毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。
5月10~16日を集計期間とする5月19日公開(5月24日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。Hey! Say! JUMP「ネガティブファイター」が首位を獲得しました。
【ビルボード】Hey!Say!JUMP「ネガティブファイター」215,704枚を売り上げ初登場総合首位 YOASOBI「もう少しだけ」総合4位に初登場 https://t.co/JTc2KqBrJa pic.twitter.com/JCXbIn2EZ6
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2021年5月19日
さて今回は上位4曲が初のトップ10入り、うち3曲は100位以内初登場という形となりました。総合のトップ3はフィジカルセールスの1-3位が獲得した形ですが、しかしながらポイント獲得源は大きく異なります。4曲の傾向を踏まえ、次週の動向を予想してみます。
Hey! Say! JUMP「ネガティブファイター」はフィジカル関連指標で9割以上を獲得。パソコン等にCDを取り込んだ際にインターネットデータベース(Gracenote)にアクセスされる数を示すルックアップが前作「Your Song」から伸びています(「Your Song」首位獲得週におけるチャート構成比はこちらをご参照ください)。ルックアップそしてラジオの高さは近年のジャニーズ事務所所属歌手の作品に共通する傾向と言えます。
一方で、フィジカル関連指標加算2週目のポイント下落が気掛かりです。前週首位を獲得したジャニーズWEST「サムシング・ニュー」は25位にダウンし、前週トップ10入りした曲で最も低い位置となってしまいました(次いで順位が低かったのはNiziU「Take a picture」の13位)。ポイント前週比は10.7%、前作「週刊うまくいく曜日」の10.5%に比べて微増しているもののフィジカルのダウンをデジタル指標群が(デジタル未解禁のために)補完できないことが大きく影響していると言えるでしょう。
ゆえに、Hey! Say! JUMP「ネガティブファイター」についても同様の動きを辿ることが予想されます。
2位のHKT48「君とどこかへ行きたい」は、デジタル未解禁の「ネガティブファイター」よりフィジカル関連指標のウェイトがさらに大きくなっています。
デジタルを解禁しながらもダウンロードは100位未満(300位圏内)、そしてストリーミングおよび動画再生は300位未満となり加点対象外。前作「3-2」は1位登場の翌週に100位未満(300位圏内)という記録となってしまいましたが、「君とどこかへ行きたい」は前作で加点対象だったラジオでも300位未満となり、総合チャートでの次週100位圏外の可能性が高いと言えます。
3位のTWICE「Kura Kura」はフィジカルセールスも3位ながら、上位2強とは状況が異なります。
デジタル先行でリリースしながら、フィジカルリリース後もデジタルが順調に推移。チャート構成比のおよそ7割をフィジカルセールスが占めていますが、次週は「ネガティブファイター」や「君とどこかへ行きたい」ほど急落することはないと思われます。ここ最近の日本向けオリジナルシングルにおけるフィジカル関連指標加算2週目のポイント前週比は3割台であり、今作も同様になりそうです。ただし3割台ならば次週のトップ10入りは難しいかもしれません。
上位3曲に比べて次週優位となりそうなのがYOASOBI「もう少しだけ」。月曜解禁のこの曲は集計期間をフル活用し4位に初登場しています。
フィジカル未リリースながらポイントは1万を超え、「Kura Kura」にあと139と迫っています。ダウンロードを制し、ストリーミングとラジオがトップ10入りを果たしたほか、未だミュージックビデオやリリックビデオがない状況で動画再生18位というのは流石の一言に尽きます。
ダウンロードといえば、前週この指標を制したのが藤井風「きらり」。ミュージックビデオは今週公開されますが、こちらも動画再生指標が29位となり好調をキープしています。
「きらり」は今週、ストリーミングが初のトップ10入りを果たしたことでダウンロードの下落を補完し、ポイント前週比は84.7%。前週トップ10入りした曲の中で最上位を記録しました。
ダウンロード、そしてミュージックビデオ未公開下における動画再生指標の好調が藤井風「きらり」の動きを想起させるYOASOBI「もう少しだけ」。次週も好調をキープすると考えるに十分です。
最新チャートの上位4強ですが、この1週間に注目される機会が増えれば上記のような予想は覆るかもしれません。とはいえこれまでの推移を踏まえるに、次週は今回予想した流れを汲むものと考えます。特にフィジカルセールスが強い曲は翌週の動向(ポイント前週比)を見て、真のヒットに至れるかを確認しないといけません。