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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs.GREEN APPLE、『ANTENNA』初登場週にソングチャートでもポイント上昇…トップアーティストチャートの結果は

前週記載したブログエントリーの回答編として、Mrs.GREEN APPLEの最新チャートにおける動向を紹介します。

最新7月12日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートにて『ANTENNA』が初登場。そのタイミングでソングチャート、そしてトップアーティストチャート(Artist 100)がどう推移したか、みていきます。

 

最新7月12日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートにおいて、Mrs.GREEN APPLE『ANTENNA』は2位に初登場を果たしています。

総合2位にはMrs. GREEN APPLEの5thオリジナル・フルアルバム『ANTENNA』がチャートイン。同作はアルバム・セールス59,822枚で2位、ダウンロード数5,863DLで1位を記録している。

前作のフルアルバム『Attitude』(2019)は初登場時となる2019年10月9日公開分においてフィジカルセールス26,854枚(同指標3位)、ダウンロード5,213DL(同指標1位)を記録(なお当時はルックアップもカウント対象となり、同指標10位に登場しています)。『ANTENNA』の構成2指標は共に前作から伸び、特にフィジカルにおいては倍以上を記録したことになります。

 

また7月12日公開分のソングチャートでは、ポイントが可視化される50位までに入ったMrs.GREEN APPLEの作品がいずれもポイント前週超えを達成しています。

・8→5位 「Magic」 ポイント前週比143.2%

・10→11位 「ケセラセラ」 ポイント前週比103.9%

・11→14位 「青と夏」 ポイント前週比108.7%

 (下記CHART insightは直近60週分を表示。)

・14→16位 「ダンスホール」 ポイント前週比102.9%

・41→31位 「Soranji」 ポイント前週比113.4

順位面で後退した曲が少なくないのは当週トップ10内に4曲が初登場する等入れ替わりが少なくなかったゆえですが、ポイント面ではMrs.GREEN APPLEの作品が新旧問わず上昇。CHART insightは用意できなかったものの「点描の唄 (feat. 井上苑子)」は43→45位とダウンしながらポイント前週比は101.2%となり、こちらも上昇しています。そして51位以下を含めると、Mrs.GREEN APPLEは100位までに11曲を送り込んでいるのです。

これは先週提示したように、アルバムリリースまでにロングヒット曲が存在感を示したこと(新たなタイアップによるさらなる訴求も)、ニューアルバムの先行曲がヒットしていること、YouTubeSNSの積極的な活用、メディア出演そしてレコード会社の施策等が影響していると言えるでしょう。売上面でもフィジカル/デジタル共に上昇していることから、Mrs.GREEN APPLEは新たなフェーズに突入したと言えるかもしれません。

 

アルバムチャート、ソングチャート共に存在感を示したMrs.GREEN APPLEですが、一方でトップアーティストチャートの初制覇はなりませんでした。このチャートでトップに立ったTOMORROW X TOGETHER、そしてMrs.GREEN APPLE二組のCHART insightをみてみると。

トップ10の指標構成は以下の通り。

トップアーティストチャートはソングチャートとアルバムチャートから成り、総合順位は黒で表示。ソングチャートはフィジカルセールス(黄色)、ダウンロード(紫)、ストリーミング(青)、ラジオ(黄緑)、動画再生(赤)およびカラオケ(緑)で、アルバムチャートはフィジカルセールスおよびダウンロードで構成。また2022年度まではルックアップ(オレンジ)がふたつのチャート、Twitter(水色)がソングチャートに加算されていました。

CHART insightをみるとTOMORROW X TOGETHERはフィジカルセールスの強さに伴いトップアーティストチャートも制覇していますが、波もみられます。これは彼らがフィジカルセールスに強く、最新作『SWEET』においては初週39万枚近い売上を記録した一方、ソングチャートにおいて(ロング)ヒットの要となるストリーミングや動画再生といった接触指標群が強くないことがその理由です。

ソングチャートにおいては一定枚数(5万枚と推測)を超える売上に対し係数処理が施される一方、アルバムチャートにはその適用がありません。アルバムチャートは米ビルボードのように接触指標を含まず、またルックアップ指標の廃止も相まって2023年度以降は所有指標のみで構成されています。これらが、アルバムチャート(特にフィジカルセールス)に強い歌手のトップアーティストチャート最上位進出につながったと言えます。

(アルバムチャートについては上半期チャートを踏まえた傾向を分析し、またビルボードジャパンに対し接触指標の導入を提案しています。詳しくは下記エントリー群をご参照ください。)

 

Mrs.GREEN APPLEはトップアーティストチャートを制することこそできなかったものの、最新週におけるダウンロード2位、ラジオ1位および動画再生2位はこれまでの最高位タイ、そしてフィジカルセールス2位、ストリーミング1位およびカラオケ5位はいずれも自己最高を更新しています。アルバムチャート初登場時にフィジカルおよびデジタル、所有そして接触のどちらも最高位(単独およびタイ)に至っているのは見事です。

次週はなにわ男子『POPMALL』がアルバムチャートで首位初登場を確実としており、Mrs.GREEN APPLEのトップアーティストチャート制覇はお預けとなるかもしれませんが、安定した成績を残すことで年間チャートにおける作品や歌手自身の上位進出、そして『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)を含む年末音楽特番への出演は十分叶うはずです。

次週は『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)での”ミセスフェス”もチャートに影響するものと思われます。主要デジタルプラットフォームでは披露した8曲のプレイリストが公開され、フォローアップも十分。Mrs.GREEN APPLEのチャートアクションに注目しましょう。