポップエアプレイで22位に初登場を果たしています。

「Vampire」は1958年8月に開始した米ビルボードソングチャートにおいて通算1,150曲目の首位獲得曲となり、また初登場での首位獲得は67曲目となります。後者については下記リンク先に一覧が掲載されています。

「Vampire」はオリヴィア・ロドリゴにとって3曲目の首位獲得曲に。2021年1月に「Drivers License」が初登場で首位を獲得し8週間その座に就くと、同年5月には「Good 4 U」が同じく初登場で首位に(首位獲得は1週)。その他「Deja Vu」(3位)、「Traitor」(9位)がトップ10入りし、いずれの曲も収録したデビューアルバム『Sour』からは他7曲もソングチャート30位以内にランクインしています。

「Vampire」はオリヴィア・ロドリゴのニューアルバム『Guts』(9月8日リリース予定)からの先行曲。『Sour』における「Drivers License」同様、キャリア初期の2作品から先行曲を初登場で首位の座に送り込んだのはオリヴィアが初となります。

”V”から始まる曲として、オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」は歴代7曲目の首位を獲得。なおタイトルに”vampire”が付く曲としても、今回初の首位獲得曲となりました。

<”V”から始まる曲で米ビルボードソングチャートを制した曲>

・フランキー・アヴァロン「Venus」(1959)

ショッキング・ブルー「Venus」(1970)

バナナラマ「Venus」(1986)

・マドンナ「Vogue」(1990)

マライア・キャリーVision Of Love」(1990)

・コールドプレイ「Viva La Vida」(2008)

・オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」(2023)

オリヴィア・ロドリゴは2003年2月20日生まれ。2000年代で複数の首位曲を輩出したのはオリヴィアが初となります。その他2000年以降に生まれた歌手の首位獲得曲にはビリー・アイリッシュ(「Bad Guy」(2019))、ジョーシュ・シックスエイトファイヴ(ジェイソン・デルーロおよびBTSとの「Savage Love (Laxed - Siren Beat)」(2020))、24Kゴールデン(イアン・ディオールをフィーチャーした「Mood」(2020))およびザ・キッド・ラロイ(ジャスティン・ビーバーとの「Stay」(2021))があります。

 

モーガン・ウォレン「Last Night」は2位に後退。前週まで通算13週首位を記録しており、2020年代ではハリー・スタイルズ「As It Was」(2022 15週)に次ぐ2位の記録となています。また「Last Night」は前週まで連続10週首位を記録していましたが、これは2020年1月から3月にかけて11週連続で頂点に立ったロディ・リッチ「The Box」以来の連続記録となります。

「Last Night」はストリーミング2980万、ダウンロード8,000およびラジオ7450万を記録。また総合ソングチャートと計算方法を同一とするホットカントリーソングチャートにて22週目の首位を獲得しています。チャートがジャンルを包括的に反映するようになった1958年以降、ホットカントリーソングチャートにおいて「Last Night」は首位獲得週数が歴代6位に(最長首位獲得曲はビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」の50週(2017-2018))。さらに今年度のソング・オブ・ザ・サマーチャート(Songs Of The Summer)においては、「Last Night」が開始から6週連続で首位に立ちました。

 

レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」は4位に後退するも、ラジオは前週比2%アップの9200万を記録。「Calm Down」は昨年4月に始まったU.S.アフロビートソングチャートで45週目の首位を獲得し、同チャートにおける最長首位獲得記録を更新しています。

 

テイラー・スウィフト「Cruel Summer」が13→7位に上昇し、同曲初のトップ10入り。ストリーミングは前週比11%アップの1490万、ダウンロードは前週とほぼ変わらず3,000、ラジオは前週比35%アップの3030万を、それぞれ記録しています。

2019年リリースのアルバム『Lover』収録曲となる「Cruel Summer」は現在、テイラーの最新シングルとしてプロモート。アルバムはコロナ禍前にリリースされたため、現在行われているコンサートツアーで初めて『Lover』期の作品にスポットが当たっています。このコンサートではテイラーの9枚のアルバムを網羅する10幕で構成されており、『Lover』期のパートでは「Cruel Summer」でスタートしています。

『Lover』からはブレンドン・ユーリー(パニック・アット・ザ・ディスコ)を迎えた「Me!」(2位)、「You Need To Calm Down」(2位)、「Lover」(10位)がトップ10入りしており、今回の「Cruel Summer」がアルバムから4曲目のトップ10ヒットとなります。

加えて、「Cruel Summer」はテイラー・スウィフトにとって通算41曲目となるトップ10ヒットに。女性では最多、歌手全体では2位の記録となります。

<米ビルボードソングチャート トップ10ヒット曲数>

68曲 ドレイク

41曲 テイラー・スウィフト

38曲 マドンナ

34曲 ザ・ビートルズ

32曲 リアーナ

30曲 マイケル・ジャクソン

29曲 エルトン・ジョン

28曲 マライア・キャリー

28曲 スティーヴィー・ワンダー

27曲 ジャネット・ジャクソン

26曲 ジャスティン・ビーバー

25曲 リル・ウェイン

25曲 エルヴィス・プレスリー

(エルヴィス・プレスリーは1958年8月のチャート開始前よりキャリアがスタート。)

 

ガンナ「Fukumean」が12→8位に。今回の集計期間内となる7月5日に公式ミュージックビデオを公開したことで、ストリーミングは前週比12%アップの2020万を記録しています。

「Fukumean」はガンナにとって、リル・ベイビーとの「Drip Too Hard」(2018年10月 4位)、インターネット・マネーと共演しドン・トリヴァーおよびナヴをフィーチャーした「Lemonade」(2020年11月 6位)、フューチャーと共演しヤング・サグを客演に招いた「Pushin P」(2022年1月 7位)に続く4曲目のトップ10ヒットとなります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」

2位 (1位) モーガン・ウォレン「Last Night」

3位 (2位) ルーク・コムズ「Fast Car」

4位 (3位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」

5位 (4位) マイリー・サイラス「Flowers」

6位 (5位) リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」

7位 (13位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

8位 (12位) ガンナ「Fukumean」

9位 (8位) テイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」

10位 (6位) トゥーシー「Favorite Song」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。7月15日付ではGlobal 200およびGlobal Excl. U.S.の双方でオリヴィア・ロドリゴ「Vampire」が初登場にて首位を獲得しました。

オリヴィア・ロドリゴ「Vampire」はGlobal 200においてストリーミング8630万、ダウンロード13,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミング5150万、ダウンロード4,000を、それぞれ記録しています。

「Vampire」はGlobal 200において「Drivers License」(2021 8週)、「Good 4 U」(2021 6週)に次ぐ3曲目の首位獲得曲となり、いずれも初登場で首位に。またGlobal Excl. U.S.では「Drivers License」(9週)に次ぐ2曲目の首位作品となります。

Global 200においては3曲以上首位を獲得した女性歌手はオリヴィア・ロドリゴが初。また全歌手においてはBTS(7曲)に次ぐ2位となり、バッド・バニー(3曲)とタイに。ジャスティン・ビーバー、BLACKPINK、ドレイクおよびテイラー・スウィフトが2曲で続きます。また初登場での首位獲得曲数においても女性歌手史上最多となり、全歌手でもBTS(5曲)に次ぐ2位に。Global Excl. U.S.においてはオリヴィアはテイラー・スウィフトと女性歌手における首位獲得曲数で並んでいます。

 

テイラー・スウィフト「Cruel Summer」はGlobal 200において、ストリーミングは前週比16%アップの4410万、ダウンロードは同4%アップの5,000を記録し、9→3位に上昇。またGlobal Excl. U.S.では14→7位となり同曲初のトップ10入り(ストリーミングは前週比19%アップの2970万、ダウンロードは同19%アップの1,000を記録)。「Cruel Summer」はGlobal Excl. U.S.において11曲目のトップ10入りとなり、トップ10ヒットはテイラーが女性歌手では最多、全体でもBTSに並ぶ2位タイとなっています。なお最多保持者はバッド・バニーの14曲となります。

 

最後に。YOASOBI「アイドル」はGlobal 200で8→9位、Global Excl. U.S.では1→2位に後退しています。記事にはありませんが、補足資料としてJ-POPのグローバルチャートランクイン状況を以下に掲載します。